心療内科・精神科とよだクリニック

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※木曜日、日曜日と祝日は休診
午前 9:00~13:00 × ×
午後16:00~19:00 × × ×

2023年の一覧

  • 休診のお知らせ お知らせ
      • 令和5年12月30日(土)~令和6年1月4日(木)の間、休診とさせていただきます。
      • 令和6年1月5日(金)より通常通りの診療となります。
      • ご予約は診療時間内にお電話をお願いいたします。
      • 来院時はマスク着用でお願いいたします。
  • ギャンブル依存症への理解と精神科医の役割 精神科コラム
    • ギャンブル依存症への理解と精神科医の役割についてのコラムです。

      ギャンブル依存症は、精神疾患に含まれます。本記事では、精神科医の視点からギャンブル依存症について解説しています。その特徴や周囲への影響について紹介し、精神科医の役割や治療法に焦点を当てます。患者様とその家族へのサポートについてもお伝えします。

       

      依存症とは?

      依存症は精神疾患の一種です。特定の物事に頼ることをやめられない状態であり、やめようと思っても簡単にはやめられない状態とされています。

       

      依存症の代表的な対象には、アルコール、薬物、ギャンブルなどがあります。

      依存症になると、その行為を繰り返さないと満足できなくなり、自らの力では止めることができなくなります。その結果、心身に障害が生じ、家庭生活や社会生活に悪影響が及ぶことがある疾患です。

      また、依存症は、糖尿病や高血圧のような慢性疾患と同様の状態とも考えられます。放置すればどんどん進行し、やめることで進行は停止します。ただし、長くやめていても気を抜けば再発する可能性が高く、継続したて様々な助けを借りながら、やめ続けることが大切です。

       

      ギャンブル依存症について

      個人がギャンブルに異常な執着を示す精神疾患です。

      依存症の中でも、対象がギャンブルに向けられた場合にギャンブル依存症と呼ばれます。

      ギャンブルに対する強い欲求や賭け金の増加、そして個人の財政状況に深刻な影響を及ぼす特徴が見られます。

       

      経済的な問題、心理的なストレス、そして家庭内の摩擦などが生じ、これがさらに広がると、うつ病や多重債務、家庭問題、虐待、自殺、犯罪などの社会的な問題を引き起こす可能性があります。

       

      このような依存症は、適切な治療と支援を受けることで回復が可能です。しかし、本人が自らの状況を正しく認識できない場合もあり、症状が悪化する可能性や、借金などの問題が深刻化するリスクもあります。

       

      ギャンブル依存症に悩む本人はもとより、そのご家族は、専門の相談窓口を活用し、医療機関において治療を検討しましょう。

       

       

      具体的な治療法について

       

       ・認知行動療法

      ギャンブル依存症を管理するための効果的な方法の一つが認知行動療法です。患者様は自分の思考パターンや行動を変えることで、ギャンブル依存症に対処します。ギャンブルに関連する誘因やトリガーを認識し、それに対処するスキルを身につけることが目的です。

       

      ・薬物療法

      ギャンブルをすることで、脳内のドーパミン神経が活性化、快感を得られます。ドーパミン神経が過剰に活性化された状態が長く続くことで、依存症が生じます。

      ギャンブル依存症に関連する神経伝達物質の異常に対処するため、薬物療法が利用されます。薬物療法には、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や気分安定薬が含まれます。これらの薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整える作用があり、うつ病や不安障害などの治療にも使われます。それにより、ドーパミン神経系の活性を抑制し、ギャンブル依存症の症状を軽減する効果が期待されます。

       

      ・治療の実施

      治療は通常、精神科外来で行われます。心理療法、薬物療法、作業療法、生活環境の調整などが患者の状況に合わせて組み合わせられます。治療の過程で、依存症を理解し、それに対処するためのスキルを獲得することが目指されます。

       

      ギャンブル依存症の治療においては、患者様本人の自覚が重要です。

      依存症を認めることで、治療に向けたステップを踏むことが可能になります。

      ギャンブル依存症は、適切な支援を受けることで回復が可能な病気です。

       

       

      サポートと家族へのアプローチ

      ギャンブル依存症は、患者様のみならずその家族にも大きな影響を及ぼします。

      このため、精神科医は家族との関係を築き、家族に適切なサポートを持続的に提供する必要があります。必要に応じて、家族カウンセリングや家族会などのグループへの参加を促します。これは患者様とその家族の回復に効果的な支援となります。

       

       

       

       

  • 精神科とはどんなところ?その疑問を解消 精神科コラム
    • 精神科と聞くと「うつ病や統合失調症などの治療をするところで自分には関係ない」という認識の方がほとんどだと思います。しかし、現代社会において、心の病にかかることは珍しいことではありません。いつ自分自身や家族が症状を訴えてもおかしくないのです。
      そして、心の健康(メンタルヘルス)は、私たちの全体的な幸福において極めて重要な役割を果たしています。

      心の病も体の病と同様に早期発見・早期治療が大切です。心の病院である精神科・心療内科について、皆さまの疑問が解消できるように紹介していきます。

       

       

      来院患者様の悩み

      どんな悩みを抱えた方が来院されるのか紹介します。

       

      ・最近物忘れがひどい

      ・人混みがこわい

      ・突然不安や恐怖が襲ってくる

      ・寝つけない、不眠

      ・仕事に行くのがつらい 

      ・気が滅入る、寂しい

      ・急に心臓がドキドキする

      ・やる気が起こらない

      ・自分を必要以上に責めてしまう

      ・赤面、あがり症

      ・気分に波がある

      ・お酒を飲んでいないのに記憶が飛ぶ

      ・脚がムズムズする

       

      他にもまだまだ症状はありますが、その一部を紹介しました。

      生活や仕事に支障がなければ、気にしすぎることもよくありませんが、不安な方はいつでもご相談ください。

       

       

      精神科の介入が必要な症状

      特定の症状がある方は、直ちに精神科の診察を受ける必要があります。重度の気分の変動、持続する絶望感、幻覚、自殺願望は、治療の必要がある重大な兆候です。これらの症状の原因を探り、理解することは、早期介入と早期治療にとって非常に重要となります。

       

       

      精神科と内科など他科の区別

      内科やその他の科では主に、身体的な健康問題を扱います。精神科は不安、うつ病、双極性障害、統合失調症などの症状を含む精神的な健康に焦点を当てています。

      慢性的な成人病を抱える患者さんの中には、メンタル面の不調を抱え悩んでいる方もいます。身体的不調から内科で治療を受けている場合でも、平行して心療内科や精神科を受診するケースもあります。

       

      家族の役割

      家族は、行動の変化や精神科ケアの必要性を示す兆候を特定する上で重要な役割を果たします。突然の社会的引きこもり、極端な気分の変動、薬物乱用、または突然の性格の変化が現れた場合、精神疾患を疑い、早期に専門家のアドバイスや、心療内科や精神科にて受診をするように促すことが大切です。

      また、治療は継続して長期にわたる場合もあり、家族や周囲の人のサポートが不可欠です。

       

       

