心療内科・精神科とよだクリニック

JR加古川駅の南口から徒歩1分、開業22年の実績

ご予約
お問い合わせは
TEL.079-454-8677

※木曜日、日曜日と祝日は休診
午前 9:00~13:00 × ×
午後16:00~19:00 × × ×

2021年4月の一覧

  • うつ病 大学生 不安 精神科コラム
    •  「大学生の不安やうつ病」をテーマにした記事です。JR加古川駅前にあるサンライズ加古川で精神科・心療内科クリニック院長のブログです。

       毎年5-6月頃になると大学のみならず、小中学校、高校など学校に行けないため診断書を求めて受診される学生さんが増えます。テーマにもとづいた大学生の場合、遠方の大学に通学するために早起きし、帰宅も遅くなる、一人暮らしを始めたなどの環境変化に対して4月は緊張状態を保って何とか適応していたけれど、ゴールデンウィークに緊張が解けて寝っぱなしになり、GW明けから眠れない、朝が起きられないなど、環境への不適応や生活リズムの乱れもありますが、大学生などの青年期は多くの精神疾患の好発期でもあります。電車やバスに乗った途端急に恐怖感や呼吸困難感、動悸などの症状が出現し乗れなくなり、通学が出来なくなるパニック障害、初対面の大勢の人の前で挨拶や発表などをすることが怖くて教室・講堂には入れない社会不安障害など不安障害の学生さんも珍しくありません。またうつ病や双極性障害など気分障害のため気分が憂鬱で無気力になり学校に行けない人もいます。また昨年からのコロナ禍で孤立した状態で孤独感から不安や憂うつなやる気の出ない心身状態になった学生さんはとても多いと思います。多くの大学には保健センターが併設されており、精神衛生相談など実施しています。カウンセリングの上治療が必要と判断された場合には、大学や下宿、自宅の近くの精神科・心療内科を受診されては如何でしょうか。

  • うつ病 種類 診断 精神科コラム
    •  うつ病の種類と診断というテーマでお話しします。兵庫県加古川市にある精神科・心療内科クリニックの院長のブログです。うつ(鬱)病はうつ状態だけが出現する単極性うつ病(大うつ病性障害)とうつ状態と躁状態を繰り返す双極性障害に分類されます。双極性障害は躁病相の違いにより、典型的な躁状態を呈する双極Ⅰ型障害と軽躁状態を呈する双極Ⅱ型障害に分類されます。双極性障害の患者様も最初はうつ病相から発症するため、長期間うつ病として治療を受けておられるケースが少なくありません。特に躁病相が軽い双極Ⅱ型障害の方の場合、軽躁状態の時に、やっと回復した、元気になった、これが本来の自分であると感じる方も多く、周囲の人も気付かず、診察室でもうつ病相のことしか話さないことが多いので注意が必要です。

       単極性のうつ病(大うつ病性障害)と双極Ⅱ型障害の鑑別はとても重要です。それは治療、有効な薬剤が違うからです。鑑別のためには何よりも丁寧な問診、病歴の聴取が必要です。CTやMRI、SPECTなどの放射線科的検査や脳波などの生理検査、血液検査で鑑別出来るバイオマーカーが存在しないからです。最近NIRS(近赤外線スペクトロスコピー、光トポグラフィー検査)がうつ状態鑑別診断の補助に用いられるようになりました。NIRS専門外来を行っている医療機関もありますし、主治医と相談の上紹介受診することも可能です。しかしあくまで補助で有り、診断には丁寧な問診が大切なことは先述したとおりです。

  • うつ 薬 副作用 精神科コラム
    • うつ・薬・副作用というテーマについて・・・。この記事は、加古川市にある心療内科クリニックの院長のブログです。うつ(鬱)病治療の基本は十分な休息と薬物利用です。しかしながら患者様には薬の副作用を心配(不安視)されて服薬を躊躇される方も少なくありません。今回はうつ病の治療に用いられるお薬と主要な副作用についてお話しします。

