心療内科・精神科とよだクリニック

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2024年1月の一覧

  • 精神科で処方される薬の副作用:太りやすい薬 精神科コラム
    • 精神科で処方される薬は、患者様の症状を改善するために必要なものです。しかし、薬には副作用があるものもあり、その中でも特に「太りやすい」という副作用は、患者様の生活やメンタルにも大きな影響を及ぼす可能性があります。この記事では、この問題について書いていきます。

      精神科で処方される薬について

      太りやすいという副作用を引き起こすものに、以下のような薬が含まれます。

      1. 抗精神病薬

         太りやすい薬: クロザピン、オランザピン、クエチアピン

      抗精神病薬は、幻覚や妄想などの症状の改善や再発予防、長期的な予後の改善に役立つ一方で、食欲増進、太りやすいなどの副作用がみられます。特にピン系と言われる上記の薬ではその傾向が顕著です。

      2. 抗うつ薬:

         太りやすい薬傾向:三環系抗うつ薬は抗ヒスタミン効果により眠気や食欲増進などの副作用が見られます。四環系抗うつ薬のミアンセリンやNaSSAと呼ばれるミルタザピンも食欲増進効果が強く、結果として体重増加をきたしやすいので注意が必要です。

      これらの薬の副作用には個人差があり、同じ薬を使用しても全ての患者に同じ反応が現れるわけではありません。しかし、太りやすい薬を使用する場合は、慎重なモニタリングを行い、必要に応じて体重管理の計画を検討することが重要です。

      太りやすくなる原因・メカニズム

      精神科で処方される一部の薬には、体重増加が見られることがあります。この現象は、薬が主にヒスタミン神経系に影響を及ぼし、鎮静や食欲増進、代謝の低下などの複数のメカニズムによって引き起こされます。

      • 鎮静作用や身体活動の低下

         薬が中枢神経を抑制することで、身体活動が低下し、エネルギー消費が抑制されることが挙げられます。

      • 食欲増進作用

      ヒスタミンH1受容体拮抗作用や抗5HT2C作用により食欲増進を引き起こします。また向精神薬がヒスタミンの作用をブロックすることで、食欲刺激ホルモンであるグレリンが増加し、食欲が高まる可能性があります。

      • セロトニンの直接作用によるエネルギー消費の抑制と代謝の低下

         薬がセロトニンに直接作用し、エネルギー消費を抑制し代謝を低下させることが考えられます。

      対策や予防

      体重増加の副作用に対する対策としては、以下の予防策が考えられます。

      •  食事の管理:バランスの良い食事を心掛け、特に高カロリーな食品の摂取を控えることが重要です。
      • 適度な運動:定期的な運動は、カロリーの消費を促し、体重増加を防ぐことができます。
      • 定期的な健康チェック:薬の副作用として体重増加が見られる場合、定期的に体重を測定し、早期に対策を講じることが重要です。
      • 医師へ相談:副作用が気になる場合は、医師に相談し、必要に応じて薬の変更や量の調整を検討することもあります。

      どの方法も大事ですが、まずはできるところから取り組んでみてはいかがでしょうか。

      精神科で処方される薬の副作用としての体重増加は、患者さんのQOL(生活の質)に影響を及ぼす可能性があります。そのため、精神科医師は、薬の選択や患者様への説明、そして定期的なモニタリングにより、この問題に対処しております。患者様一人ひとりの状況に合わせた適切な対応が、より良い治療結果につながることを期待しています。

  • 季節性うつと糖尿病の関わり 精神科コラム
    • 季節性うつ病と糖尿病は、一見無関係に見えるかもしれませんが、実は密接な関係があります。特に冬季には、2つの疾患が互いに影響を及ぼし合う可能性があります。

      この記事では、季節性うつ病と糖尿病の関係について、精神科医師の視点から記事を書いていきます。

      季節性うつとは

      季節性うつ病は、特定の季節、通常は秋や冬に現れ、春になると症状が緩和または消失する一種のうつ病です。この状態は、日照時間の減少が体内時計を乱し、脳内のメラトニンとセロトニンと呼ばれる2つのホルモンバランスが崩れることによるものと考えられています。

      季節性うつ病の主な症状は通常のうつ病と類似していますが、いくつかの特徴があります。気分、睡眠、食欲、行動、および身体症状で表れます。

      程度は個人によって異なり、適切な治療やライフスタイルの変更が効果的であることがあります。

      糖尿病とは

      糖尿病は、血糖値が一定以上に高まる状態を指す病名で、主に1型と2型があります。1型糖尿病は、インスリンを作るβ細胞が壊れてしまう自己免疫疾患で、2型糖尿病は、生活習慣が原因でインスリンの働きが悪くなる病気です。

      糖尿病の症状は、血糖値が高くなることで引き起こされます。血糖値が高い状態が続くと、臓器や組織にダメージを与え、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。初期の段階では自覚症状はあまり感じませんが、放置すると、多飲、多尿、頻尿、口渇、体重減少、倦怠感などの症状が現れます。

      季節性うつと糖尿病の関係

      季節性うつと糖尿病の関係には、相互作用がいくつか考えられます。

      まず、季節性うつ病の症状が糖尿病の管理を難しくする可能性があります。

      例えば、季節性うつ病における食欲の増加は、高カロリーの食物を摂取しやすくなり、これが血糖値の上昇を引き起こす可能性があります。

      また、エネルギーの低下は運動不足を招き、血糖値のコントロールを難しくし、合併症のリスクを増加させることが考えられます。

      特に年末年始のイベントや冷え込む季節になると、体温を上げるためにカロリーの高い食事を好む傾向があります。これが糖尿病患者にとっては、血糖値の急激な変動を引き起こしやすくなります。このような食習慣の変化は、糖尿病の管理において患者様の大きな課題となります。

      逆に、糖尿病が季節性うつ病の症状を悪化させる可能性もあります。

      糖尿病患者のうち約30%がうつ症状を抱え、糖尿病と心の健康の関連性が強調されています。この関わりにおいて、患者様は様々な感情を経験します。

      最初に、糖尿病と診断されることや治療を始める際には、「どうして」といった怒りや、「ちがう」といった否認が生じることがあります。病気になったことに対する罪悪感や、合併症や治療薬に対する恐れも存在します。

      また、ストレスや「つらい」「苦しい」といった気分の落ち込みもあり、これらは自分の今の状況に対処できないことから生じるこころの不調を指します。感情は一時的なものである場合もありますが、何週間にもわたって続く場合は「うつ病」の可能性が考えられます。

      さらに、うつ病と糖尿病は相互に影響しあう為、並行して治療をすることが大切です。早期に並行して治療することが、患者様の精神的な健康を向上させ、糖尿病の管理も効果的に進めることが期待されます。

      相互作用には個人差がありますが、季節性うつ病と糖尿病はお互いに影響し合い、その結果として両疾患の管理が複雑化する可能性があります。総合的な医療の提供が必要とされ、患者様にとって最適な治療法を見つけるためには、糖尿病の専門医とうつ病の専門医との連携が重要です。

      さらに疾病教育により糖尿病とうつ病の相互作用を患者様自身が理解することで、治療とケアの効果が一層期待できます。