      精神科における治療

      精神科治療には多様なアプローチが組み込まれており、多くの場合、個人のニーズに合わせて調整されます。これらには、心理療法、薬物療法、またはその両方の組み合わせが含まれます。治療法の選択は、診断された状態、重症度、患者の希望によって異なります。たとえば、認知行動療法(CBT)は不安などの症状の管理に役立ちますが、統合失調症の重度の場合には投薬が必要になる場合があります。

       

       

      精神科はどんなところだろう?と敷居を高く感じていた方もいらっしゃるでしょう。近年、「うつ病は心の風邪」という言葉も耳にするようになりました。

      身体が風邪を引けば内科を受診し治療します。心が風邪をひいたときの病院が心療内科や精神科です。身体の風邪をこじらせ肺炎にまでなってしまうと入院になるなど治療に時間もお金もかかります。心の風邪も早期発見・早期治療が重要です。

       

  • 声がでない、心因性失声症の理解と精神科の治療 精神科コラム
    • 心因性失声症は精神的な要因によって引き起こされる声の喪失状態です。この記事では、精神科医師が、心因性失声症についての背景、診断方法、精神科治療のアプローチ、患者様が取るべき行動などについて詳しく解説します。

      心因性失声症とは何か?

      心因性失声症は、声帯や筋肉には明確な問題がないにもかかわらず、声が出なくなる状態です。この状態は、心理的な負担やストレスによって引き起こされ、患者様は言葉を発することができない状態になります。

      たとえば、トラウマやストレス、不安、または心的外傷後ストレス障害(PTSD)などが原因となることがあります。

      また、声が出ないという症状だけでなく、声が出てもかすれ、しわがれ声になってしまう、声の出し方すらわからなくなる等の状態も含みます。

      男性にも見られますが、30歳以上の女性に多い疾患です。ただし、強いストレスによる発症は小児にも可能性はあり、注意が必要です。

      なんの前触れもなく、突然、声が出なくなることもあり、声帯や脳の病気を疑われ、病院を受診されますが異常がなく、精神科、心療内科を受診されるケースがほとんどです。

      症状と特徴

      声が失われると、かなり不安を感じ、周囲とのコミュニケーションも難しくなります。ときには過呼吸を引き起こすこともあり、早期の対策が必要です。特徴的な点は、声帯や喉、脳など身体的な問題が見られないことです。このため、心因性失声症は身体的な原因ではなく、精神的な要因によるものといえます。

      以前はヒステリー障害とも呼ばれていましたが、 現在では「転換性障害」と呼ばれる心の病気に分類されています。転換性障害は、強いストレスへの自己防衛の1つで、体の運動や感覚に様々な症状が出ます。その症状の1つに、声が出なくなる「失声」があります。

      転換性障害の症状には、他にもろれつが回らなくなる(構音障害)、ものが二重に見える(複視)、手足が動かなくなる麻痺、立ったり歩いたりできない「失立失歩」などの症状もあります。どれも、心理的な問題がからだの症状や機能障害に転換されて表現されるものと考えられています。

      女性に多い原因の一つとして、社会進出で会社での立場や責任などで悩んでいる、会社や家族、恋愛関係、友人関係など人間関係が上手くいかない、周囲との関係で欲求が満たされないときなどに突然起こることが多いと考えられます。また、ホルモンバランスが崩れやすいなどの影響もあります。感情が不安定となり、身体の機能障害として現れます。

      診断と治療

      心因性失声症の診断は、身体的な問題がないことを確認することから始まります。

      問診やカウンセリングで、失声症の原因となったストレスが何かを調べていきます。

      また、声が出ないのが一時的なものなのかも観察します。

      その後、心理療法や発声訓練、抗うつ薬、抗不安薬を使用する治療が行われます。

      心理療法は、患者が声を取り戻すためのプロセスを支援し、不安やストレスを軽減するために役立ちます。カウンセリングによって気持ちが軽くなれば、それだけで効果があり、自然治癒することがあります。一時的な症状であればストレス原因から距離をおくなど適切な対処をすれば、さほど心配はありません。

      ただし、声が出ない状態が長期に継続しており、心理療法の効果がでていない場合には、うつ病など他の精神疾患を併発する危険があります。

      そうなる前に、精神安定剤などの薬物療法もあわせて用いることも検討します。薬物療法は症状の緩和を図るものであり、補助的な役割になります。症状が長期継続している場合には特効薬がないため、時間をかけて治療を進める必要があります。

      医師だけでなく、家族など周囲の方のサポートも重要です。

      心因性失声症は治療に数か月かかる場合もあり、早期に適切な治療と周囲のサポートを受けることで回復の可能性が高まります。

      失声症は突然発症することが多く、患者様の不安ははかりしれません。

      声がでにくい、強いストレスにさらされているなど当てはまる症状があれば、早めにご相談ください。

  • 境界性人格障害の基本と治療法 精神科コラム
    • 精神科の視点から境界線人格障害についてのコラムです。

      境界性人格障害は、複雑な疾患であり、患者様の日常生活や人間関係に深刻な影響を与えることがあります。この障害は感情の不安定さ、自己イメージの不安定性、そして衝動性の問題を特徴としています。

      本コラムでは、境界性人格障害の特徴や診断基準に加えて、精神科医としての視点から有効な治療法について書いていきます。患者様の痛みを理解し、最適なケアを提供するための知識です。

      境界性人格障害の特徴

      境界性人格障害は人格障害の一種で、その本質は感情の不安定さ、人間関係の困難さ、そして衝動性の問題です。人格障害はパーソナリティー(人格)が不安定であり、自ら悩むか他人を害するという特性を持ちます。境界性人格障害は、感情の急激な変化が特徴で、日常生活における安定が難しくなります。

      人格障害には、遺伝子と環境の相互作用が関与しており、遺伝的な傾向が環境的な要因によって影響を受けることで発症することがあります。治療において、心理療法や精神療法が中心となり、症状の軽減が期待されますが、個々のパーソナリティによる疾患であるため、長期にわたる治療が必要となることもあります。

      境界性人格障害の代表的特徴

      境界性人格障害は、以下の代表的な特徴を持っています。

      ・スプリッティング(二分法的思考):他者を極端に良いか悪いかに分ける傾向があります。

      ・自己への敏感さ:自分自身に対する評価や態度に敏感で、一貫性に欠ける自己イメージがあります。

      ・周囲の人々を操作しようとする傾向: 他人を自分の思い通りに動かそうとする行動が見られます。

      ・衝動的な行動傾向:決断や行動を突然に行い、その後後悔することがあります。これには自傷行為や薬物乱用が含まれます。

      ・気分の不安定性:感情の急激な変化があり、他人がついていけないほど頻繁に変わります。

      ・激しい怒りと傷つきやすさ:感情のコントロールが難しく、怒りっぽい一方で傷つきやすい傾向があります。

      ・自傷行為と自殺的行動の繰り返し: 自傷や自殺の行動やそぶりが繰り返され、周囲に心配や動揺を与えます。

      ・同一性拡散: 自己イメージや自己認識の変化が頻繁に起こり、自己同一性の確立が困難です。

      ・精神病症状に近縁の症状: 妄想反応や解離反応など、一過性の精神病的な症状に似た経験があります。

      境界性人格障害は、人間関係、自己像、気分、行動の不安定性を特徴とし、拒絶や見捨てられる可能性に極度に過敏です。

      境界性人格障害の診断基準

      診断の重要性

      米国精神医学会のDSM5によると、境界性人格障害の診断基準は、特定の特徴が5つ(またはそれ以上)現れることとされます。その特徴には、人間関係、自己像、感情の不安定さ、衝動性の広範な様式が含まれます。