       うつ病の治療薬として最も古いものにイミプラミン(トフラニール)、アミトリプチン(トリプタノール)などのTCA(三環系抗うつ薬)があります。TCAは抗うつ薬の共通の作用部位であるセロトニンやノルアドレナリン再取り込み阻害作用以外に抗コリン作用、抗ヒスタミン作用、抗アドレナリンα1作用があり、口渇、便秘、排尿障害、眠気、肥満、立ちくらみなどの副作用がみられます。次に開発されたミアンセリン(テトラミド)など四環系抗うつ薬では眠気やふらつきなどが主な副作用です。

       その後セロトニン、ノルアドレナリンに選択的に作用するセルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシスタプラム(レクサプロ)などSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やデュロキセチン(サインバルタ)などSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、ミルタザピン(レメロン)のNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)が発売されて現在のうつ病治療の主役となっています。SSRIでは吐き気、食欲不振、下痢などの消化器症状、SNRIでは吐き気、排尿障害、頭痛など、NaSSAでは眠気・体重増加などの副作用が生じます。

       抗うつ薬に限らず副作用のない薬はありませんが、重篤な副作用は希であり、上記の副作用は工夫により軽減出来るし、慣れてきます。負担のないよう少量からスタートしてゆっくりと増やす、副作用を和らげる薬(例えば吐き気がある場合は胃薬)を併用することでほとんど気にならない程度に軽減します。また、眠気のある薬は夕食後または寝る前に服用することで、副作用はむしろ睡眠の改善(不眠対策)をもたらす効果へと転じます。

       精神科の専門医は抗うつ薬の効果、副作用について熟知しており、不快な副作用を出来るだけ少なくする工夫をして、薬物治療の導入、維持、終了をお手伝いします。憂うつな状態が継続している場合は、お近くの精神科・心療内科のクリニックにご相談されては如何でしょうか?

  • 高齢者うつの特徴 精神科コラム
    • 今回は「高齢者のうつ病の特徴」についてお話します。加古川市のサンライズ加古川ビルにある精神科・心療内科クリニック院長のブログです。

      鬱(うつ)病とは憂うつで身体がすぐれない状況が2週間以上ほぼ毎日見られる状態です。いずれの年齢でもみられますが、高齢者のうつ病にはいくつかの特徴があります。

      まず背景因子として高血圧、脳の病気、心筋梗塞、糖尿病、慢性関節リウマチ、癌などの身体疾患に罹患しやすい、仕事の引退や転居、子供の独立、配偶者や親しい人との死別など気分が塞ぎ込む原因・理由があるためうつ病と気づかないことがあります。

      さらに高齢者のうつ病には症状としての特徴があります。めまい、ふらつき、頭が重い、肩こり、腰痛、便秘、不眠など身体疾患が前景に立ち、気分が憂うつであることを自覚することが少なく内科など身体科を受診される「仮面うつ病」の形を取ることが多いです。不安や焦燥感が強く、自殺のリスクが高いことも注意すべき特徴です。「ものが覚えられなくなった」、「日付や曜日が分からない」など物忘れを深刻に悩んで受診され、スクリーニング検査では「わからない」を繰り返される方の中にうつ病による認知機能障害である「仮性認知症」の方がいらっしゃる一方で、うつ症状を訴えて受診される高齢の患者様の中にレビー小体型認知症など認知症のBPSD(行動・心理症状)の方が一定数おられるので注意が必要です。

      うつ病も認知症も精神科・心療内科の医療機関で診断・治療が可能です。気になる症状がある、またはお悩みの場合はお近くの医療機関にご相談ください。

  • うつの症状と頭痛について 精神科コラム
    • 今回のテーマは「うつ病の症状と頭痛」です(加古川市・加古川駅前で精神科・心療内科クリニックの院長をしています)。

