この記事では、依存症とは何か、そして最も大切な「病院の何科を受診すればよいのか」という内容で書いていきます。
1. 「依存症」は意志の弱さではありません
まず知っていただきたいのは、依存症は「意志が弱い」「だらしない」といった性格の問題ではないということです。
依存症は、特定の物質や行動への渇望を自分ではコントロールできなくなる「脳の病気」なのです。脳の中にある「報酬系」と呼ばれる回路がハイジャックされ、自分でも不合理だと分かっているのに、その行為を渇望し、繰り返してしまいます。そして、依存症には、以下のように様々な種類があります。
・物質への依存
アルコール、ニコチン(タバコ)、処方薬や市販薬、違法薬物など、特定の物質を体に取り込むことへの依存です。
・プロセス(行為)への依存
ギャンブル、インターネット、ゲーム、買い物、あるいは恋愛やセックスといった特定の行為にのめり込む状態を指します。
・関係への依存(共依存)
特定の相手を助けたり、世話を焼いたりすることに自分の価値を見出し、その「役割」自体に依存してしまう状態です。相手の問題に介入することで、自分自身の問題から目を背けていることも少なくありません。
・自己の身体や感覚に関わる依存
過食や自傷行為のように、自分自身の体を使った特定の行為が、つらい感情を紛らわすための唯一の手段となり、やめたくてもやめられなくなる状態です。行為そのものへの依存といえます。
・社会的行動に関する依存
ワーカホリック(仕事依存)に代表され、仕事などの社会的活動に過度に没頭します。それをしていないと不安や罪悪感に苛まれ、健康や家庭を犠牲にしてしまう状態を指します。
これらに共通しているのは、「その対象なしではいられなくなる」「生活の中心になり、学業や仕事、人間関係に支障が出る」「心身の健康を損なうと分かっていてもやめられない」という点です。
2. 依存症の相談は「精神科」へ
依存症という脳と心の病気を専門的に扱うのは、主に精神科の領域となります。
- なぜ精神科なのでしょうか
依存症が単なる意思の弱さや性格の問題ではなく、脳や心の病気として捉えられることが多いためです。精神科では、依存行動の背後にある精神疾患や神経生物学的要因を含め、医学的根拠に基づいた診断と治療が行えます。また、薬物療法と心理療法の両面からアプローチできるため、再発予防や根本改善が期待できます。
依存症には多様な形がありますが、その背景にはうつ病、不安障害、境界性パーソナリティ障害、PTSDなどが隠れていることが少なくありません。これらの疾患は脳内の神経伝達物質の異常やストレス耐性の低下、過去のトラウマなどによって引き起こされ、依存行動を強化します。
- 代表例:ギャンブル依存症やアルコール依存症
ギャンブル依存症の例では、勝敗にかかわらず賭け事への衝動が抑えられず、生活費や借金を費やしてしまうケースがあります。背景には、うつ病や双極性障害の軽躁状態、ADHDによる衝動性の高さなどが潜んでいる場合があります。精神科では、背景疾患の診断を行い、抗うつ薬や気分安定薬で症状をコントロールしつつ、認知行動療法で「勝てるはず」という誤った認知や衝動的行動を修正します。
また、アルコール依存症の例では、日常的なストレスや抑うつ感、不眠を和らげるために飲酒を続け、やがてコントロールが効かなくなるケースが多く見られます。背景として、長期的なうつ病や不安障害、PTSDなどが隠れていることもあります。精神科では離脱症状の管理に向けた薬物療法(抗酒薬や抗不安薬)を行い、必要に応じて抗うつ薬で基礎疾患を治療します。そのうえで、再発予防のための心理療法や集団療法を組み合わせます。
3. 病院以外の相談先
病院以外にも頼れる場所があります。
- お住まいの地域にある「保健所」や「精神保健福祉センター」に相談
これらは公的な機関であり、無料で専門の相談員が話を聞いてくれます。そして、あなたの状況に合った専門医療機関や支援施設を紹介してくれます。
- 「自助グループ」の存在
アルコール依存症の方のためのAA(アルコホーリクス・アノニマス)や、ギャンブル依存症の方のためのGA(ギャンブラーズ・アノニマス)など、同じ問題を抱える人々が集まり、匿名で体験を分かち合う場です。
以上、依存症は、適切な治療と支援に繋がることで、回復できる病気です。
※公開/更新日: 2025年9月12日 9:30

