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精神障害(狭義)と発達障害の違いについて
精神科コラム
《2022年12月12日13:30 公開》
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精神障害と発達障害の違いについてのコラムです。違いや共通する接し方などご紹介致します。
WHOのICD-10、米国精神医学会のDSM-Ⅴともに、知的障害と発達障害,ここで精神障害と表現する精神障害(狭義)を含めて精神障害(広義)と呼んでいます。
わが国の行政は発達障害、知的障害、精神障害(狭義)を各々独立したものとして扱っているので、このコラムでは狭義の精神障害と発達障害の違いについてお話します。
精神障害は、統合失調症、うつ病、パニック障害、PTSD(心的外傷ストレス障害)、依存症、認知症など様々なものがあります。
症状も、幻覚や抑うつ、不安、意欲の低下、不眠、食欲減退・・・などの病気があり、お薬などで治療可能です。
発症年齢は25歳以下が7割といわれ、若い人の発症が多い反面、うつ病など働き盛りの世代に増えています。また、高齢化に伴い認知症患者も増加しています。
厚生労働省が実施する患者調査では、年々患者数が増えています。
ワースト3はうつ病、不安障害、統合失調症ですが、病院を受診した人のデータであるため、実際はもっと多く精神障害に苦しんでいるのではと考えております。
次に発達障害ですが、先天性の脳の働き方に違いがあり、発達の偏りによる障害を指します。
幼児期からその特徴があらわれ、大きく分けると自閉症スペクトラム障害(自閉症又はアスペルガー症候群)、学習障害(読字障害、書字障害、算術障害)、注意欠如障害(ADHD)に分けられます。
外見からは分かりにくく、自分勝手、わがまま、怠け者など誤解をされることも多いのが特徴の一つです。発達の違いがあり、どこからが障害なのかという明確な判断は難しい場合もあります。得意と苦手の差が大きい場合は発達障害の可能性も考えられます。
幼い時は少し変わった子という認識でも、学習障害がないと見逃されてしまい、仕事を始めるようになって会社や組織になじめず発達障害と診断されるケースもあります。このように、精神疾患と発達障害は別の疾患ですが、併存する場合もあるため、気になる症状がある場合は専門医への相談をおすすめいたします。
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精神障害と運動不足について
精神科コラム
《2022年12月5日13:52 公開》
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精神障害と運動不足の関係性についてのコラムです。
近年、健康が多くの方々の関心事となっていますが、運動不足は精神にも影響を与えると言われています。
運動の効果として、「やせた」「高脂血症や高血圧が改善された」といった身体的な効果だけでなく、「気分がすっきりした」など精神的な効果を感じた経験をお持ちの方も増えています。
まず、運動が精神に及ぼす効果ですが、運動後に脳や身体の中では「セロトニン」の値が上昇し「コルチゾール」が減少します(セロトニンとコルチゾールは以下)。
セロトニンは、精神の安定や安心感、ストレス耐性などの効果がある神経伝達物質です。不足すると、うつ病、睡眠障害、意欲低下、慢性疲労など様々な症状が見られます。
コルチゾールは、身体の炎症を抑える、糖質、たんぱく質や脂質の代謝に関わるなど、人体に不可欠なホルモンです。
ただ、ストレスを受けると分泌が増え、精神疾患(うつ病や不眠症など)や生活習慣病などの原因になると考えられています。
運動すると、気分を良くするセロトニンが増え、ストレスホルモンであるコルチゾールが減るため精神的にも良い影響があるのです。
おすすめは、ウォーキングやジョギングです。一定のリズムで継続して運動することが大切なので、手軽にできて毎日取り組める運動を日常の中に取り入れてみてください。
日常生活に無理なくリズム運動を取り入れることもおすすめです。
近年特にストレス社会と言われ、ストレス疾患は増加しています。身体的な生活習慣病以外に、睡眠障害や抑うつ、不安性障害や統合失調症などの精神障害も増加傾向にあります。
最近の臨床の結果によると、運動が精神疾患にも治療効果があり、取り入れていこうとする病院が増えました。
ウォーキングやジョギング、階段の登り降りなど手軽に始められる運動から、ヨガやストレッチ、筋肉トレーニングなどもおすすめです。運動の種類や強度については、運動後に良い気分になるか、気分の改善がみられたかを目安に無理のない範囲で行ってください。
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