      具体的な診断基準

      境界性人格障害の診断基準には、見捨てられることへの恐れやそれを避けるためのなりふり構わない努力、不安定な人間関係、自己イメージの不安定さ、衝動的な行動、自傷行為、感情の不安定さ、空虚感、怒りの制御の困難、妄想様観念などが含まれます。

      これらの症状が一つのパターンとして現れる際に診断が下されます。

      医療的アプローチの重要性

      境界性人格障害の治療には、薬物療法と心理療法が不可欠です。これらの治療法は、症状の管理や患者の自己調整能力の向上に大きく寄与します。

      ・薬物療法とその役割

      薬物療法では、抗うつ剤や抗不安薬が感情の安定や怒りのコントロールに役立ちます。これらの薬物は気分の落ち込みや強い不安感などの症状を和らげるのに役立ちます。ただし、個人差や副作用、薬物乱用には留意する必要があります。

      ・心理療法とその重要性

      心理療法は特に重要で、認知行動療法が有効です。精神科医や臨床心理士によるカウンセリングや行動療法に根気よく取り組みます。これらのアプローチは、患者の症状管理や自己調整能力の向上に効果的です。

      ・治療期間と成果

      適切な治療によって、自傷行為や自殺企図、怒りのコントロールが改善される傾向があります。

      実際の診察の際は、各患者様の症状に合わせ、医師と患者様が協力して治療を行います。個人差や副作用の問題もありますので、状態にあわせて薬の種類を変更、または、治療方針を変更する場合もあります。不明な点はお気軽にご相談ください。

  • 睡眠障害と向き合う、不眠症患者様への精神科医のサポート 精神科コラム
    • 精神科の視点から、睡眠障害についてのコラムです。

      質の良い睡眠は、身体と精神の健康に欠かせない要素ですが、不眠症は多くの人々に影響を及ぼしています。不眠症は単なる「寝付けない」だけではなく、日中の機能や生活の質にも深刻な影響を及ぼすことがあります。

      この記事では、不眠症の症状、原因、そして精神科医がどのように患者様をサポートするかについて説明し、質の良い睡眠を取り戻すためのアプローチについて述べていきます。

      睡眠障害とは

      睡眠に影響が出る病気の総称です。不眠症、過眠症、睡眠時随伴症、概日リズム睡眠障害などが含まれます。

      不眠症は、なかなか寝付けない、途中で目が覚めてしまうなどの症状が慢性的に続く病気です。日本人の約5人に1人は不眠症だといわれています。

      睡眠障害は、20~30歳代から始まり、中年以降で急激に増加し、40~50歳代でピークを迎えます。中でも最も多いのは不眠症で、20代・30代で「不眠症の疑いが高い」人が6割程度と、他の年代と比べて割合が高い傾向にあります。

      睡眠障害の原因とは?

      睡眠障害の原因は、環境要因、身体的要因、精神的要因など、さまざまなものがあります。

       環境要因

      • 時差がある場所
      • 寝具や枕が変わる
      • 寝室の温度や湿度
      • 騒音

      身体的要因

      • 高血圧や心臓病、糖尿病、呼吸器疾患、アレルギー疾患などの病気
      • 年齢、性差、頻尿、痛み

      精神的要因

      • うつ病
      • 悩みや緊張から起こるストレスの影響
      • 神経質で睡眠にもこだわりやすい性格傾向

      また、薬剤の副作用やアルコール、カフェイン、タバコなどの嗜好品も原因となることがあります。

      睡眠障害の治療

      治療で最も大事なことは睡眠衛生指導(正しい睡眠習慣に関する教育指導)です。次に睡眠導入剤(睡眠薬)の投与となります。従来は主にベンゾジアゼピン系睡眠導入剤を使用してきました。作用時間により超短時間型、短時間型、中間型、長時間型と分類され、症状により使い分けます。

      最近ではメラトニン作動薬(ロゼレム)、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ、デエビゴ)等従来の睡眠薬と作用機序が異なる睡眠薬が発売されています。患者様の状態を見ながら使用していきます。

      精神科医の役割

      睡眠障害は、多くの人にとって身近な問題であり、一晩中寝つけない経験は苦痛に感じるのではないでしょうか。不眠が継続し、日常生活に深刻な影響を及ぼす場合、精神科医のサポートは不可欠です。

      以下は、精神科医の一般的な役割と、睡眠障害の治療やケアについての具体例です。

      ・精神的健康状態の評価

      睡眠障害は、精神的な健康に密接に関連していることがあります。精神科医は患者様の精神的な健康状態を評価し、不眠症がうつ病、不安障害、または他の精神疾患の症状と関連しているかどうかを判断します。具体的な例として、不眠症に悩む患者様にうつ病の既往がある場合、精神科医はその関連性を考慮しながら治療計画を立てます。

      ・個別の治療プランの設定

       睡眠障害は多くの異なる原因によって引き起こされるため、一般的な治療法が効果的でないことがあります。精神科医は患者様の症状と生活状況に合わせて個別の治療プランを設定し、最適なアプローチを提供します。例えば、過度のストレスによって不眠症が生じている場合、リラクセーション法やストレス管理戦略を含む治療プランが提案されることがあります。

      ・薬物療法の管理

      不眠症の治療には薬物療法が適していますが、薬物の選択と使用は専門的な知識が必要です。精神科医は、患者様に適切な薬物療法を提供し、効果と副作用をモニタリングします。たとえば、不眠症に対して抗不安薬や睡眠薬が処方された場合、精神科医は患者様の反応(効果と副作用など)を定期的に評価し、調整が必要な場合に対応します。

      ・行動療法と認知療法

      精神科医は行動療法や認知療法を用いて、不眠症患者様に対して、睡眠の習慣や行動を改善するためのアドバイスやトレーニング、睡眠の質を向上させる手助けをいます。

      睡眠障害は個人によって異なる要因に起因するため、精神科医の専門的な知識とケアが非常に重要です。

  • パニック障害の症状:精神科医のサポートについて 精神科コラム
    • 精神科の視点からパニック障害の症状についてのコラムです。

      パニック障害は、恐怖や不安が急激・発作的に現れ、体験者に大きな苦痛をもたらす疾患です。この記事では、パニック障害の症状、原因、そして治療法について説明し、患者様へのサポートについてお書きします。

      パニック障害に苦しむ方々への理解と支援、そして、健康で充実した生活を取り戻すための情報を提供します。

      パニック障害の症状とは何か?

