心療内科・精神科とよだクリニック

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あがり症もう悩まない!精神科医推奨の対処法

あがり症の正体や原因、ご自身で日常的に試せる対処法、そして専門医が行う治療アプローチについて書いていきます。

 

1.あがり症について

「あがり症」と一言でいっても、その症状は人それぞれです。例えば、大勢の前で話す際に、心臓がドキドキと高鳴り、顔が赤くなる。声が震えたり、言葉が出てこなくなったりする。あるいは、手足が震える、冷や汗をかくといった身体的な反応が現れることもあるでしょう。これらの症状は、実は「社交不安障害(SAD)」という心の病気の一つの現れ方である場合があります。

 

多くの方は、あがり症を単なる「内気な性格」や「気の持ちよう」の問題だと考えがちです。しかし、社交不安障害は、特定の社交場面に対する強い恐怖や不安が持続し、その結果として日常生活に支障をきたす状態を指します。原因としては、過去の失敗体験やトラウマ、完璧主義的な思考パターン、あるいは他者からの否定的な評価を過度に恐れる気持ちなどが複雑に絡み合っていると考えられます。大切なのは、それを個人の弱さと捉えず、適切な対処法があることを知ることなのです。

 

2.日常で試せるセルフケア方法

あがり症の症状を和らげるために、日常生活の中で取り組めるセルフケア方法がいくつか存在します。これらを試すことで、少しずつ不安や緊張をコントロールする感覚を掴めるかもしれません。すぐに効果が出なくても、焦らずに続けることが大切です。

まず、有効なのが「呼吸法」です。緊張すると呼吸が浅く速くなりがちですが、意識的にゆっくりとした深い呼吸、特に腹式呼吸を行うことで、副交感神経が優位になりリラックス効果が期待できます。プレゼンテーションの前など、数分間でも良いので試してみましょう。

 

次に、「段階的曝露(ばくろ)」という考え方です。いきなり大きな目標に挑戦するのではなく、小さな成功体験を積み重ねていくことが重要となります。例えば、まずは信頼できる友人や家族の前で話す練習をし、次に少人数の気楽な集まりで発言してみる、といった具合に、徐々に難易度を上げていくのです。

 

また、「思考の修正」も役立ちます。「きっと失敗する」「笑われるかもしれない」といった否定的な自動思考に気づき、それをより現実的で肯定的なものに置き換える練習をします。「準備はしっかりしたし、完璧でなくても大丈夫」「みんなが自分を評価しているわけではない」と考えることで、不安を軽減できるでしょう。そして、何よりも事前のリハーサルは自信につながります。

 

 

3.専門医が行う治療アプローチ

セルフケアを試しても、なかなか症状が改善しない、あるいは日常生活への支障が大きい場合は、専門医に相談することを考えてみましょう。精神科や心療内科では、あがり症に対して効果的な治療法が確立されています。

 

治療の中心となることが多いのは、「認知行動療法(CBT)」です。これは、専門家との面談を通して、あがり症を引き起こしている認知(考え方や物事の捉え方)の偏りを修正し、不安を感じる場面での行動パターンを変えていく心理療法です。具体的な目標を設定し、段階的に課題に取り組むことで、成功体験を積み重ね、自信を回復していくことを目指します。

 

また、症状の程度や状況に応じて、「薬物療法」が併用されることもあります。例えば、不安や緊張を和らげるためにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬、動悸や震えといった身体症状を抑えるためにβ(ベータ)ブロッカーなどが処方される場合があります。これらの薬は、医師の指示のもと、適切に使用することが非常に重要です。治療法は一人ひとりの状態に合わせて選択され、医師と相談しながら進めていきます。

 

あがり症は、決して治らないものではありません。適切な対処と治療によって、症状をコントロールし、以前よりも楽に社交場面に参加できるようになる可能性は十分にあります。