心療内科・精神科とよだクリニック

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2025年7月の一覧

  • 脳梗塞→てんかん→認知症?知っておくべき繋がりと受診科 精神科コラム
    • この記事では、脳梗塞と、その後に起こり得るてんかん、そして認知症との関連性について解説いたします。また、どのような症状が出た際に、どの診療科を受診すればよいのか、具体的な目安も紹介します。

       

      1.脳梗塞が引き金、てんかん発作

      脳梗塞は、脳の血管が詰まることで、脳細胞に十分な酸素や栄養が供給されなくなり、その部分の脳細胞がダメージを受ける病気です。このダメージを受けた脳の部位が、後に「てんかん発作」の原因となることがあります。これを「症候性てんかん」と呼びます。

       

      脳梗塞によって脳細胞が傷つくと、その部分の神経細胞が異常な電気的興奮を起こしやすくなることがあります。この異常な電気信号が周囲に広がることで、けいれんや意識障害といった、てんかん特有の発作が引き起こされるのです。全ての脳梗塞経験者がてんかんを発症するわけではありませんが、発症のリスクがあることは知っておく必要があります。

       

      発作の現れ方は様々です。手足がガクガクと震えるような分かりやすいけいれんだけでなく、一点をじっと見つめて反応がなくなる、口をもぐもぐさせる、意識がもうろうとするなど、一見しててんかん発作とは分かりにくい症状もあります。発症時期も、脳梗塞直後から数年後までと幅広いため、注意深い観察が大切です。

       

      2.脳梗塞と認知症の深い関係性

      脳梗塞は、認知症を発症する原因の一つとしても知られています。特に「血管性認知症」と呼ばれるタイプの認知症は、脳梗塞や脳出血など、脳の血管の病気が原因で引き起こされるものです。脳の特定の部分への血流が途絶えたり、悪くなったりすることで神経細胞が死滅し、その結果として認知機能が低下します。

       

      血管性認知症の症状は、脳梗塞が起きた場所や範囲によって様々です。記憶障害(特に新しいことを覚えにくい)、物事を計画して実行する能力の低下、判断力の低下、失語や失行(言葉を理解したり話したり、道具を使ったりすることが難しくなる)などが現れることがあります。また、感情のコントロールが難しくなり、急に怒り出したり、逆に無気力になったりすることも少なくありません。アルツハイマー型認知症と異なり、症状が段階的に悪化し、比較的保たれている能力と低下した能力が混在する「まだら認知症」と呼ばれる状態になることも特徴の一つです。

       

      さらに、脳梗塞後に発症したてんかんが、認知機能の低下を助長する可能性も指摘されています。てんかん発作が繰り返されることで、脳への負担が増加し、認知症の進行を早めてしまう場合があるのです。そのため、てんかん発作をコントロールすることも、認知機能の維持には重要となります。

       

       

      3.何科を受診すべきなのか

      脳梗塞を発症した場合、まずは「脳神経外科」や「神経内科」で治療を受けるのが一般的です。これらの診療科が、脳梗塞の急性期治療からその後の経過観察までを担当します。脳梗塞後にけいれん発作などのてんかんが疑われる症状が現れた場合も、まずはこれらの主治医に相談しましょう。適切な検査を経て、てんかんと診断されれば、抗てんかん薬による治療などが開始されます。

       

      一方で、物忘れが目立つようになった、以前と比べて怒りっぽくなった、意欲が低下したなど、認知機能や行動の変化が見られるようになった場合も、まずは脳梗塞の治療を担当している主治医に相談することを推奨します。主治医は、必要に応じて「もの忘れ外来」や認知症を専門とする「老年内科医」「神経内科医」「精神科医」などを紹介してくれます。

       

      ここで「精神科」の役割についてもお伝えします。てんかん発作に伴って不安や抑うつ気分が強くなる場合や、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD:暴言、暴力、徘徊、幻覚、妄想、抑うつなど)が顕著な場合には、精神科医が治療に関わります。特にBPSDは、ご本人だけでなく介護するご家族にとっても大きな負担となるため、精神科医による薬物療法や環境調整のアドバイスが有効となります。各診療科が連携し、それぞれの専門性を活かして包括的な治療・ケアを行うことが理想的です。

       

       