      パニック障害は、急激に生じるパニック発作を特徴とし、以下のような症状が現れます。

      パニック発作の症状

      – 突然出現する恐怖感や不安

      – 心臓の激しい鼓動

      – 呼吸困難

      – 動悸や胸痛

      – 発汗や手の震え

      – 現実感の喪失

      身体的症状の例

      身体的な症状としては、上記の症状に加え、吐き気や腹痛、頭痛、胸痛、めまい、ふらつき、熱い冷たい等の感覚、逆に感覚がマヒするなどがあげられます。また、吐き気やお腹の不快感、息が詰まる感じなどもあります。これらの症状が同時に発生することで、患者様は非常に苦痛を感じることがあります。

      精神的症状の例

      精神的な症状には、現実感が無くなり、恐怖感や死への恐怖、自己の制御を失う感覚、気が狂うのではないかという心配などが含まれます。患者様は、自身が重症の病気ではないか、命を失うのではないかという不安に襲われます。

      パニック障害の症状が起こる理由

      パニック障害の症状は、複数の要因によって引き起こされると考えられています。

      生物学的要因

      生物学的要因には、脳内の神経伝達物質の不均衡や遺伝的要因が関与しています。遺伝的な要因により、パニック障害が家族内集積(複数の家族に同じ病気が生じる)することがあります。

      環境要因

      環境要因としては、過度のストレスや外的なトラウマが影響を与えることがあります。過去のトラウマ体験やストレスフルな生活状況が、発作の誘因となることがあります。

      精神科医の役割

      パニック障害は、突然の強い恐怖感や不安が発作的に起こり、日常生活に支障をきたすことがあります。精神科医は、この症状に専門的なケアを提供し、患者様が健康な生活を取り戻すお手伝いをします。以下は、精神科医の一般的な役割と、パニック障害の治療やケアについての具体例です。

      ・診断

      精神科医は、患者様の症状を詳しく評価し、正確な診断を行います。具体的な症状、発作の頻度、およびトリガー要因を把握することは、適切な治療計画を立てるために重要です。例えば、患者様が広場恐怖(閉所恐怖症)に関連したパニック発作を経験している場合、その背後にある恐怖を特定することが治療の出発点です。

      ・認知行動療法

      パニック障害の治療に効果的なアプローチの一つです。精神科医は、患者に対して認知行動療法を行い、恐怖感や不安を管理し、パニック発作への対処方法を教えます。具体的なテクニックとして、恐怖の階層化、深呼吸、リラクセーション法の訓練が行われます。

      ・薬物療法

       必要に応じて薬物療法を行います。抗不安薬や抗うつ薬が、パニック障害の症状を軽減します。精神科医は、患者様の個別の状態に合わせて適切な薬物療法を提案し、モニタリングを行います。

      ・教育とサポート

      パニック障害に関する正確な情報を提供し、自己管理スキルを向上させるサポートを行います。また、治療の進行状況をモニタリングし、必要に応じて治療計画を調整します。

      ・トリガーの特定と対処

       精神科医は、患者様がパニック発作を引き起こすトリガーを特定し、それに対処する方法を提案します。

      パニック障害の治療は個々の症状に合わせて行われます。精神科医は患者様のパートナーとして、症状の緩和や心の健康の向上に向けて協力し、持続的なサポートを提供します。

      パニック障害は、心の健康に影響を及ぼす深刻な疾患であり、その症状は日常生活に大きな制約をもたらすことがあります。しかし、適切な治療とサポートを受ければ、これを克服することは可能です。

      また、単なる心の持ちようで生じるものではありません。この疾患は生物学的な変化に基づくものであり、適切な治療方法が確立されています。

  • パニック障害に伴う吐き気の対策 精神科コラム
    • 精神科の視点からパニック障害に伴う吐き気の対策についてのコラムです

       

      パニック障害に伴う吐き気は心身の問題として考える必要があります。パニック障害は心の問題だけでなく、体調不良を引き起こす可能性があります。吐き気はストレスや不安感が強いときに頻繁に見られる症状です。これらの症状は、生活の質を著しく低下させる可能性があります。パニック障害と吐き気の関連性を理解し、適切な対策を講じることで、日々の生活をより良くすることができます。

       

      パニック障害と吐き気の関係

      パニック障害は、突然の強烈な恐怖や不安感に襲われる疾患で、その症状は突如として現れます。以下、事例。

      事例:『ある日、電車の中で突然心臓が高鳴り、息ができなくなった感覚に襲われました。周りがぼやけ、震えや冷汗が止まらない。そんな中、彼の胃も重たく感じ始め、強い吐き気に襲われました。』

       

      このようなパニック発作は、心拍数の増加や息切れといった循環器、呼吸器系の症状とともに、吐き気や胃の違和感を伴うことがあります。実際に、多くの患者がこれらの身体的症状を最も恐れています。なぜなら、その症状が突然の死や病気を予兆していると誤解しやすいからです。

       

      パニック障害における吐き気の原因は、強いストレスや恐怖感が自律神経のバランスを乱すことによります。自律神経が乱れると、消化器系の動きも不規則となり、胃の内容物が逆流しやすくなったり、胃壁の収縮が激しくなったりします。この結果、吐き気や胃の違和感が生じるのです。

      このような症状が突如として発生することで、患者は公共の場所や外出を恐れるようになることもあります。しかし、疾患の理解と適切な治療により、パニック障害は十分に管理することができます。

       

      吐き気の原因と対策

      パニック障害による吐き気の原因を理解することで、その対策を立てることもできます。精神的な緊張や不安は、自律神経を乱し、消化器系の働きを阻害します。これが吐き気を引き起こす主な理由です。さらに、この吐き気により、パニック障害の発作を引き起こす可能性もあり、その結果として更なる吐き気を引き起こすという悪循環を生み出すことがあります。

       

      この悪循環を断ち切るためには、吐き気の対策が重要になります。まず、深呼吸や瞑想などのリラクゼーションテクニックが有効です。これらは、自律神経のバランスを整え、ストレスを軽減するのに役立ちます。また、食事療法も重要です。

      特に、吐き気を引き起こす可能性のある刺激物や脂質の多い食事は避け、小分けにして頻繁に食事を取ることをお勧めします。さらに、医師の指導のもとで薬物療法を行うことも有効です。抗不安薬や抗うつ薬がパニック障害の症状を緩和し、吐き気を抑える助けとなることがあります。

       

       

      精神科での対策の重要性

      パニック障害に伴う吐き気は、適切な理解と対策があれば改善が見込めます。患者さん自身が症状を理解し、自分の体調に合わせた対策を行うことが重要です。リラクゼーションテクニックや食事療法など、日常生活での自己対策も大切ですが、必要な時には精神科医の専門的な助けを借りることも忘れないでください。パニック障害による吐き気は、適切な対策とともに、十分にコントロールすることができます。

