心療内科・精神科とよだクリニック

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2025年1月の一覧

  • 身体が震える症状の背後にある病気について 精神科コラム
    • 「最近、なんだか身体が震える…」と感じていませんか? このような症状は、日常生活におけるストレスや疲労が原因の場合もありますが、実は背後に様々な病気が隠れていることが考えられます。これらの疾患では、自律神経のバランスが乱れ、震え、動悸、発汗などの症状が現れるのです。また、パーキンソン病や本態性振戦といった神経内科的な疾患でも震えが見られるため、原因を特定することが重要です。

      今回の記事では、身体の震えを引き起こす可能性のある疾患について書いていきます。

       

      1.震えの背後にある病気の理由

       

      身体の震えは、一見すると単なる疲労や緊張によるものと捉えがちですが、その原因は多岐にわたります。特に、精神科や心療内科で扱う疾患と関連が深いのが、自律神経系の乱れです。

      自律神経は、私たちの意思とは無関係に、呼吸や消化、心拍数などを調整する重要な役割を担っています。ストレスや不安、抑うつといった心の状態が不安定になると、バランスが崩れやすくなります。その結果、交感神経が過剰に働き、身体が緊張状態になり、震え、動悸、発汗といった症状が現れることがあるのです。

       

      例えば、不安障害では、特定の状況や対象に対して過剰な不安を感じ、その結果として身体の震えや呼吸困難、めまいなどを伴います。パニック障害の場合、予期せぬパニック発作によって、激しい動悸や呼吸困難と共に震えを感じることがあります。

       

      うつ病では、気分の落ち込みや意欲の低下だけでなく、身体症状として震えや倦怠感、食欲不振などが現れることがあります。これらの精神疾患は、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが関与していると言われており、自律神経系を通じて身体症状を引き起こすと考えられています。

       

      また、精神的な要因だけでなく、パーキンソン病や本態性振戦のような脳神経内科的な疾患でも震えは重要な症状です。これらの疾患は、脳の特定の部位の機能異常によって運動制御がうまくいかなくなり、結果として震えを引き起こします。そのため、震えの原因を特定するためには、精神的な要因だけでなく、身体的な要因も考慮に入れる必要があります。

       

       

      2.震えの症状を伴う疾患の具体例

      身体の震えは、その原因によってさまざまな疾患が考えられます。精神科や心療内科領域、脳神経内科領域など、多岐にわたる疾患で震えが症状として現れることがあります。

      以下に、具体的な病名とそれに関連する震えの症状について解説します。

       

      • 社交不安障害(社会不安障害)

      症状: 社会的な状況や人前での行動に対して、過度な不安や恐怖を感じる障害です。プレゼンテーション、会議、初対面の人との会話など、注目を浴びる状況で、強い不安や緊張が生じます。

      震えの症状:手や声の震えが主な症状として現れます。特定の状況下でのみ震えが生じることが多く、日常生活を送る上で支障となる場合もあります。心臓がドキドキしたり、発汗したり、赤面したり、自分の意思ではコントロールできません。

       

       

      • パニック障害

      症状: 予期せぬパニック発作が繰り返し起こる疾患です。パニック発作は、激しい動悸、息切れ、めまい、吐き気などの身体症状を伴い、強い不安や恐怖を感じる状態です。

      震えの症状: 全身の震えを感じます。発作が起こるのではないかという不安(予期不安)から、常に震えを感じる場合もあります。

       

       

      • うつ病

      症状: 気分の落ち込み、意欲の低下、興味や喜びの喪失などが主な症状ですが、身体症状を伴うこともあります。不眠、食欲不振、倦怠感、集中力の低下などが現れます。

      震えの症状: 手や身体の震え、特に微細な震えがみられます。倦怠感や身体の重さ、だるさと共に震えを感じることもあります。

       

       

      • パーキンソン病

      症状: 脳内の神経伝達物質であるドーパミンの減少によって、運動機能に障害が生じる進行性の疾患です。動作緩慢、姿勢保持の困難、歩行障害などが特徴的です。また、表情が乏しくなったり、声が小さくなったりする症状も現れることがあります。

      震えの症状:安静時の震え(特に指先や手足)、筋肉のこわばりが見られます。

       

      これらの疾患以外にも、甲状腺機能亢進症や低血糖など、さまざまな病気で震えが症状として現れることがあります。震えが気になる場合は、自己判断せずに専門医を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが重要です。

       

      3.まとめ

      今回の記事では、身体の震えという症状に着目し、その背後に潜む可能性のある様々な疾患について書いていきました。精神的な要因、脳神経内科的な要因、あるいは他の身体疾患など、多岐にわたる原因が考えられます。

       

  • 広場恐怖症の症状とその対策(人混みが怖い) 精神科コラム
    • 人混みが怖いと感じるのは、「広場恐怖症」の可能性があります。広場恐怖症とは、特定の状況や場所で強い恐怖感を抱き、社会生活や行動が制限される状態を指します。この症状は、外出や人混みを避ける原因となり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。

