心療内科・精神科とよだクリニック

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2025年の一覧

  • 記憶が飛ぶ症状が現れたら要注意!考えられる病気と受診のタイミング 精神科コラム
    • この記事では、記憶が飛ぶ症状が現れた時に考えられる病気、特に注意すべき点や病院を受診するタイミングについて、専門医の視点からわかりやすく解説します。また、適切な治療法についても触れていきます。

       

      1.記憶が飛ぶとは?

      記憶が飛ぶとは、ある時間帯の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっている状態のことです。一時的に意識がなくなる場合や、出来事の一部が思い出せない場合など、様々なケースがあります。日常生活で以下のような経験がある場合は、注意が必要です。

       

      ・気が付くと、今どこにいるのか、何をしていたのかが分からなくなる

      ・会話中に、話していた内容を忘れてしまう

      ・過去の出来事を思い出せない

      ・日常生活で、何度も同じことを繰り返してしまう

      ・時間感覚が曖昧になる

       

      これらの症状は、単なる疲れやストレスによるものと安易に考えず、症状が頻繁に起こる、または日常生活に支障をきたす場合は、専門的なサポートが必要となります。

       

       

      2.記憶が飛ぶ時に考えられる病気

      記憶が飛ぶ症状が現れる時に考えられる主な病気は、以下の通りです。

       

      • てんかん

      てんかんは、脳の神経細胞の異常な興奮によって、発作が繰り返し起こる病気です。 発作の種類によっては、意識を失ったり、記憶が飛んだりすることがあります。てんかんの診断と治療方針決定には脳波検査を行い、治療には、抗てんかん薬が用いられます。

       

      • 認知症

      認知症は、脳の神経細胞が減少し、認知機能が低下する病気です。記憶障害が主な症状ですが、時間や場所の感覚が曖昧になったり、出来事を忘れたりすることもあります。

      アルツハイマー型認知症では検査技術の発展により、より関連する領域の萎縮の有無をスコアという値で評価できるようになりました。また、脳の血流の低下部分を検査できるSPECT検査では、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症では血流低下部位の違いが見られることが知られています。このように複数の検査により、認知症の種類が判明し、治療や対策が行われます。

       

      • 解離性障害

      解離性障害は、強いストレスやトラウマ体験によって、意識や記憶、自己認識などが分離してしまう病気です。記憶喪失や、自分が自分でないような感覚(離人感)が現れることがあります。解離性障害は、精神的なケアが重要となります。

       

      • 一過性全健忘

      一過性全健忘とは、突然記憶が抜け落ちる一時的な記憶障害です。例えば、朝の出来事や今いる場所が思い出せなくなる一方で、言葉を話すなど日常生活の動作は問題なく行えます。多くは数時間で回復し、後遺症も残りませんが、原因ははっきりしておらず、ストレスや過労が関与する可能性も指摘されています。MRIやCT検査でも異常が見つからないことが多く、再発のリスクもあるため、繰り返す場合は専門医を受診することが大切です。

       

      • その他の病気

      記憶が飛ぶ原因には、一過性全健忘以外にもさまざまな病気が関係している可能性があります。例えば、脳腫瘍ができると脳の圧迫によって記憶を司る部分に影響を与え、物忘れや記憶障害が現れることがあります。また脳卒中によって脳の血流が遮断されると、記憶に関わる領域がダメージを受け、一部の記憶を失うこともあります。さらに、低血糖では脳へのエネルギー供給が不足し、一時的に意識がもうろうとする、直前の出来事を思い出せなくなることがあります。

      また、薬物中毒による脳への影響も記憶障害を引き起こす原因の一つです。例えば、過剰なアルコール摂取は短期記憶に影響を与え、「ブラックアウト」と呼ばれる記憶の欠落を引き起こすことがあります。さらに、睡眠障害が続くと脳が十分に休息を取れず、集中力や記憶力が低下し、まるで記憶が飛んでしまったように感じることもあります。

      このような症状が続く場合は、単なる疲労や加齢のせいと考えず、早めに専門医を受診することが大切です。

       

      3.病院に行くべきかどうかの判断基準

      では、どのような場合に病院に行くべきなのでしょうか?以下の項目を参考に、ご自身の状態をチェックしてみてください。

      ・頻度と持続時間

         □記憶が飛ぶ症状が頻繁に起こる

         □症状が数分以上続く、または繰り返し起こる

         □日常生活に支障が出るほどの頻度で起こる

       

      ・症状の内容

         □完全に記憶が抜け落ちている

         □意識を失うことがある

        □過去の出来事を思い出せない

         □時間や場所が分からなくなる

         □けいれんや体の震えを伴う

       

      ・その他

         □頭痛や吐き気、めまいなどを伴う

         □持病がある、または薬を服用している

         □原因が分からない

         □自分で対処できない

       

      上記の項目に複数当てはまる場合、早めに専門医への相談を検討することをおすすめします。

      記憶が飛ぶ症状は、決して一人で抱え込むべき問題ではありません。まずは気軽に精神科・心療内科に相談してみてください。

       

       

  • 気分の波が激しい時に考えられる病気:双極性障害や適応障害のサイン 精神科コラム
    • この記事では、気分の波が激しい時に考えられる病気、特に双極性障害(躁うつ病)や適応障害の可能性について、専門医の視点からわかりやすく解説します。また、病院を受診する際のポイントや治療法についても触れていきます。

       

      1.気分の波とは?