  • 精神科の視点から見る、ストレス症状の対処法 精神科コラム
    • 精神科の視点からストレス症状の対処法についてコラムです。

      私たちの現代社会は、多忙な日常、情報過多、社会の変化とともに、多くの人々がストレスを感じる場面が増えてきました。ストレスは心と体にさまざまな影響を及ぼすことが知られており、人によって異なることから、一概に「ストレスは悪」とは言えません。

      しかし、過度なストレスや長期間のストレスは、精神的な健康や生活の質に悪影響を及ぼす可能性があります。

      そこで、この記事では精神科の視点から、ストレス症状とその対処法、精神科を受診するメリットについてお伝えしていきます。私たちが経験するストレスは、心の中の葛藤や外部からのプレッシャーから生じることが多いですが、これを適切に処理・理解することで、ストレスを「生活の質を高めるツール」として活用する道も開けます。

      ストレスから生じる心身の症状とその克服の方法など精神科専門医の視点からご説明していきます。

      ストレスとその症状:精神科医師の視点

      ストレスが引き起こす心身の症状の病名をご紹介します。

      1. 精神的症状

      不安: 持続的な心配や恐れの感じ。

      うつ: 気分のおちこみ、興味喪失、無気力。

      集中力の低下: 仕事や日常生活での注意力散漫。

      不眠: 入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒など。

      2. 身体的症状

      筋肉の緊張や痛み: 首や背中などに特に現れやすい。

      胃腸の不調: 食欲不振、胃痛、下痢や便秘。

      頭痛: 特に緊張型頭痛(肩こり頭痛)が関連することが多い。

      もちろんこれらの症状はストレスによる症状の一部であり、さらに多様な症状が考えられます。そして、これらの症状は、適応障害、うつ病、不安障害などの精神疾患と関連があることが知られています。

      ストレスがこれらの症状や疾患とどのように関わっているかというと、ストレスは脳の中でストレスホルモン(例:コルチゾール)の分泌を促進させます。このホルモンの過剰な分泌が、脳内の神経伝達物質のバランスを乱すことが考えられています。これが、上記の精神的・身体的症状を引き起こす要因の一つとされています。

      また、ストレスは自律神経の働きにも影響を及ぼします。特に交感神経が優位になると、身体が緊張の状態に入り、これが持続することで様々な身体症状を生じさせることがあります。

      精神科医師の役割は、これらの症状や疾患の原因となるストレス要因を特定し、それを軽減または除去する手助けをするとともに、ストレスに対する適応力を高めるための治療やアドバイスを行うことです。

      ストレス症状があった場合、精神科を受診するメリット

      1. 専門的な評価と診断

      精神科医師は、患者の精神的・身体的症状を総合的に評価し、その背景や原因を探る経験と知識を持っています。これにより、症状の原因がストレスだけでなく、他の精神疾患や身体疾患である可能性も的確に評価され、適切な診断を受けることができます。

      2. 個別化された治療計画の提供

      一人ひとりのストレスの原因や症状、生活背景は異なります。精神科医師はこれらの個別の状況をもとに、患者に最適な治療計画を提案することができます。これには、薬物療法、カウンセリング、生活指導など、さまざまな治療方法が組み合わされることがあります。

      3. 心のサポートと安全性の確保

      ストレス症状やそれに伴う心の悩みは、孤独や絶望感を引き起こすことがあります。精神科医師や関連する専門家との対話を通じて、患者は自らの感情や悩みを共有し、理解や支援を受けることができます。また、自傷行為や自殺念慮などの危機的な状況があった場合、安全性を確保し、適切な介入やサポートを提供することが可能となります。

      これらのメリットを受けることで、患者さんはストレス症状の克服や精神的健康に向かう具体的な一歩を踏み出すことができます。

      私たちは、日々の生活においてストレスを感じることは避けられない事実と向き合い、それと上手に付き合うための方法を探し続けているのではないでしょうか。そのためには、ストレスの症状を理解し、それに対する適切な対応を身につけることが大切です。

  • ストレスと過敏性腸症候群に挑む 精神科コラム
    • ストレスと過敏性腸症候群の関係についてのコラムです

      私たちの心と体は密接に結びついており、その影響を日常のさまざまな症状で感じることがあります。ストレスは私たちの身体に多くの影響を及ぼすだけでなく、特定の健康問題の原因や悪化の要因ともなります。中でも、過敏性腸症候群はストレスと深く関連していると言われています。この記事では、精神科の視点から、ストレスと過敏性腸症候群の関係や、その両方に効果的に対処する方法について探求します。

      ストレスと過敏性腸症候群の関係

      ストレスと過敏性腸症候群の関係は非常に密接で、多くの研究によってその関係が示されています。以下、具体的な例です。

      1. Aさん:

      AさんはIT企業での勤務をしており、近年プロジェクトのプレッシャーと締め切りに追われる日々が続いていました。仕事のストレスがピークに達すると、腹痛や下痢の症状が出るようになりました。初めは食事の影響だと思っていましたが、土日や休暇時には症状が和らぐことから、仕事のストレスと過敏性腸症候群の関連を疑うようになりました。

      2. Bさん:

      Bさんは自営業をしており、経済的なプレッシャーや未来への不安から常にストレスを感じていました。ある日、急な胃の痛みと腹痛に襲われ、これをきっかけに過敏性腸症候群の症状が現れるようになりました。ストレスを感じると、特に症状が悪化することが繰り返されました。

      上記は2人とも男性です。一部の研究によれば、男性は社会的なプレッシャーや職場のストレス、経済的な負担など、継続的なストレス源にさらされる傾向があるため、これが過敏性腸症候群の症状を引き起こしやすくするという指摘もあります。また、感情を内に閉じ込めがちで、ストレスの発散方法が限られているとも言われています。このような要因が、男性の過敏性腸症候群のリスクを高める可能性が考えられます。

      精神科の重要な役割

      過敏性腸症候群の治療を行うのは、主に消化器内科や胃腸内科です。しかし、その症状の成因や影響を考慮すると、精神科や心療内科も関与することがあります。

      治療方法について:

      1. 食事療法

      食物繊維の摂取の増加や、特定の食品(例: オリゴ糖類やラクトースなど含む食品)の制限など、食事内容の調整が勧められます。

      • 薬物療法

       抗うつ薬、抗不安薬、腸の動きを調整する薬などが処方されることがあります。

      • プロバイオティクス

       腸内フローラのバランスを整えるためのサプリメントや食品も一部の患者に有効とされます。

      • 生活習慣の改善

       適切な運動や十分な睡眠、ストレス管理の方法などの生活習慣の見直しも症状の軽減に寄与します。

      精神科が過敏性腸症候群において重要な役割を果たす理由

      過敏性腸症候群は、身体的な要因だけでなく、心理的・情緒的な要因も大きく関与すると考えられています。多くの患者がストレスや情緒の変動と症状の悪化を関連付けており、特にストレスは主要なトリガーとなることがよく知られています。

      精神科は、患者がストレスや他の心理的要因とどのように関わっているのかを理解し、それに対する適切な対処方法を提供することができます。具体的には、認知行動療法やリラクゼーション療法、バイオフィードバックなどが有効であると示されています。