      必ずしも全ての脳梗塞経験者がてんかんや認知症を発症するわけではありません。そして、万が一、発症した場合でも、適切な治療やリハビリテーション、そして周囲のサポートによって、症状の進行を緩やかにしたり、生活の質を維持したりすることは十分に可能です。

      大切なのは、些細な変化も見逃さず、不安なことがあれば一人で抱え込まずに、かかりつけ医や専門医に相談することです。

       

      ※当院は精神科の専門クリニックですが、担当医は精神神経学会専門医、てんかん学会専門医、認知症学会専門医であり、急性期の治療を終えた認知症、てんかんの方の薬物療法や認知症のBPSD、てんかんに合併する精神医学的合併症のご相談に対応しております。お気軽にお問合せください。

  • あがり症もう悩まない!精神科医推奨の対処法 精神科コラム
    • あがり症の正体や原因、ご自身で日常的に試せる対処法、そして専門医が行う治療アプローチについて書いていきます。

       

      1.あがり症について

      「あがり症」と一言でいっても、その症状は人それぞれです。例えば、大勢の前で話す際に、心臓がドキドキと高鳴り、顔が赤くなる。声が震えたり、言葉が出てこなくなったりする。あるいは、手足が震える、冷や汗をかくといった身体的な反応が現れることもあるでしょう。これらの症状は、実は「社交不安障害(SAD)」という心の病気の一つの現れ方である場合があります。

       

      多くの方は、あがり症を単なる「内気な性格」や「気の持ちよう」の問題だと考えがちです。しかし、社交不安障害は、特定の社交場面に対する強い恐怖や不安が持続し、その結果として日常生活に支障をきたす状態を指します。原因としては、過去の失敗体験やトラウマ、完璧主義的な思考パターン、あるいは他者からの否定的な評価を過度に恐れる気持ちなどが複雑に絡み合っていると考えられます。大切なのは、それを個人の弱さと捉えず、適切な対処法があることを知ることなのです。

       

      2.日常で試せるセルフケア方法

      あがり症の症状を和らげるために、日常生活の中で取り組めるセルフケア方法がいくつか存在します。これらを試すことで、少しずつ不安や緊張をコントロールする感覚を掴めるかもしれません。すぐに効果が出なくても、焦らずに続けることが大切です。

      まず、有効なのが「呼吸法」です。緊張すると呼吸が浅く速くなりがちですが、意識的にゆっくりとした深い呼吸、特に腹式呼吸を行うことで、副交感神経が優位になりリラックス効果が期待できます。プレゼンテーションの前など、数分間でも良いので試してみましょう。

       

      次に、「段階的曝露(ばくろ)」という考え方です。いきなり大きな目標に挑戦するのではなく、小さな成功体験を積み重ねていくことが重要となります。例えば、まずは信頼できる友人や家族の前で話す練習をし、次に少人数の気楽な集まりで発言してみる、といった具合に、徐々に難易度を上げていくのです。

       

      また、「思考の修正」も役立ちます。「きっと失敗する」「笑われるかもしれない」といった否定的な自動思考に気づき、それをより現実的で肯定的なものに置き換える練習をします。「準備はしっかりしたし、完璧でなくても大丈夫」「みんなが自分を評価しているわけではない」と考えることで、不安を軽減できるでしょう。そして、何よりも事前のリハーサルは自信につながります。

       

       

      3.専門医が行う治療アプローチ

      セルフケアを試しても、なかなか症状が改善しない、あるいは日常生活への支障が大きい場合は、専門医に相談することを考えてみましょう。精神科や心療内科では、あがり症に対して効果的な治療法が確立されています。

       

      治療の中心となることが多いのは、「認知行動療法(CBT)」です。これは、専門家との面談を通して、あがり症を引き起こしている認知(考え方や物事の捉え方)の偏りを修正し、不安を感じる場面での行動パターンを変えていく心理療法です。具体的な目標を設定し、段階的に課題に取り組むことで、成功体験を積み重ね、自信を回復していくことを目指します。

       

      また、症状の程度や状況に応じて、「薬物療法」が併用されることもあります。例えば、不安や緊張を和らげるためにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬、動悸や震えといった身体症状を抑えるためにβ(ベータ)ブロッカーなどが処方される場合があります。これらの薬は、医師の指示のもと、適切に使用することが非常に重要です。治療法は一人ひとりの状態に合わせて選択され、医師と相談しながら進めていきます。