      気分の波とは、気分が一定ではなく、変動する状態のことです。誰でも多少の気分の変化はありますが、その変動幅が大きく、日常生活に支障をきたす場合は、注意が必要です。気分の波は、以下のように現れることがあります。

      ⑴気分の高揚(躁状態)

      ・気分が異常に高ぶる、爽快な気分になる

       ・活動的になり、じっとしていられない

       ・睡眠時間が短くなっても平気

       ・考えが次々と浮かび、止まらない

       ・浪費やギャンブルなど、衝動的な行動に出る

       

      ⑵気分の落ち込み(うつ状態)

      ・気分がひどく落ち込む、憂鬱な気分が続く

      ・何もする気が起きない、疲れやすい

      ・睡眠障害(不眠または過眠)

      ・食欲不振または過食

      ・集中力や判断力の低下

       ・自分を責める、死にたいと思う

      これらの症状が、単なる気分のムラではなく、日常生活や社会生活に支障をきたすレベルである場合、専門的なサポートを受けたほうが賢明です。

       

       

      2.気分の波が激しい時に考えられる病気

      気分の波が激しい時に考えられる主な病気は、以下の通りです。

      ⑴双極性障害(躁うつ病)

      双極性障害は、躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。以前は躁うつ病と呼ばれていました。躁状態では、気分が高揚し、活動的になりますが、その反動でうつ状態に陥ることがあります。気分の波が激しく、日常生活に大きな影響を与えることがあります。

       

      ⑵適応障害

      適応障害は、ストレスの原因となる出来事や環境の変化に対応できず、心身の不調が現れる病気です。気分の落ち込みや不安、イライラなどが主な症状ですが、気分の波として現れることもあります。ストレスの原因がなくなれば、症状は改善することが多いです。職場や家庭でのストレスが原因となることがあります。

       

      ⑶うつ病

      うつ病は、気分の落ち込みが2週間以上続く状態です。気分の落ち込みが中心的な症状ですが、気分の波として現れることもあります。うつ状態を引き起こす原因には体の病気もありますが、体の病気がないのにうつ状態が現れる病気をうつ病と呼びます。

       

      ⑷その他の心の病気

      その他にも、境界性パーソナリティ障害、月経前症候群(PMS)など、気分の波を伴う病気があります。これらの病気も、専門医による適切な診断と治療が必要です。

       

       

      3.病院に行くべきかどうかの判断基準

      以下の項目を参考に、ご自身の状態をチェックしてみてください。

      ⑴日常生活への影響度

         □気分の波によって、仕事や学校、プライベートな活動に支障が出ている

         □気分の変動が激しく、周囲の人との関係がうまくいかない

         □日常生活で常に不安や緊張を感じている

         □症状が長期間(数ヶ月以上)続いている

       

      ⑵症状の程度

         □症状が強く、日常生活に大きな苦痛を感じている

         □躁状態やうつ状態が交互に現れる

         □症状が改善しない、または悪化している

         □睡眠障害や食欲不振など、身体症状が強く出ている

       

      ⑶自己対処の限界

        □自分で色々試してみたが、症状が改善しない

        □症状をコントロールすることが難しいと感じる

        □一人で悩みを抱え込んでいる

       

      上記の項目に複数当てはまる場合、専門医への相談を検討することをおすすめします。

       

       

      4.精神科・心療内科を受診するメリット

      精神科や心療内科を受診することは、多くの方にとってはハードルが高いと思われがちですが、さまざまなメリットが得られますので、早めの受診をご検討ください。

      ・医師による正確な診断を受けられる

      気分の浮き沈みや精神的な不調の原因はさまざまであり、自己判断が難しい場合もあります。専門医は、丁寧な聞き取りを通じて、うつ病や双極性障害、適応障害などの可能性を慎重に検討し、的確な診断を下します。これにより、症状に合った適切な治療方針を立てることができます。

       

      ・治療の選択肢が豊富である

      薬物療法では、気分安定薬や抗うつ薬などを用いて、症状を緩和することができます。また、心理療法として認知行動療法などを取り入れることで、考え方や行動パターンを見直し、症状の改善を目指します。さらに、生活習慣の見直しやストレス管理の方法についてのアドバイスを受けることもできるため、総合的なケアが可能になります。

       

      専門医と悩みを共有することで、精神的な安心感を得られるのも大きなメリットです。心の不調を抱えていると、一人で悩みがちですが、専門家に話を聞いてもらうことで気持ちが軽くなり、孤独感が和らぐこともあります。

      精神科や心療内科は、単に治療を受ける場所ではなく、心の負担を軽減し、より健やかな生活を送るためのサポートを受ける場でもあります。

       

  • あがり症の症状が強い時、病院に行くべきでしょうか? 精神科コラム
    • この記事では、あがり症の症状、病院に行くべきかどうかの判断基準について書いていきます。

      「人前で話すとき、心臓がドキドキして頭が真っ白になる…」

      もしあなたがそう感じているなら、それは「あがり症」かもしれません。あがり症は、社会不安障害の一種であり、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。

       

      1.あがり症について

      「人前で話すときや注目を浴びる場面で、強い不安や緊張を感じる状態」です。具体的には、以下のような症状が現れることがあります。

      ⑴精神的な症状

      ・強い不安や恐怖を感じる

      ・頭が真っ白になる

       ・考えがまとまらない

       ・失敗することへの強い恐れ

       ・人からどう見られているか過剰に気にする

      ⑵身体的な症状

      ・動悸、息切れ

      ・発汗

      ・手の震え、身体の震え

       ・赤面

      ・吐き気、腹痛

      ・声が震える、声が出なくなる

       