      また、抗うつ薬や抗不安薬は、過敏性腸症候群の症状を軽減するだけでなく、関連する心理的な症状(例: 不安やうつ)の治療にも用いられることがあります。精神科の専門医は、これらの薬物の適切な使用や調整に関する知識と経験を持っており、有効な治療を提供できます。

      このように、過敏性腸症候群の治療には、身体的なアプローチだけでなく、心の健康との関連を深く理解する精神科の役割が不可欠となります。

      仕事、日常生活のストレスは避けられない場合がありますが、それらにどのように対処するかは自分次第です。適切なストレスマネジメントと自己ケアは、過敏性腸症候群の症状を予防し、あるいは軽減する強力な手段となります。

      また、長期的な視点から見ると、ストレスと過敏性腸症候群の管理は「一度きり」の取り組みではなく、継続的な努力が必要です。

  • 認知症外来を精神科で―経験豊富な専門家がお手伝い 精神科コラム
    • 精神科における認知症外来についてのコラムです。

       

      精神科の認知症外来とは、認知症の診断や治療を行う外来診療です。認知症は、加齢に伴って起こる脳の機能障害によって引き起こされる病気で、記憶力や判断力、注意力などの認知機能の低下が特徴です。認知症には、アルツハイマー病やレビー小体型認知症、脳血管性認知症など、さまざまな種類があります。

       

      精神科の認知症外来では、患者さんの認知機能の状態を検査し、認知症の種類や原因を診断します。その後、認知症の進行を遅らせたり、症状を改善したりするための治療を行います。治療には、薬物療法やリハビリテーション、生活習慣の改善などがあります。

       

      精神科の認知症外来を受診するメリット

      • 精神科専門医による診察を受けることができます
      • 治療に必要な薬物療法やリハビリテーション施設への紹介を受けることができます
      • 患者さんやそのご家族へのサポートを受けることができます
      • 認知症に症状が似た精神疾患を見分けることが可能になります
      • 早期発見・早期治療につながります

       

       

      精神科の認知症外来を受診する際の注意点

      • 定期的に受診して下さい
      • 医師の指示に従って治療を受けて下さい
      • 薬を含めた病院の治療だけに頼らず、生活習慣を改善する努力をしましょう
      • 患者さんの病状や治療方針について、ご家族とよく話し合いましょう
      • 受診前に、患者さんの病状や治療方針について、ご家族とよく話し合いましょう
      • 患者さん単独ではなく、付き添いと共に受診することをお勧めします

       

       

      認知症の方は、病状の進行により、記憶力や判断力が低下し、病院での受診や診察を理解することが難しくなることがあります。そのため、付き添いの方が、病状や受診の目的を医師に伝える、診察の際に本人のサポートをすることが重要です。

      付き添いには、家族や友人、介護者など、本人の普段の様子をよく知っている人が適しています。付き添いの際には、本人の病状や受診の目的を医師に伝え、診察の際に本人のサポートをしてください。また、付き添いの方が、病院の受付や診察の流れを把握しておくと、スムーズに受診することができます。

      認知症の外来受診は、本人にとっても付き添いの方にとって、負担のかかることかもしれません。しかし、早期発見・早期治療が大切であるため、付き添いの方には、本人のサポートをしながら、受診を促してください。

      最近物忘れが多くなった、性格が変わってきた、何に対してもやる気が出ないなど自覚症状がある場合、認知症に非常によく似た症状が出てくる精神疾患もあります。

      症状の初期の時点で適切な治療を開始すれば、その後の日常生活が穏やかに過ごせるでしょう。一人で悩まず、まずは専門家へお気軽にご相談ください。

       

  • 精神科で処方する認知症治療薬:症状緩和と生活の質向上をサポート 精神科コラム
    • 精神科で処方する認知症治療薬についてのコラムです。

       

      認知症は、高齢者にとって深刻な問題であり、家族や介護者にも大きな負担をかける疾患です。この記事では、認知症の定義と治療の必要性について説明し、さらに精神科専門医の視点から、認知症治療における薬物療法について解説します。

       

      認知症の定義と症状

      認知症は、脳の機能の低下によって引き起こされる病気であり、記憶力や思考力、判断力などに障害が生じる状態を指します。原因は、アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など、さまざまなものがあります。

       

      一般的な認知症の症状

      認知症にはさまざまな症状がありますが、以下はその代表的な症状です。

       

      1. 記憶障害: 認知症患者は、新しい情報を覚えることや過去の出来事を思い出すことが困難になる事があります。
      2. 認知機能の低下: 認知症患者は、集中力や問題解決能力が低下し、複雑な課題への対応が困難になることがあります。
      3. 言語障害: 認知症患者は、適切な言葉の選択や文章の構成が困難になる場合があります。
      4. 空間認識障害: 日常生活での道迷いや物の配置の混乱が見られることがあります。
      5. 行動・情動の変化: 認知症患者は、無気力や興味喪失、抑うつ状態、不安感、興奮状態、攻撃的な行動などの情動の変化が起こることがあります。
      6. 日常生活の困難: 認知症患者は、食事の準備、入浴、着替え、家事などの日常生活の動作に支援が必要になることがあります。

       

       

      認知症治療の必要性

      認知症は、治癒する病気ではありませんが、早期に治療することで症状の進行を遅らせ、生活の質を向上させることができます。認知症の治療には、薬物療法、非薬物療法などがあります。

      また、患者さん本人だけでなく、家族や介護者にも大きな負担がかかります。治療には、患者さん本人と家族や介護者が協力して行うことが大切です。

       

      認知症治療における薬物療法

      薬物療法は、認知症の行動・心理症状の改善や進行の遅延を目的とした治療法の一つです。認知症の中核症状を劇的に改善する治療はありませんが、精神科専門医が適切な薬物を処方することで、認知症の行動・心理症状を改善することが可能です。

      主に、抗認知症薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬などが使用されます。

      ・抗認知症薬: 認知症に関連する神経化学的な変化に対抗する働きがあり、認知症の進行を遅らせる効果があるとされています。

      ・ 抗精神病薬:認知症の行動・心理症状を緩和するために使用される薬です。主にドーパミン受容体拮抗剤と呼ばれる薬が使われます。幻覚や妄想、錯覚などの症状を抑える効果があります。

      ・抗不安薬: 不安や緊張を和らげるために使用される薬です。神経系の活動を抑制することで鎮静やリラックス効果をもたらします。

      ・睡眠薬: 睡眠の質を改善するために使用される薬です。睡眠障害や不眠症の治療に使用されます。さまざまな種類の睡眠薬が存在します。これらの薬は、睡眠の導入や維持を助けるために使用されます。

       

      ただし、これらの薬は医師の処方箋が必要であり、個々の状況や症状に合わせて適切な薬が選ばれるべきです。また、副作用や注意事項も存在するため、専門家の指導のもとで使用することが重要です。

       

      精神科専門医が、患者さんの個別のニーズや病状を的確に把握し、薬物療法の適切な選択と管理を行います。また、薬物治療だけでなく、認知療法やリハビリテーションといった非薬物療法も積極的に取り入れ、患者さんの生活の質の向上をサポートします。