      しかし、広場恐怖症は適切な理解と対策を通じて克服することができます。本記事では、広場恐怖症のメカニズムや具体的な症状を解説し、対策や改善方法について紹介します。

       

      1.広場恐怖症の基本的な理解 

       

      ⑴ 広場恐怖症とは何か

      広場恐怖症は、人混みや公共交通機関など、特定の状況で過剰な不安や恐怖を感じる状態です。これらの場面では、脳内の「扁桃体」が過剰に反応し、恐怖を感じる神経回路が活性化します。この結果、自律神経が緊張し、心拍数の増加や過呼吸といった身体的な反応が引き起こされます。 

      また、理性的に恐怖の理由を説明できないことが多く、本人の意志では制御できないのが特徴です。このため、症状が悪化すると社会的な活動や自由な行動が大幅に制限されることがあります。 

       

      ⑵ 発症のメカニズムと背景にある心理的要因

      広場恐怖症の発症には、過去のトラウマや心理的な要因が深く関与しています。例えば、以前に人混みでパニック発作を経験した場合、その記憶が強い不安を引き起こし、同様の場面を避ける行動につながります。この回避行動が続くことで、不安がさらに強化される悪循環が形成されます。 

      さらに、完璧主義や失敗を恐れる性格傾向、日常的なストレス、家庭環境、遺伝的な要因も発症リスクを高めるとされています。これらの要因が複合的に影響し、広場恐怖症が進行しやすくなります。

       

       

      2.広場恐怖症の具体的な症状と心身の反応

       

      (1)人混みで引き起こされる生理的な不安反応 

      広場恐怖症の典型的な身体反応には以下のものがあります。 

      – 心拍数の増加:心臓が激しく鼓動し、緊張感が増します。 

      – 過呼吸:息苦しさを感じ、呼吸が浅く速くなります。 

      – 発汗:手や額に大量の汗をかくことがあります。 

      – 筋肉の緊張:肩や首が硬直し、体がこわばります。 

       

      不安や恐怖をさらに増幅させるだけでなく、状況から「逃げ出したい」という強い衝動を引き起こします。

      また、このような身体反応が頻繁に起こると、症状そのものが新たな恐怖の対象となることもあります。例えば、「また心拍数が上がったらどうしよう」という予期不安が強まり、不安の悪循環に陥るのです。

       

      (2)恐怖感が引き起こす心理的・身体的症状の詳細 

      心理的には、広場恐怖症は単なる不安感にとどまらず、深刻な行動の変化を引き起こします。「また恐怖を感じるのではないか」という「予期不安」により、特定の状況や場所を避ける行動が強化されてしまいます。

      この結果、外出や社会的な活動を控えるようになり、友人や家族との交流が減少するなど、孤立感を深めることにつながります。さらに、社会的な役割を果たせなくなることに対する自己評価の低下が、うつ症状のリスクを高めることもあります。 

       

       

      3.広場恐怖症を克服するための段階的アプローチ 

      (1)認知行動療法を活用した恐怖心の軽減テクニック

      広場恐怖症の克服には、認知行動療法(CBT)が効果的です。具体的なアプローチは以下の通りです。 

      – エクスポージャー法(段階的暴露法)

         怖い状況に少しずつ慣れる訓練です。たとえば、人混みの写真を見る、短時間だけ人混みに入るといった段階的な方法を用います。これにより、不安を引き起こす状況への抵抗力を高めます。 

       

      – 思考の再構成 

         ネガティブな考え方をポジティブな視点に変える訓練です。「人混みでパニックになったらどうしよう」といった思考を、「深呼吸をすれば落ち着ける」と置き換えることで、不安感を軽減します。 

       

      – リラクゼーション技法の併用

         深呼吸や筋弛緩法を取り入れることで、身体的な緊張を緩和し、不安を和らげる効果があります。

       

      (2)日常生活で実践できるセルフケアの具体的な方法

      広場恐怖症の改善には、日常生活でのセルフケアも重要です。

      -ストレスマネジメント 

         リラクゼーション効果のある音楽やアロマを活用して、日常的なストレスを軽減します。 

       

      – 適度な運動

         ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、体内の緊張を和らげ、自律神経のバランスを整えます。 

       

      – サポートを得る

         家族や友人に広場恐怖症について話し、サポートを受けることが克服の助けとなります。また、支援グループに参加して同じ悩みを持つ人々と交流するのも有効です。 

       

      – 健康的な生活リズム 

         規則正しい生活と質の高い睡眠は、心身の安定に大きく寄与します。睡眠の質を高めるために、就寝前にリラックスできる時間を持ちましょう。

       