      これらの症状は、単なる緊張ではなく、日常生活や社会生活に支障をきたすレベルである場合、専門的なサポートを受けたほうが良い状態です。

       

       

      2.あがり症と社会不安障害

      あがり症は、社会不安障害(社交不安障害)の一つの症状として捉えられることがあります。

      社会不安障害とは、他人から注目される対人的・社交的な場面で強い不安や緊張を感じ、赤面、震え、息苦しさなどの身体症状が出る病気です。社会不安障害の人は、恥をかくことを恐れ、そのような社会的状況を避けようとする傾向があります(社会不安障害は、近年治療可能な病気であることがわかってきており、適切な治療を受けることで症状の改善が期待できます)。

       

       

      3.病院に行くべきかどうかの判断基準

      以下の項目を参考に、ご自身の状態をチェックしてみてください。

      ⑴日常生活への影響度

        □あがり症の症状のために、仕事や学校、プライベートな活動に支障が出ている

        □人前に出ることを極力避けている

       □日常生活で常に不安を感じている

        □症状が長期間(数ヶ月以上)続いている

       

      ⑵症状の程度

        □症状が強く、日常生活に大きな苦痛を感じている

        □症状が改善しない、または悪化している

        □動悸や吐き気など、身体症状が強く出ている

       

      ⑶自己対処の限界

        □自分で色々試してみたが、症状が改善しない

        □症状をコントロールすることが難しいと感じる

        □一人で悩みを抱え込んでいる

       

      上記の項目に複数当てはまる場合、専門医への相談を検討することをおすすめします。

       

       

      4.精神科・心療内科を受診するメリット

      専門医を受診することで、以下のメリットが期待できます。

      ・正確な診断

      医師は、あなたの症状を詳しく聞き取り、あがり症だけでなく、他の心の病気(うつ病、パニック障害など)との鑑別診断を行います。

       

      ・適切な治療法の提案

       ①薬物療法:症状を緩和する薬(抗不安薬など)が有効な場合があります。

      ②心理療法:認知行動療法など、考え方や行動パターンを変えることで症状を改善する治療法があります。

      ③その他の治療法:必要に応じて、リラクゼーション法、呼吸法などの指導も受けられます。

       

      ・継続的なサポート

      症状の経過を観察し、治療効果や副作用をチェックしながら、あなたに合った治療法を継続的に提供してくれます。

       

      ・安心感

      専門家と悩みを共有することで、精神的な安心感が得られ、孤独感を解消できます。

      5.治療の選択肢

      あがり症の治療法は、症状の程度や個人の状況によって異なります。一般的な治療法を紹介します。

      ・薬物療法:SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬、抗不安薬などの薬を服用することで、不安や緊張を和らげることができます。

      ・認知行動療法:不安を生じさせる考え方や行動パターンを修正する治療法です。

      ・リラクゼーション法:深呼吸や瞑想などにより、心身の緊張を和らげる方法です。

      ・暴露療法:あがり症の原因となる場面に少しずつ慣れていく治療法です。

       

      これらの治療法を組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。

      あがり症は、決して一人で抱え込むべき問題ではありません。専門家のサポートを受けることで、症状を改善し、より快適な生活を送りましょう。

       

       

  • やる気がでない、ずっと寝ていたい…その裏に潜む病気の可能性 精神科コラム
    • 「最近、どうもやる気が起きない」「一日中寝ていたい」と感じることはありませんか?これらの症状は、一時的な疲れやストレスによるものかもしれませんが、もしかすると、何らかの病気が潜んでいるサインかもしれません。これらの症状の背景にある病気の可能性と、どのように対処すべきかについて書いていきます。

      1.やる気が出ない、寝てばかりいる状態とは

      具体的にはこれらの症状は、以下のような特徴を持ちます。

      ・意欲の低下: 何をするにも億劫で、何もしたくないと感じる

      ・疲労感: 常に疲れているように感じ、体がだるい

      ・睡眠時間の増加: 必要以上に長く寝てしまう、または、寝ても疲れが取れない

      ・活動性の低下: 外出を避ける、人と会うのが億劫になる

      ・集中力の低: 仕事や勉強に集中できない

      ・気分の落ち込み: 憂鬱な気分が続く、または、理由もなく悲しくなる

      これらの症状が長期間続く場合、単なる疲れやストレスと捉えずに、専門医に相談することが大切です。

      2.やる気が出ない、寝てばかりいる状態の背景にある可能性

      これらの症状の背景には、様々な要因が考えられます。精神科・心療内科で考慮すべき主な病気には、以下のようなものがあります。

      ・うつ病: 気分の落ち込み、意欲の低下、不眠または過眠が主な症状です。うつ病は、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで発症すると考えられています。

      ・双極性障害(躁うつ病): 気分の波が激しく、うつ状態と躁状態を繰り返す病気です。躁状態では、気分が高揚し、活動的になりますが、うつ状態では、意欲が低下し、寝てばかりいることがあります。