       

       

      認知症は高齢者にとって深刻な問題であり、家族や介護者にも大きな負担をかける疾患です。

      とよだクリニックでは、精神科専門医・認知症学会専門医が患者さんや家族の方々に対して十分な情報提供とサポートを行っています。認知症の理解や治療法についての疑問や不安に対して、丁寧な説明とコミュニケーションを心掛けています。加えて、患者さんと家族の方々が安心して治療に取り組むことができるよう真摯に取り組んでいます。

       

       

       

       

  • 精神科において行う認知症検査 精神科コラム
    • 早期発見と的確な診断のために、精神科において行う認知症検査についてのコラムです。

       

      認知症は、認知機能の低下を特徴とする病気であり、単に個人の問題とは言い切れない社会全体の問題といえます。平均寿命が延び、高齢者の認知症患者は増加傾向にあります。また、65歳未満で発症する若年性認知症は、男性に多い傾向にあります。

      認知症は早期に発見し、適切な治療やケアを行うことが何より重要です。本記事では、精神科専門医による認知症検査の重要性と手法について詳しくご説明します。

       

      認知症の特徴と症状

      認知症は、記憶力や判断力、言語理解などの認知機能の低下が特徴です。例えば、初期段階では、日常生活での小さなミスや物忘れが増えることがあります。また、予定の記憶が曖昧になったり、鍵や財布の置き場所を忘れたりすることがあります。さらに進行すると、時間や場所の混乱が生じ、迷子になる、身近な人の顔や名前が思い出せなくなるなど、日常生活において大きな問題が生じます。

       

       

      認知症検査の目的と利点

      認知症検査の主な目的は、患者さんの認知機能を評価し、早期に認知症の兆候を発見することです。

      具体例としては、患者さんが自分の予定や医師の指示を正確に覚えているかどうかを評価することが挙げられます。また、患者さんの記憶力、注意力、計算力、言語能力、判断力などを評価するテストも行われます。

       

      認知症の特徴や症状は個人によって異なりますが、早期の発見と適切な対応がその後の治療や日常生活に大きく影響します。

      検査結果に基づいて適切な治療やケアを行うことで、認知症の進行を遅らせることができます。また適切なサポートを提供することで、患者さんの健康と生活の質を向上させることもできます。

       

      認知症検査は、認知症の診断を下すための唯一の方法ではありませんが、早期発見に役立つ重要なツールです。認知症の兆候が気になる方は、早めに医師に相談することをお勧めします。

       

       

      主要な認知症検査手法の紹介

      一般的によく使用される認知症検査手法には「長谷川式認知症スケール」と「MMSE」があります。

       

      「長谷川式認知症スケール」は、

      精神科医の長谷川和夫先生によって開発された認知機能検査です。医師が効率的かつ公平に認知機能の低下を診断するために1974年に開発され、1991年に一部改定されました。

       

      この検査は30点満点で、20点以下だった場合、認知症の疑いが高いと言われますが、診断結果はあくまでも参考です。このテストの点数が悪かったからといって、「認知症」と診断されるものではありません。気になる場合は、病院に行って検査・診断をおすすめします。

      長谷川式認知症スケールは、9つの評価項目から構成されています。

      例えば、

      – 年齢はいくつですか?

      – 今日は何年ですか?何月ですか?何日ですか?何曜日ですか?

      – 私たちが今いるところはどこですか?

      – これから言う3つの言葉を言ってみてください。①桜、猫、電車または②梅、犬、自動車。後でまた聞きますのでよく覚えておいてください。

      – 100から7を順番に引いてください。それからまた7を引くと?

      このように、長谷川式認知症スケールは、認知機能の低下が認められるか判定するために行う検査になります。

       

       

      「MMSE検査」

      認知症が疑われるときに行われる神経心理検査のひとつです。1975年にアメリカで誕生し、国際的に用いられている検査で、2006年に日本語版が完成しました。

       

      この検査は、認知機能の低下を点数で客観的に計測することができる、世界各国で用いられている検査方法です。短時間で簡潔に行える検査で、低下している認知機能の種類や低下度合いを客観的に確認できます。ただし、あくまでもスクリーニング検査なので、MMSEの結果だけで認知症の診断はできません。

       

      認知症の診断は、上記の検査だけでなく、MRI・CTによる脳検査、本人や家族からの聞き取り、鑑別診断なども行った上で総合的に判断します

       

       

       

      最後に

      認知症は早期の発見と適切な対応が重要です。精神科専門医による認知症検査は、その第一歩となります。

      物忘れが増えたり、仕事でミスが多くなったり、何かしら日常生活に支障があるときは、お早めにご相談下さい。

       

       

       

       

       

       

       

  • てんかんの症状について 精神科コラム
    • 現在てんかんを専門とする精神科医は少なくなっているが、てんかんでは一般人口よりうつなどの気分障害、統合失調症様の精神病症状、発達障害、不安障害などの合併が多く、てんかんを専門とする精神科医の存在が重要であると考えます。当院はてんかん専門医を有する精神科専門医が診療にあたっており、精神科のてんかん専門医の視点で書いたコラムです。

       

      てんかんの症状とは何か

       てんかんは、「脳の慢性疾患」で、脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮により繰り返す発作を特徴とし、それに様々な臨床症状や検査での異常が伴う病気と定義されています(WHO)。てんかんの症状は主にてんかん発作です。発作の形は大脳の電気的な興奮が発生する場所によって、体の一部が固くなる(運動神経)、手足がしびれたり耳鳴りがしたりする(感覚神経)、動悸や吐き気を生じる(自律神経)、意識を失う、言葉が出にくくなる(高次脳機能)などのさまざまな症状を生じます。

       

      精神科医がてんかんの症状を診断する方法と重要性

      てんかんの症状を診断するために、精神科医は患者の詳細な病歴を収集し、症状の特徴や頻度、発作のトリガーなどを評価します。また、神経学的な検査や脳波検査などを使用して、診断を確定させることもあります。

      精神科医によるてんかんの症状の正確な診断は非常に重要です。正しい診断によって、患者は適切な治療やサポートを受けることができます。また、誤った診断や見逃しは、適切な治療法の選択や症状の管理に影響を及ぼす可能性があります。

       

      一般的なてんかんの症状とその特徴

      てんかんの症状は、個人によって異りますが、一般的な症状には以下のようなものがあります。

      ・発作: てんかんの最も一般的な症状であり、突然の脳の異常な神経活動によって引き起こされます。発作は、異常な感覚、筋肉のけいれん、意識の喪失などを伴うことがあります。

      ・感覚の変化: 発作が始まる前に、一部の人は予兆を感じることがあります。感覚の変化、不快感、妄想などの形で現れることがあります。

      てんかんの症状にはさまざまなタイプがあります。部分発作では、特定の身体部位のけいれんや感覚異常が現れることがあります。一方、全般発作では、全身のけいれんや意識の喪失が起こることがあります。また、発作は一度きりで終わる単発性のものや、繰り返し起こる反復性のものがあります。