      広場恐怖症は、適切な治療やセルフケアによって克服が可能な症状です。認知行動療法を活用した段階的なアプローチや、日常生活での工夫を取り入れることで、少しずつ人混みへの恐怖を軽減していけます。

       

       

       

  • 職場のストレスが引き起こす自律神経失調症の症状と対策 精神科コラム
    • あけまして、おめでとうございます。今年もよろしく願いいたします。

      職場のストレスは、自律神経のバランスを崩し「自律神経失調症」を引き起こす可能性があります。長時間労働や人間関係の悩みが蓄積すると、体調不良や気分の落ち込みなどの症状が現れることがあるのです。

      しかし、これらの問題は対策次第で改善できます。本記事では、職場のストレスが自律神経に与える影響や代表的な症状、そして取り組みやすい対策方法について書いていきます。

      1.自律神経失調症のメカニズム、症状、そして対策

      (1)自律神経失調症のメカニズムとストレスの関係 

      • ストレスが自律神経に与える生理的影響 

      自律神経は、心拍や呼吸、消化、体温調整などの生命活動を無意識にコントロールする重要な役割を果たしています。この自律神経には、活動時に働く「交感神経」と、休息時に優位になる「副交感神経」があり、バランスを保ちながら健康な状態を維持しています。

      しかし、職場での過度なストレスが続くと、交感神経が過剰に働き、副交感神経とのバランス調整が崩れる状態が生じます。この結果、心拍数が上昇し、筋肉が緊張し、消化不良や睡眠障害などの身体的な不調が引き起こされるのです。

      •  慢性的なストレスによる神経系の変化

      ストレスが長期間続くと、脳内の「視床下部-下垂体-副腎系」が過剰に反応し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が増加します。この状態は、免疫力の低下や集中力の欠如、慢性的な疲労感を引き起こします。

      また、自律神経の調整能力が低下し、軽度のストレスでも過敏に反応するようになるため、症状が悪化しやすくなります。これが、自律神経失調症の発症メカニズムの一部です。

      (2)職場環境が誘発する自律神経失調症のサイン 

      • 心身に現れる典型的な症状

      職場のストレスが原因で自律神経失調症を発症した場合、心身に多岐にわたる症状が現れます。身体的な症状としては、頭痛や肩こり、動悸、過剰な発汗、消化不良などが挙げられます。一方、精神的な面では、不安感、イライラ、意欲の低下、軽度のうつ状態に陥ることがあります。

      特定のタイミングや状況で悪化することが多く、職場環境の影響も考えられます。

      •  職場環境に特有の悪化要因 

      自律神経失調症の症状が職場環境で悪化する背景には、いくつかの要因が考えられます。

      たとえば、長時間労働や過密なスケジュール、終わりの見えない業務量が交感神経を過剰に刺激し、心身の負担を増大させます。

      また、上司や同僚との人間関係のトラブルや、ハラスメントなど心理的な圧迫が精神的な不調を引き起こすこともあります。

      さらに、職場の物理的な環境、たとえば騒音や冷暖房の過剰な使用、適切な休憩時間の確保が難しい状況も影響します。こうした要因が積み重なることで、症状が慢性化しやすくなるため、環境要因を見直すことが改善への第一歩となるでしょう。

      2.自律神経失調症を改善するセルフケアと生活習慣の見直し 

      (1)ストレス管理のためのリラックステクニック 

      以下の方法を取り入れることで、自律神経のバランスを整える助けとなります。 

      ・深呼吸法

         鼻から5秒吸い、7秒間息を止め、10秒かけて口からゆっくり吐く方法を実践しましょう。この深呼吸は副交感神経を活性化させ、心身のリラックス効果をもたらします。1日数回行うだけでも、ストレス軽減に役立ちます。 

      ・マインドフルネス瞑想 

         短時間でも現在の感覚に意識を向けることで、リラックス効果が得られます。業務の合間に、自分の呼吸や周囲の音に集中してみましょう。科学的にも自律神経バランスを整える効果が証明されています。 

      ・短時間のストレッチ

         肩や首、背中を軽くストレッチすることで、筋肉の緊張を緩和し、交感神経の過剰な働きを抑えます。

      (2)規則正しい生活習慣の確立

      生活習慣の見直しは、自律神経失調症の改善に欠かせません。

      ・生活リズムの安定

         毎日の起床・就寝時間を一定に保つことが重要です。特に、就寝前1時間はスマートフォンやパソコンの使用を控え、目から入る光や情報を減らしましょう。 

      ・適度な運動

         軽度の有酸素運動、特にウォーキングやヨガは副交感神経を刺激し、ストレス解消に効果的です。自然の中での運動はさらにリラクゼーション効果を高めます。

      職場のストレスが原因で引き起こされる自律神経失調症は、セルフケアや生活習慣の見直しによって改善が期待できます。また、規則正しい生活リズムやバランスの取れた食事、運動を心がけることも重要です。