      ・睡眠障害: 不眠症だけでなく、過眠症も、やる気の低下や日中の眠気を引き起こす可能性があります。睡眠の質が悪いと、体が十分に休まらず、疲労感が残るからです。

      ・適応障害: ストレスの原因となる出来事に対して、過剰な反応を示す状態です。ストレスが原因で、意欲が低下し、寝てばかりいることがあります。

      ・発達障害: 発達障害を持つ方の中には、特定の状況下で意欲が低下したり、疲れやすさを感じたりする方がいます。また、睡眠リズムが乱れやすい傾向もあります。

      ・身体疾患: 甲状腺機能の異常や貧血など、身体の病気が原因で、意欲低下や疲労感が生じることがあります。特に、鉄欠乏性貧血は、だるさや疲労感を引き起こすことがあります。

      3.精神科・心療内科でのアプローチ

      精神科や心療内科では、患者様の症状を詳しくお伺いし、原因を特定するための検査を行います。具体的には、以下のようなアプローチで診療を進めます。

      ・問診: 症状の内容、発症時期、生活習慣、家族歴などを詳しくお伺いします。

      ・心理検査: 必要に応じて、心理状態を評価するための検査を行います。

      ・血液検査: 甲状腺機能や貧血の有無などを調べます。

      ・脳波検査: てんかんの可能性を調べるために実施することがあります。

      ・その他の検査: 必要に応じて、MRIやSPECT(脳の血流を画像化する検査)などの画像検査を行います。

      これらの検査結果を総合的に判断し、適切な診断と治療を開始します。

      4.治療法

      治療法は、原因によって異なりますが、主に以下の方法があります。

      ・薬物療法: 抗うつ薬、気分安定薬、睡眠導入剤などを用います。薬物療法は、症状の緩和や再発予防に有効です。

      ・精神療法: カウンセリングを通じて、ストレスの原因を特定し、対処法を学びます。

      ・生活習慣の改善: 規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけることが大切で。環境調整: 職場や家庭環境でのストレスを軽減するように調整します。

      ・光療法: 睡眠障害や季節性うつ病に有効な場合があります。

      5.自分でできる対策

      症状を緩和するために、ご自身でできる対策をいくつかご紹介します。

      ・規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝起きし、規則正しい食事を心がける

      ・適度な運動: 軽い運動をすることで、心身のリフレッシュになる

      ・リラックス: 音楽を聴いたり、入浴したりして、リラックスする時間を作る

      ・睡眠環境の整備: 寝室を暗く静かにし、快適な睡眠環境を整える

      ・カフェインやアルコールを控える: 就寝前のカフェインやアルコール摂取は避ける

      6.放置するとどうなるのか

      これらの症状を放置すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、さらに深刻な状態に陥る可能もあります。例えば、うつ病が悪化すると、自殺のリスクが高まることもあります。また、睡眠障害が慢性化すると、心身の健康に悪影響を及ぼします。その症状の奥に心身の病が潜んでいることもあり、早めに精神科や心療内科などの専門医に相談してください。

  • 夜になると脚がむずむずして眠れない…その原因について 精神科コラム
    • 「夜になると脚がむずむずして眠れない」「脚の中に虫が這っているような不快感がある」といった経験はありませんか?これらの症状は、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)と呼ばれ、睡眠不足を引き起こし、日中の活動にも影響を及ぼす可能性があります。

      1.むずむず脚症候群とは

      むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、脚に不快な感覚が生じ、じっとしていられない、動かしたいという衝動に駆られる病気です。特に夕方から夜間にかけて症状が現れやすく、睡眠を妨げる大きな要因となります。この不快感は、「むずむずする」「じりじりする」「虫が這うようだ」などと表現され、人によって感じ方が異なります。

      • むずむず脚症候群の症状

      むずむず脚症候群の主な症状は以下の通りです。

      脚の不快感: 脚の奥の方に、むずむずする、じりじりする、虫が這うような感覚が生じる

      ・動かしたい衝動: 不快感を和らげるために、脚を動かしたくなる

      ・症状の悪化: 夕方から夜間にかけて症状が悪化する

      ・睡眠障害: 脚の不快感で入眠困難になったり、夜中に目が覚めたりする

      ・症状の軽減: 脚を動かしたり、歩いたりすると一時的に症状が和らぐ

      これらの症状は、日常生活に大きな影響を与え、特に睡眠不足は、日中の眠気、集中力低下、倦怠感、気分の落ち込みなどを引き起こす可能性があります。

      • むずむず脚症候群の原因

      むずむず脚症候群の原因は、完全に解明されているわけではありませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

      ・鉄欠乏性貧血: 鉄分不足は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの生成に影響を与え、むずむず脚症候群を引き起こす可能性があります。

      ・神経伝達物質の異常: ドーパミンの機能異常が、症状の発症に関与していると考えられています。

      ・遺伝的要因: 家族にむずむず脚症候群の人がいる場合、発症リスクが高くなる可能性があると考えられます。

      ・慢性疾患: 腎不全、糖尿病、パーキンソン病などの慢性疾患が、むずむず脚症候群を引き起こすことがあります。

      ・妊娠: 妊娠中は、ホルモンバランスの変化や鉄分不足が原因で、症状が現れることがあります。

      ・特定の薬: 抗うつ薬や抗精神病薬など、特定の薬の副作用として、むずむず脚症候群が起こることがあります。

      2.精神科・心療内科の重要性

      精神科や心療内科を受診される方の中には、むずむず脚症候群を抱えている方が少なくありません。うつ病や不安障害などの精神疾患を抱えている場合、むずむず脚症候群の症状がさらに悪化することもあります。また、睡眠障害を伴う場合、精神的な不調を招く可能性もあります。

