心療内科・精神科とよだクリニック

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2023年11月の一覧

  • ギャンブル依存症への理解と精神科医の役割 精神科コラム
    • ギャンブル依存症への理解と精神科医の役割についてのコラムです。

      ギャンブル依存症は、精神疾患に含まれます。本記事では、精神科医の視点からギャンブル依存症について解説しています。その特徴や周囲への影響について紹介し、精神科医の役割や治療法に焦点を当てます。患者様とその家族へのサポートについてもお伝えします。

       

      依存症とは?

      依存症は精神疾患の一種です。特定の物事に頼ることをやめられない状態であり、やめようと思っても簡単にはやめられない状態とされています。

       

      依存症の代表的な対象には、アルコール、薬物、ギャンブルなどがあります。

      依存症になると、その行為を繰り返さないと満足できなくなり、自らの力では止めることができなくなります。その結果、心身に障害が生じ、家庭生活や社会生活に悪影響が及ぶことがある疾患です。

      また、依存症は、糖尿病や高血圧のような慢性疾患と同様の状態とも考えられます。放置すればどんどん進行し、やめることで進行は停止します。ただし、長くやめていても気を抜けば再発する可能性が高く、継続したて様々な助けを借りながら、やめ続けることが大切です。

       

      ギャンブル依存症について

      個人がギャンブルに異常な執着を示す精神疾患です。

      依存症の中でも、対象がギャンブルに向けられた場合にギャンブル依存症と呼ばれます。

      ギャンブルに対する強い欲求や賭け金の増加、そして個人の財政状況に深刻な影響を及ぼす特徴が見られます。

       

      経済的な問題、心理的なストレス、そして家庭内の摩擦などが生じ、これがさらに広がると、うつ病や多重債務、家庭問題、虐待、自殺、犯罪などの社会的な問題を引き起こす可能性があります。

       

      このような依存症は、適切な治療と支援を受けることで回復が可能です。しかし、本人が自らの状況を正しく認識できない場合もあり、症状が悪化する可能性や、借金などの問題が深刻化するリスクもあります。

       

      ギャンブル依存症に悩む本人はもとより、そのご家族は、専門の相談窓口を活用し、医療機関において治療を検討しましょう。

       

       

      具体的な治療法について

       

       ・認知行動療法

      ギャンブル依存症を管理するための効果的な方法の一つが認知行動療法です。患者様は自分の思考パターンや行動を変えることで、ギャンブル依存症に対処します。ギャンブルに関連する誘因やトリガーを認識し、それに対処するスキルを身につけることが目的です。

       

      ・薬物療法

      ギャンブルをすることで、脳内のドーパミン神経が活性化、快感を得られます。ドーパミン神経が過剰に活性化された状態が長く続くことで、依存症が生じます。

      ギャンブル依存症に関連する神経伝達物質の異常に対処するため、薬物療法が利用されます。薬物療法には、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や気分安定薬が含まれます。これらの薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整える作用があり、うつ病や不安障害などの治療にも使われます。それにより、ドーパミン神経系の活性を抑制し、ギャンブル依存症の症状を軽減する効果が期待されます。

       

      ・治療の実施

      治療は通常、精神科外来で行われます。心理療法、薬物療法、作業療法、生活環境の調整などが患者の状況に合わせて組み合わせられます。治療の過程で、依存症を理解し、それに対処するためのスキルを獲得することが目指されます。

       

      ギャンブル依存症の治療においては、患者様本人の自覚が重要です。

      依存症を認めることで、治療に向けたステップを踏むことが可能になります。

      ギャンブル依存症は、適切な支援を受けることで回復が可能な病気です。

       

       

      サポートと家族へのアプローチ

      ギャンブル依存症は、患者様のみならずその家族にも大きな影響を及ぼします。

      このため、精神科医は家族との関係を築き、家族に適切なサポートを持続的に提供する必要があります。必要に応じて、家族カウンセリングや家族会などのグループへの参加を促します。これは患者様とその家族の回復に効果的な支援となります。

       

       

       

       

  • 精神科とはどんなところ?その疑問を解消 精神科コラム
    • 精神科と聞くと「うつ病や統合失調症などの治療をするところで自分には関係ない」という認識の方がほとんどだと思います。しかし、現代社会において、心の病にかかることは珍しいことではありません。いつ自分自身や家族が症状を訴えてもおかしくないのです。
      そして、心の健康(メンタルヘルス)は、私たちの全体的な幸福において極めて重要な役割を果たしています。

      心の病も体の病と同様に早期発見・早期治療が大切です。心の病院である精神科・心療内科について、皆さまの疑問が解消できるように紹介していきます。

       

       

      来院患者様の悩み

      どんな悩みを抱えた方が来院されるのか紹介します。

       

      ・最近物忘れがひどい

      ・人混みがこわい

      ・突然不安や恐怖が襲ってくる

      ・寝つけない、不眠

      ・仕事に行くのがつらい 

      ・気が滅入る、寂しい

      ・急に心臓がドキドキする

      ・やる気が起こらない

      ・自分を必要以上に責めてしまう

      ・赤面、あがり症

      ・気分に波がある

      ・お酒を飲んでいないのに記憶が飛ぶ

      ・脚がムズムズする

       

      他にもまだまだ症状はありますが、その一部を紹介しました。

      生活や仕事に支障がなければ、気にしすぎることもよくありませんが、不安な方はいつでもご相談ください。

       

       

      精神科の介入が必要な症状

      特定の症状がある方は、直ちに精神科の診察を受ける必要があります。重度の気分の変動、持続する絶望感、幻覚、自殺願望は、治療の必要がある重大な兆候です。これらの症状の原因を探り、理解することは、早期介入と早期治療にとって非常に重要となります。