      前回のブログでもお書きしましたが鬱(うつ)病では身体症状が多くみられます。なかでも頭痛、肩痛、腹痛など痛みに関する訴えは頻度が高く、約6割の患者さんで何らかの痛みがみられます。当院外来でも頭痛など痛みを訴える患者様が多いと実感しています。患者様は頭痛が続くため脳神経外科、整形外科などを受診されるのですが「異常なし」と診断され、鎮痛剤を処方されても効果がないために精神科・心療内科に来院されます。

      うつ病で痛みが生じるメカニズムはよくわかっていませんが、モノアミン(セロトニンやノルアドレナリンなど)の減少との関係が推測されています。身体には「下行性疼痛抑制系」という神経があり、うつ病ではモノアミン、特にノルアドレナリンの機能低下により痛みを抑える力が低下しているため痛みを感じやすくなると考えられています。

      うつ病による痛みの治療はうつ病の改善につきますが、抗うつ薬の中でもノルアドレナリンの働きを促進する薬が使われます。古くはイミプラミン(トフラニール)、アミトリプチン(トリプタノール)など三環系抗うつ薬が使われていましたが、最近では口喝、便秘や体重増加などの副作用が少ないSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)であるミルナシプラン(トレドミン)やデュロキセチン(サインバルタ)が用いられることが多いです。ノルアドレナリンに対する効果のある薬剤は痛みを改善するのみならず億劫、楽しめないなどの残遺症状を軽減し、日常生活の質を改善できる可能性があります。

      脳神経外科や整形外科など身体科を受診しても検査所見に異常がみられない痛みと気分が憂うつな状態が続いているときにはお近くの精神科・心療内科にご相談されてはいかがでしょうか。

  • うつ 初期症状 治療 精神科コラム
    • 今回は「うつ病の初期症状と治療」というテーマです。うつ状態とは憂うつな状態が2週間以上続いている状態であり、原因としてはうつ病だけではなく、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症、喪失体験による悲哀反応など様々です。ここでは鬱(うつ)病の症状についてお話します(※この記事は、加古川市の精神科・心療内科クリニック院長のブログです)。

       うつ病では気分が沈んで憂うつ、不安・心配やイライラ、意欲がなくなり億劫、興味がなくなる、趣味が楽しめない、集中できず仕事等作業の効率が悪くなるなどの精神症状がみられます。重度になってくると自己否定がみられ、自分はつまらない、価値のない人間だと感じるようになります。真面目な社員が会社に迷惑をかけるのでと退職願いを出したり、よき夫(妻)が迷惑を掛けるので離婚したいと申し出ることもありますし、自己否定や罪業感から自殺を考えるようになります。不眠(寝つけず朝早く目覚める)や食欲不振、食べ物の味が感じられないなどの症状もよく見られます。うつ病の初期症状としては不眠と不安に関連した症状が多いようです。

       うつ病では身体症状も出現し、体がだるい、頭痛や首筋・肩のこり、息苦しい、喉が詰まった感覚などが良くみられる症状です。これらの症状を主訴として内科や耳鼻科、脳外科などを受診される方も少なくありません。

      その他うつ病を疑う特徴としては朝が特に調子が悪い(日内変動)、几帳面・生真面目などの病前の性格などがあります。

       うつ病治療の基本は心身の休息と薬物療法の2本柱です。仕事や家事など業務の軽減を行い、状況によっては診断書を提出して休業することや、実家などで療養するなど転地療法が必要なこともあります。自己否定して死にたい、自分は生きている価値がないなどの希死念慮が強い場合には一時的な入院が必要な場合もあります。うつ病の薬物療法はSSRI、SNRIなどの抗うつ薬が中心となります。十分な量を十分な期間使用しなければなりませんが、症状が改善し、元の生活に復帰できた後は徐々に減量することができるので過剰な心配は不要です。

      うつ病も身体疾患と同じく早期発見・早期治療が大切です。上記の症状がみられる場合には早めにお近くの精神科、心療内科の医療機関を受診されることをお勧めいたします。