      • むずむず脚症候群の治療法

      むずむず脚症候群の治療法は、原因や症状の程度によって異なりますが、主に以下の方法があります。

      ・鉄分の補給: 鉄欠乏性貧血が原因の場合は、鉄剤の服用や食事療法で鉄分を補給します。

      ・薬物療法: ドーパミン作動薬や抗てんかん薬などの薬を服用することで、症状を緩和します。

      ・生活習慣の改善: 規則正しい生活、カフェインやアルコールの摂取を控える、適度な運動、就寝前のリラックスなどを心がけることが大切です。

      ・非薬物療法: マッサージ、温冷浴、ストレッチなども効果的です。

      • 自分でできる対策

      むずむず脚症候群の症状を緩和するために、自宅でできる対策をいくつか紹介します。

      ・就寝前のストレッチ: 脚の筋肉をほぐすストレッチを行う

      ・マッサージ: 脚を優しくマッサージする

      ・温冷: 脚を温めたり冷やしたりする

      ・カフェインやアルコールの摂取を控える: 就寝前にカフェインやアルコールを摂取しない

      ・規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝起きする

      ・リラックス: 就寝前にリラックスできる環境を作る

      3.放置するとどうなるのか?

      むずむず脚症候群を放置すると、慢性的な睡眠不足につながり、様々な問題が生じる可能性があります。具体的には、日中の眠気や倦怠感、集中力や記憶力の低下、気分の落ち込みや不安などが現れる可能性があります。これらの症状は、日常生活の質を著しく低下させるだけでなく、既存の精神疾患を悪化させる可能性も指摘されています 。

      明らかな外傷や原因がはっきりしている場合は別ですが、「脚の奥の方に、むずむずする、じりじりする、虫が這うような感覚が生じる」といった脚の不快感が続くようであれば、精神科や心療内科を受診されることをおすすめします。

  • 認知症と発達障害の見分け方!高齢者の症状に悩むあなたへ 精神科コラム
    • 年齢を重ねると、多くの人は認知機能が低下するものです。また、怒りっぽくなるなど性格の変化が出てくる方も多く、周囲の人はその言動に悩まされることがあります。その背景には認知症だけでなく、大人の発達障害が関与している可能性も考えられるのです。

      ここでは、認知症と発達障害の違いについて、書いていきます。

      1.認知症とは

      認知症とは、脳の器質的な病変によって、記憶力、判断力、理解力といった認知機能が持続的に低下する状態を指します。これは、加齢による変化とは異なり、日常生活に支障をきたすほどの影響があります。認知症にはいくつかの種類があり、最も多いのはアルツハイマー型認知症で、脳の萎縮が主な原因で、初期には記憶障害が前景に立ちます。同じく脳の萎縮が原因のレビー小体型認知症では幻視やパーキンソン症状が見られ、血管性認知症は脳血管障害によって引き起こされ、梗塞部位に関連した症状が見られます。

       

      2.発達障害とは

      発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の偏りによって、社会生活や学習に困難が生じる状態です。これは、病気というよりも個人の特性と捉えることができます。

       

      発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などがあります。これらの症状は幼少期から見られることが多く、個人差が大きいのが特徴です。また、環境の変化やストレスによって症状が変動することもあります。

      2004年に発達障害支援法がスタートし、注目されましたが、徐々に大人の発達障害についても認知されるようになりました。例えば、「単純なミスを繰り返す」、「職場によく遅刻する」、「人間関係がうまくいかないことが多い」など社会生活上問題を抱えている場合に気が付くことが多いようです。

       

      3.高齢期における認知症と発達障害の鑑別

      現在、発達障害は子供だけの問題ではありません。ある程度高齢になって発達障害の症状が問題となった場合、誤って認知症と診断されることがあります。認知症と発達障害は、発症時期、原因、症状の特徴が異なります。

      認知症は主に高齢期に発症し、徐々に進行する病気です。原因は脳の器質的な変化、例えば脳の萎縮や血管障害などが挙げられます。認知症の主な症状は、記憶力の低下であり、日常生活に支障をきたすほど影響が大きくなります。コミュニケーション能力も低下し、意思疎通が困難になることも多くなります。

       

      一方、発達障害は生まれつきの脳機能の偏りによって生じます。症状は幼少期から見られることが多いですが、大人になってから初めて表面化することもあります。病気というよりも個人の特性と捉えられます。認知症ほど記憶力の低下は見られませんが、不注意の特性により忘れ物や失くしものが多い、コミュニケーションに特有の困難さが見られることがあります。

       

      認知症と発達障害を鑑別する際の重要なポイントは以下の通りです。

      ・主な発症時期: 認知症は高齢期に発症、発達障害は幼少期から

      ・原因: 認知症は脳の器質的病変、発達障害は脳機能の偏り

      ・記憶力: 認知症では顕著な低下、発達障害では比較的保たれる(不注意による物忘れ)

      ・コミュニケーション: 認知症では意思疎通困難、発達障害では特有の困難さ(空気が読めない、相手の意図がわからないなど)

      このように、認知症と発達障害は異なる特徴を持っています。

       

      4.専門医による診断と検査

      認知症や発達障害が疑われる場合は、専門医による正確な診断が不可欠です。診断には、問診、認知機能検査、心理検査、脳画像検査、血液検査、脳波検査などが行われます。

       