       

       

      精神科と内科など他科の区別

      内科やその他の科では主に、身体的な健康問題を扱います。精神科は不安、うつ病、双極性障害、統合失調症などの症状を含む精神的な健康に焦点を当てています。

      慢性的な成人病を抱える患者さんの中には、メンタル面の不調を抱え悩んでいる方もいます。身体的不調から内科で治療を受けている場合でも、平行して心療内科や精神科を受診するケースもあります。

       

      家族の役割

      家族は、行動の変化や精神科ケアの必要性を示す兆候を特定する上で重要な役割を果たします。突然の社会的引きこもり、極端な気分の変動、薬物乱用、または突然の性格の変化が現れた場合、精神疾患を疑い、早期に専門家のアドバイスや、心療内科や精神科にて受診をするように促すことが大切です。

      また、治療は継続して長期にわたる場合もあり、家族や周囲の人のサポートが不可欠です。

       

       

      精神科における治療

      精神科治療には多様なアプローチが組み込まれており、多くの場合、個人のニーズに合わせて調整されます。これらには、心理療法、薬物療法、またはその両方の組み合わせが含まれます。治療法の選択は、診断された状態、重症度、患者の希望によって異なります。たとえば、認知行動療法(CBT)は不安などの症状の管理に役立ちますが、統合失調症の重度の場合には投薬が必要になる場合があります。

       

       

      精神科はどんなところだろう?と敷居を高く感じていた方もいらっしゃるでしょう。近年、「うつ病は心の風邪」という言葉も耳にするようになりました。

      身体が風邪を引けば内科を受診し治療します。心が風邪をひいたときの病院が心療内科や精神科です。身体の風邪をこじらせ肺炎にまでなってしまうと入院になるなど治療に時間もお金もかかります。心の風邪も早期発見・早期治療が重要です。

       

  • 声がでない、心因性失声症の理解と精神科の治療 精神科コラム
    • 心因性失声症は精神的な要因によって引き起こされる声の喪失状態です。この記事では、精神科医師が、心因性失声症についての背景、診断方法、精神科治療のアプローチ、患者様が取るべき行動などについて詳しく解説します。

      心因性失声症とは何か?

      心因性失声症は、声帯や筋肉には明確な問題がないにもかかわらず、声が出なくなる状態です。この状態は、心理的な負担やストレスによって引き起こされ、患者様は言葉を発することができない状態になります。

      たとえば、トラウマやストレス、不安、または心的外傷後ストレス障害(PTSD)などが原因となることがあります。

      また、声が出ないという症状だけでなく、声が出てもかすれ、しわがれ声になってしまう、声の出し方すらわからなくなる等の状態も含みます。

      男性にも見られますが、30歳以上の女性に多い疾患です。ただし、強いストレスによる発症は小児にも可能性はあり、注意が必要です。

      なんの前触れもなく、突然、声が出なくなることもあり、声帯や脳の病気を疑われ、病院を受診されますが異常がなく、精神科、心療内科を受診されるケースがほとんどです。

      症状と特徴

      声が失われると、かなり不安を感じ、周囲とのコミュニケーションも難しくなります。ときには過呼吸を引き起こすこともあり、早期の対策が必要です。特徴的な点は、声帯や喉、脳など身体的な問題が見られないことです。このため、心因性失声症は身体的な原因ではなく、精神的な要因によるものといえます。

      以前はヒステリー障害とも呼ばれていましたが、 現在では「転換性障害」と呼ばれる心の病気に分類されています。転換性障害は、強いストレスへの自己防衛の1つで、体の運動や感覚に様々な症状が出ます。その症状の1つに、声が出なくなる「失声」があります。

      転換性障害の症状には、他にもろれつが回らなくなる(構音障害)、ものが二重に見える(複視)、手足が動かなくなる麻痺、立ったり歩いたりできない「失立失歩」などの症状もあります。どれも、心理的な問題がからだの症状や機能障害に転換されて表現されるものと考えられています。

      女性に多い原因の一つとして、社会進出で会社での立場や責任などで悩んでいる、会社や家族、恋愛関係、友人関係など人間関係が上手くいかない、周囲との関係で欲求が満たされないときなどに突然起こることが多いと考えられます。また、ホルモンバランスが崩れやすいなどの影響もあります。感情が不安定となり、身体の機能障害として現れます。

      診断と治療

      心因性失声症の診断は、身体的な問題がないことを確認することから始まります。

      問診やカウンセリングで、失声症の原因となったストレスが何かを調べていきます。

      また、声が出ないのが一時的なものなのかも観察します。

      その後、心理療法や発声訓練、抗うつ薬、抗不安薬を使用する治療が行われます。

      心理療法は、患者が声を取り戻すためのプロセスを支援し、不安やストレスを軽減するために役立ちます。カウンセリングによって気持ちが軽くなれば、それだけで効果があり、自然治癒することがあります。一時的な症状であればストレス原因から距離をおくなど適切な対処をすれば、さほど心配はありません。

      ただし、声が出ない状態が長期に継続しており、心理療法の効果がでていない場合には、うつ病など他の精神疾患を併発する危険があります。

      そうなる前に、精神安定剤などの薬物療法もあわせて用いることも検討します。薬物療法は症状の緩和を図るものであり、補助的な役割になります。症状が長期継続している場合には特効薬がないため、時間をかけて治療を進める必要があります。

      医師だけでなく、家族など周囲の方のサポートも重要です。

      心因性失声症は治療に数か月かかる場合もあり、早期に適切な治療と周囲のサポートを受けることで回復の可能性が高まります。

      失声症は突然発症することが多く、患者様の不安ははかりしれません。

      声がでにくい、強いストレスにさらされているなど当てはまる症状があれば、早めにご相談ください。