       

      あがり症は、決して治らないものではありません。適切な対処と治療によって、症状をコントロールし、以前よりも楽に社交場面に参加できるようになる可能性は十分にあります。

  • やる気起きないのは怠け?隠れた病気とチェック法 精神科コラム
    • この記事では「やる気が出ない」という症状の背後に隠れている可能性のある病気や、ご自身でできる簡単なチェック方法、そして専門医に相談する目安について書いていきます。なぜだか最近、何もやる気が起きないなど、その気力の低下は心や体からのSOSサインである可能性が考えられます。

      私たちの心は非常にデリケートで、様々な要因から影響を受けやすいものです。仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、あるいは気づかないうちに蓄積したストレスが、徐々に心のエネルギーを奪っていくことがあります。単なる気分の落ち込みだと軽視していると、知らず知らずのうちに症状が悪化してしまうケースも少なくないのです(下記参照ください)。

      1. やる気が出ない

      誰しも、時には物事に取り組む気力が湧かない日があるものです。しかし、その状態が長く続いたり、以前は楽しめていたことにも興味が持てなくなったりした場合は、注意が必要です。それは、あなたの心が悲鳴を上げているサインかもしれません。

      私たちの意欲や活動性は、脳内の神経伝達物質のバランスと深く関わっています。過度なストレスや持続的な気分の落ち込みは、このバランスを崩し、結果として「やる気が出ない」という状態を引き起こすことがあります。

      特に、真面目で責任感の強い人ほど、自分の不調に気づきにくい傾向があります。周囲の期待に応えようと無理を重ね、心身ともに疲弊してしまうのです。やる気の低下は、決して本人の甘えや怠慢ではなく、心身のエネルギーが枯渇している状態と捉えることが大切になります。

      2. セルフチェック

      長引くやる気のなさは、単なる気分の波ではなく治療が必要な病気の兆候であるケースも考えられます。代表的なものとして、「うつ病」や「適応障害」などが挙げられます。これらは早期に適切な対応をすることで、回復を早めることが期待できます。

      うつ病では、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失といった精神症状に加え、睡眠障害(眠れない、または寝すぎる)、食欲不振または過食、疲労感、集中力や思考力の低下といった身体症状が現れることがあります。これらの症状が2週間以上ほとんど毎日続く場合、うつ病を疑います。

      一方、適応障害は、特定のストレス要因(職場環境の変化、人間関係のトラブルなど)にうまく適応できず、抑うつ気分、不安感、怒り、行動面での問題(遅刻や欠勤の増加など)が生じる状態です。ストレスの原因がはっきりしており、そのストレスに直面してから3ヶ月以内に症状が現れるのが一般的です。

      以下に、ご自身でチェックできる項目をいくつか挙げます。ただし、これらはあくまで目安であり、正確な診断は専門医による診察が必要です。

      ☑以前は楽しめていた活動に、ほとんど興味を感じない

      ☑何をしても気分が晴れず、憂うつな気持ちが続く

      ☑寝つきが悪い、途中で目が覚める、または逆に寝すぎてしまう

      ☑食欲がない、または食べ過ぎてしまう

      ☑以前より疲れやすく、体が重く感じる

      ☑物事に集中できない、考えがまとまらない

      ☑自分には価値がない、または罪悪感を感じることが多い

      これらの項目に複数当てはまる、または症状が日常生活に支障をきたしている場合は、一度専門医に相談することをお勧めします。

      3. 専門医に相談

      「精神科や心療内科を受診する」と聞くと、少し敷居が高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、風邪をひいたら内科へ行くように、心の不調を感じたら専門医の診察を受けることは、ごく自然なことです。むしろ、専門家の助けを借りることは、早期回復への近道となります。

      精神科や心療内科では、まず専門医があなたの話をじっくりと伺い、現在の症状や状況を詳しく把握します。その上で、必要に応じて心理検査や血液検査などをおこない、総合的に診断を下します。治療法としては、カウンセリングや認知行動療法などの精神療法、そして症状に応じて薬物療法などが用いられることがあります。

      「やる気が出ない」という状態は、誰にでも起こりうる一方で、心や体からの重要なSOSサインである可能性も秘めています。単なる怠けや気分の問題と片付けず、その背景にある原因を見つめ直すことが大切です。