      • 検査

      脳画像検査: MRIやSPECT検査を用いて脳の状態を詳しく調べます。

      MRI検査:脳の萎縮具合や梗塞の有無などを画像で確認します。

      SPECT検査:脳の血流分布を画像化して、脳の血流が低下している部位や度合いを調べる検査です。                            この検査は、てんかんの診断にも有効です。

      血液検査: 血液検査は、主に血液一般検査(赤血球、白血球、血小板等の数を見る)、生化学検査                         (肝機能、腎機能、高脂血症や糖尿病等の検査、各種ホルモンの値の検査等)や服用している                   薬物の血中濃度検査等を行います。甲状腺機能や貧血の有無を調べ、うつ状態の鑑別にも役立                ちます。また、ムズムズ足症候群の原因となる鉄欠乏性貧血を特定することもあります。

      脳波検査: 脳波は、脳の機能を評価する生理検査です。てんかんの診断と治療方針の決定に不可欠な                       検査 です。高齢発症てんかんは、しばしば認知症と間違えられることがあります。

       

      • 治療とケア

      認知症の治療には、薬物療法(抗認知症薬など)や非薬物療法(リハビリテーションなど)があります。発達障害の治療には、環境調整、ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、薬物療法などがあります。

      ・薬物療法: 認知症では症状の進行を遅らせるための抗認知症薬や脳梗塞を予防するための投薬が行われます。BPSD(心理社会的症状)の緩和のために、向精神薬(抗うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬)や漢方薬が必要に応じて使用されます。発達症では不注意の特性を改善するための薬剤や随伴する精神症状の緩和のために同じく向精神薬が用いられます。

      ・心理療法: 認知行動療法やソーシャルスキルトレーニングなど、個々の状態に応じた心理療法を行います。いずれの場合も環境調整は重要です。

      ・生活習慣の改善: バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、生活習慣の改善も重要です。

      認知症と発達障害は異なる病態ですが、どちらも早期発見と適切な対応が重要です。

  • 身体が震える症状の背後にある病気について 精神科コラム
    • 「最近、なんだか身体が震える…」と感じていませんか? このような症状は、日常生活におけるストレスや疲労が原因の場合もありますが、実は背後に様々な病気が隠れていることが考えられます。これらの疾患では、自律神経のバランスが乱れ、震え、動悸、発汗などの症状が現れるのです。また、パーキンソン病や本態性振戦といった神経内科的な疾患でも震えが見られるため、原因を特定することが重要です。

      今回の記事では、身体の震えを引き起こす可能性のある疾患について書いていきます。

       

      1.震えの背後にある病気の理由

       

      身体の震えは、一見すると単なる疲労や緊張によるものと捉えがちですが、その原因は多岐にわたります。特に、精神科や心療内科で扱う疾患と関連が深いのが、自律神経系の乱れです。

      自律神経は、私たちの意思とは無関係に、呼吸や消化、心拍数などを調整する重要な役割を担っています。ストレスや不安、抑うつといった心の状態が不安定になると、バランスが崩れやすくなります。その結果、交感神経が過剰に働き、身体が緊張状態になり、震え、動悸、発汗といった症状が現れることがあるのです。

       

      例えば、不安障害では、特定の状況や対象に対して過剰な不安を感じ、その結果として身体の震えや呼吸困難、めまいなどを伴います。パニック障害の場合、予期せぬパニック発作によって、激しい動悸や呼吸困難と共に震えを感じることがあります。

       

      うつ病では、気分の落ち込みや意欲の低下だけでなく、身体症状として震えや倦怠感、食欲不振などが現れることがあります。これらの精神疾患は、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが関与していると言われており、自律神経系を通じて身体症状を引き起こすと考えられています。

       

      また、精神的な要因だけでなく、パーキンソン病や本態性振戦のような脳神経内科的な疾患でも震えは重要な症状です。これらの疾患は、脳の特定の部位の機能異常によって運動制御がうまくいかなくなり、結果として震えを引き起こします。そのため、震えの原因を特定するためには、精神的な要因だけでなく、身体的な要因も考慮に入れる必要があります。

       

       

      2.震えの症状を伴う疾患の具体例

      身体の震えは、その原因によってさまざまな疾患が考えられます。精神科や心療内科領域、脳神経内科領域など、多岐にわたる疾患で震えが症状として現れることがあります。

      以下に、具体的な病名とそれに関連する震えの症状について解説します。

       

      • 社交不安障害(社会不安障害)

      症状: 社会的な状況や人前での行動に対して、過度な不安や恐怖を感じる障害です。プレゼンテーション、会議、初対面の人との会話など、注目を浴びる状況で、強い不安や緊張が生じます。

      震えの症状:手や声の震えが主な症状として現れます。特定の状況下でのみ震えが生じることが多く、日常生活を送る上で支障となる場合もあります。心臓がドキドキしたり、発汗したり、赤面したり、自分の意思ではコントロールできません。

       

       

      • パニック障害

      症状: 予期せぬパニック発作が繰り返し起こる疾患です。パニック発作は、激しい動悸、息切れ、めまい、吐き気などの身体症状を伴い、強い不安や恐怖を感じる状態です。

      震えの症状: 全身の震えを感じます。発作が起こるのではないかという不安(予期不安)から、常に震えを感じる場合もあります。

       

       

      • うつ病

      症状: 気分の落ち込み、意欲の低下、興味や喜びの喪失などが主な症状ですが、身体症状を伴うこともあります。不眠、食欲不振、倦怠感、集中力の低下などが現れます。

      震えの症状: 手や身体の震え、特に微細な震えがみられます。倦怠感や身体の重さ、だるさと共に震えを感じることもあります。

       

       

      • パーキンソン病

      症状: 脳内の神経伝達物質であるドーパミンの減少によって、運動機能に障害が生じる進行性の疾患です。動作緩慢、姿勢保持の困難、歩行障害などが特徴的です。また、表情が乏しくなったり、声が小さくなったりする症状も現れることがあります。

      震えの症状:安静時の震え(特に指先や手足)、筋肉のこわばりが見られます。

       

      これらの疾患以外にも、甲状腺機能亢進症や低血糖など、さまざまな病気で震えが症状として現れることがあります。震えが気になる場合は、自己判断せずに専門医を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが重要です。

       

      3.まとめ

      今回の記事では、身体の震えという症状に着目し、その背後に潜む可能性のある様々な疾患について書いていきました。精神的な要因、脳神経内科的な要因、あるいは他の身体疾患など、多岐にわたる原因が考えられます。

       

  • 広場恐怖症の症状とその対策(人混みが怖い) 精神科コラム
    • 人混みが怖いと感じるのは、「広場恐怖症」の可能性があります。広場恐怖症とは、特定の状況や場所で強い恐怖感を抱き、社会生活や行動が制限される状態を指します。この症状は、外出や人混みを避ける原因となり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。

      しかし、広場恐怖症は適切な理解と対策を通じて克服することができます。本記事では、広場恐怖症のメカニズムや具体的な症状を解説し、対策や改善方法について紹介します。

       

      1.広場恐怖症の基本的な理解 

       

      ⑴ 広場恐怖症とは何か

      広場恐怖症は、人混みや公共交通機関など、特定の状況で過剰な不安や恐怖を感じる状態です。これらの場面では、脳内の「扁桃体」が過剰に反応し、恐怖を感じる神経回路が活性化します。この結果、自律神経が緊張し、心拍数の増加や過呼吸といった身体的な反応が引き起こされます。 

      また、理性的に恐怖の理由を説明できないことが多く、本人の意志では制御できないのが特徴です。このため、症状が悪化すると社会的な活動や自由な行動が大幅に制限されることがあります。 

       

      ⑵ 発症のメカニズムと背景にある心理的要因

      広場恐怖症の発症には、過去のトラウマや心理的な要因が深く関与しています。例えば、以前に人混みでパニック発作を経験した場合、その記憶が強い不安を引き起こし、同様の場面を避ける行動につながります。この回避行動が続くことで、不安がさらに強化される悪循環が形成されます。 

      さらに、完璧主義や失敗を恐れる性格傾向、日常的なストレス、家庭環境、遺伝的な要因も発症リスクを高めるとされています。これらの要因が複合的に影響し、広場恐怖症が進行しやすくなります。

       

       

      2.広場恐怖症の具体的な症状と心身の反応

       

      (1)人混みで引き起こされる生理的な不安反応 

      広場恐怖症の典型的な身体反応には以下のものがあります。 

      – 心拍数の増加:心臓が激しく鼓動し、緊張感が増します。 

      – 過呼吸:息苦しさを感じ、呼吸が浅く速くなります。 

      – 発汗:手や額に大量の汗をかくことがあります。 

      – 筋肉の緊張:肩や首が硬直し、体がこわばります。 

       

      不安や恐怖をさらに増幅させるだけでなく、状況から「逃げ出したい」という強い衝動を引き起こします。

      また、このような身体反応が頻繁に起こると、症状そのものが新たな恐怖の対象となることもあります。例えば、「また心拍数が上がったらどうしよう」という予期不安が強まり、不安の悪循環に陥るのです。

       

      (2)恐怖感が引き起こす心理的・身体的症状の詳細 

      心理的には、広場恐怖症は単なる不安感にとどまらず、深刻な行動の変化を引き起こします。「また恐怖を感じるのではないか」という「予期不安」により、特定の状況や場所を避ける行動が強化されてしまいます。

      この結果、外出や社会的な活動を控えるようになり、友人や家族との交流が減少するなど、孤立感を深めることにつながります。さらに、社会的な役割を果たせなくなることに対する自己評価の低下が、うつ症状のリスクを高めることもあります。 

       

       

      3.広場恐怖症を克服するための段階的アプローチ 

      (1)認知行動療法を活用した恐怖心の軽減テクニック

      広場恐怖症の克服には、認知行動療法(CBT)が効果的です。具体的なアプローチは以下の通りです。 

      – エクスポージャー法(段階的暴露法)

         怖い状況に少しずつ慣れる訓練です。たとえば、人混みの写真を見る、短時間だけ人混みに入るといった段階的な方法を用います。これにより、不安を引き起こす状況への抵抗力を高めます。 

       

      – 思考の再構成 

         ネガティブな考え方をポジティブな視点に変える訓練です。「人混みでパニックになったらどうしよう」といった思考を、「深呼吸をすれば落ち着ける」と置き換えることで、不安感を軽減します。 

       

      – リラクゼーション技法の併用

         深呼吸や筋弛緩法を取り入れることで、身体的な緊張を緩和し、不安を和らげる効果があります。

       

      (2)日常生活で実践できるセルフケアの具体的な方法

      広場恐怖症の改善には、日常生活でのセルフケアも重要です。

      -ストレスマネジメント 

         リラクゼーション効果のある音楽やアロマを活用して、日常的なストレスを軽減します。 

       

      – 適度な運動

         ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、体内の緊張を和らげ、自律神経のバランスを整えます。 

       

      – サポートを得る

         家族や友人に広場恐怖症について話し、サポートを受けることが克服の助けとなります。また、支援グループに参加して同じ悩みを持つ人々と交流するのも有効です。 

       

      – 健康的な生活リズム 

         規則正しい生活と質の高い睡眠は、心身の安定に大きく寄与します。睡眠の質を高めるために、就寝前にリラックスできる時間を持ちましょう。

       

      広場恐怖症は、適切な治療やセルフケアによって克服が可能な症状です。認知行動療法を活用した段階的なアプローチや、日常生活での工夫を取り入れることで、少しずつ人混みへの恐怖を軽減していけます。

       

       

       

  • 職場のストレスが引き起こす自律神経失調症の症状と対策 精神科コラム
    • あけまして、おめでとうございます。今年もよろしく願いいたします。

      職場のストレスは、自律神経のバランスを崩し「自律神経失調症」を引き起こす可能性があります。長時間労働や人間関係の悩みが蓄積すると、体調不良や気分の落ち込みなどの症状が現れることがあるのです。

      しかし、これらの問題は対策次第で改善できます。本記事では、職場のストレスが自律神経に与える影響や代表的な症状、そして取り組みやすい対策方法について書いていきます。

      1.自律神経失調症のメカニズム、症状、そして対策

      (1)自律神経失調症のメカニズムとストレスの関係 

      • ストレスが自律神経に与える生理的影響 

      自律神経は、心拍や呼吸、消化、体温調整などの生命活動を無意識にコントロールする重要な役割を果たしています。この自律神経には、活動時に働く「交感神経」と、休息時に優位になる「副交感神経」があり、バランスを保ちながら健康な状態を維持しています。

      しかし、職場での過度なストレスが続くと、交感神経が過剰に働き、副交感神経とのバランス調整が崩れる状態が生じます。この結果、心拍数が上昇し、筋肉が緊張し、消化不良や睡眠障害などの身体的な不調が引き起こされるのです。

      •  慢性的なストレスによる神経系の変化

      ストレスが長期間続くと、脳内の「視床下部-下垂体-副腎系」が過剰に反応し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が増加します。この状態は、免疫力の低下や集中力の欠如、慢性的な疲労感を引き起こします。

      また、自律神経の調整能力が低下し、軽度のストレスでも過敏に反応するようになるため、症状が悪化しやすくなります。これが、自律神経失調症の発症メカニズムの一部です。

      (2)職場環境が誘発する自律神経失調症のサイン 

      • 心身に現れる典型的な症状

      職場のストレスが原因で自律神経失調症を発症した場合、心身に多岐にわたる症状が現れます。身体的な症状としては、頭痛や肩こり、動悸、過剰な発汗、消化不良などが挙げられます。一方、精神的な面では、不安感、イライラ、意欲の低下、軽度のうつ状態に陥ることがあります。

      特定のタイミングや状況で悪化することが多く、職場環境の影響も考えられます。

      •  職場環境に特有の悪化要因 

      自律神経失調症の症状が職場環境で悪化する背景には、いくつかの要因が考えられます。

      たとえば、長時間労働や過密なスケジュール、終わりの見えない業務量が交感神経を過剰に刺激し、心身の負担を増大させます。

      また、上司や同僚との人間関係のトラブルや、ハラスメントなど心理的な圧迫が精神的な不調を引き起こすこともあります。

      さらに、職場の物理的な環境、たとえば騒音や冷暖房の過剰な使用、適切な休憩時間の確保が難しい状況も影響します。こうした要因が積み重なることで、症状が慢性化しやすくなるため、環境要因を見直すことが改善への第一歩となるでしょう。

      2.自律神経失調症を改善するセルフケアと生活習慣の見直し 

      (1)ストレス管理のためのリラックステクニック 

      以下の方法を取り入れることで、自律神経のバランスを整える助けとなります。 

      ・深呼吸法

         鼻から5秒吸い、7秒間息を止め、10秒かけて口からゆっくり吐く方法を実践しましょう。この深呼吸は副交感神経を活性化させ、心身のリラックス効果をもたらします。1日数回行うだけでも、ストレス軽減に役立ちます。 

      ・マインドフルネス瞑想 

         短時間でも現在の感覚に意識を向けることで、リラックス効果が得られます。業務の合間に、自分の呼吸や周囲の音に集中してみましょう。科学的にも自律神経バランスを整える効果が証明されています。 

      ・短時間のストレッチ

         肩や首、背中を軽くストレッチすることで、筋肉の緊張を緩和し、交感神経の過剰な働きを抑えます。

      (2)規則正しい生活習慣の確立

      生活習慣の見直しは、自律神経失調症の改善に欠かせません。

      ・生活リズムの安定

         毎日の起床・就寝時間を一定に保つことが重要です。特に、就寝前1時間はスマートフォンやパソコンの使用を控え、目から入る光や情報を減らしましょう。 

      ・適度な運動

         軽度の有酸素運動、特にウォーキングやヨガは副交感神経を刺激し、ストレス解消に効果的です。自然の中での運動はさらにリラクゼーション効果を高めます。

      職場のストレスが原因で引き起こされる自律神経失調症は、セルフケアや生活習慣の見直しによって改善が期待できます。また、規則正しい生活リズムやバランスの取れた食事、運動を心がけることも重要です。