       

      症状の頻度や重さは人によって異なりますが、これらの症状は、患者の日常生活や社会的な機能にも大きな影響を与えることがあります。 

       

      てんかんの診断と症状の管理

      症状がある場合、精神科専門医は適切な診断と治療を行います。まず、詳細な病歴の収集が行われます。患者の症状や発作の特徴、トリガーとなる要因などを詳しく尋ねることで、診断のための情報を収集します。また、神経学的な検査や脳波検査なども行われることがあります。

       

      てんかん症状の管理

      てんかん発作の抑制のためには生活指導が欠かせません。服薬順守は言うまでもありませんが、「寝不足、過労、深酒」は発作の3大要因要因です。このため、ライフスタイルの変更やストレス管理についても指導いたします。規則的な睡眠、健康的な食事、適度な運動など、バランスの取れた生活習慣がてんかんの管理に役立ちます。

       

      また、ストレス管理やリラクゼーション法の実践も、発作を軽減するのに役立つ場合があります。これらの方法は、ストレスや不安を軽減し、発作のトリガーとなる要因を減らすことで、症状の管理に効果をもたらすことがあります。

       

      家族へのサポート

      症状を抱える患者とその家族には、サポートと情報提供が必要です。てんかんの理解と受け入れ、適切なサポートネットワークの構築が重要です。精神科専門医は、患者と家族にてんかんの症状や治療法についての教育を行い、必要な情報を提供します。また、患者が症状によって生じる心理的な負担や日常生活の制約に対処するためのカウンセリングや心理療法も提供されることがあります。

       

       

      とよだクリニックのサポートについて

      「とよだクリニック(精神科)」は、てんかんの症状を専門的に診断し、適切な治療を提供致します。

      経験豊富な精神科専門医でありてんかん専門医である院長が、患者の状況に合わせた丁寧なケアを行います。患者と家族のプライバシーと信頼を重視し、健康な生活を送ることができるようサポートしていきます。

       

       

  • 親に言えない?精神科には行きたくない… 精神科コラム
    • 精神科に行きたくないと感じるあなたや、親にその気持ちを伝えられない方向けに、話し合いの進め方やサポートの受け方について解説しているコラムです。

      精神科に行きたくない気持ちと親に話せない理由

      精神科に行きたくない気持ちや、親にそのことを伝えられない理由は人それぞれ異なります。精神科に対する誤解や偏見、周囲からの評価の恐れが原因となることもあれば、親とのコミュニケーションがうまくいかないことが悩みの種となることもあります。

      精神科への抵抗感を克服する方法

      自分の気持ちを整理する

      まずは、自分の気持ちを整理することが大切です。なぜ精神科に行きたくないのか、その理由を明確にしましょう。自分の気持ちを理解することで、抵抗感の原因に対処しやすくなります。

      精神科の役割と治療法について理解する

       精神科に対する誤解や偏見を解消するために、精神科の役割や治療法について調べてみましょう。精神科医は患者の心の問題を診断し、適切な治療やサポートを提供する専門家です。治療法には薬物療法やカウンセリング、認知行動療法などがあります。

      体験談を読む

      精神科治療を受けた体験談を読むことで、自分と似た状況の人がどのように治療を受け、回復していったのかを知ることができます。これによって、精神科治療への抵抗感が薄れることが期待できます。

      適切なタイミングと場所を選ぶ

      親に精神科に行きたくない気持ちを伝える際は、適切なタイミングと場所を選びましょう。リラックスできる空間で、親が話に耳を傾けることができる状況を選ぶことが重要です。

      自分の気持ちを具体的に伝える

      親に伝える際には、自分の気持ちを具体的に伝えることが大切です。どのような悩みがあり、なぜ精神科に行きたくないのかを明確に伝えることで、親も理解しやすくなります。

      サポートを受ける方法

      学校や職場のカウンセラーと相談する

       学校や職場にはカウンセラーがいることが多く、相談を受け付けています。彼らは専門的な知識や経験を持っており、あなたの悩みに対して適切なアドバイスや支援を提供してくれるでしょう。

      無料の電話相談やチャットサービスを利用する

       精神的な悩みに対応した無料の電話相談やチャットサービスもあります。匿名で相談できるため、プライバシーが保たれるとともに、自分のペースで悩みを相談できます。

      サポートグループやオンラインコミュニティに参加する

      同じような悩みを持つ人々と交流できるサポートグループやオンラインコミュニティに参加することで、共感や励ましを得られます。また、他のメンバーの経験や知識を参考にして、自分の問題解決に役立てることができます。

      精神科行きたくない問題解決への道

       自分に合った治療法を見つける

      精神科に行くことに抵抗がある場合でも、自分に合った治療法やサポートを見つけることが大切です。例えば、精神科以外の専門家(心理療法士など)と相談することや、セルフヘルプ本を活用することも選択肢のひとつです。

      治療やサポートを継続することの重要性

      精神的な悩みを抱える場合、治療やサポートを継続することが回復への道を歩む上で重要です。短期間で効果が出ないことがあっても、焦らず、根気よく治療やサポートを続けることが大切です。

       周囲の理解と協力を得る

       親だけでなく、友人や学校・職場の関係者にも自分の悩みや状況を適切に伝えることで、理解や協力を得られることがあります。周囲のサポートを得ることで、治療やサポートの継続が容易になることが期待できます。

      精神科行きたくない問題の解決へ向けて

      精神科に行きたくないと感じることや、親にその気持ちを伝えられない状況は、多くの人が抱える悩みです。

      しかし、自分の気持ちや悩みに対処する方法を学び、適切なタイミングで親や周囲とコミュニケーションを図ることで、問題解決に繋がります。

      また、学校や職場のカウンセラー、無料の電話相談やチャットサービス、サポートグループやオンラインコミュニティなど、さまざまなサポートを利用することで、自分に合った治療法やサポートを見つけることができます。

      とよだクリニック(精神科)は、患者さんの心の問題や精神的な悩みに対応するため、個々の患者さんに寄り添った治療を提供しています。

      また、患者さんのプライバシーを尊重し、安心して治療が受けられる環境を提供しています。親に相談しにくい状況や、精神科に抵抗感を持つ方でも、当クリニックでは安心して相談や治療ができることをお約束します。

      精神科に行きたくない問題や親に言えない悩みを抱える方は、専門医と一緒に最適な治療法やサポートを見つけ、問題解決への一歩を踏み出しましょう。

  • 精神科へ行くべき症状の基準とは? 精神科コラム
    • 精神科へ行くべき症状の基準についてのコラムです。

      精神科に行くべき症状や基準について解説し、精神科を受診すべきかどうかの判断に役立つ情報を提供します。

       

      精神科を受診する理由

      精神科を受診する理由は、対人緊張、閉所恐怖、不安発作、幻覚や妄想などの主な症状があります。これらの疾患は、日常生活、仕事、人間関係に深刻な影響を及ぼしています。

      精神科の専門家に相談し、正確な診断と適切な治療を受けることで、症状の緩和や回復の可

      能性が高まります。

       

      症状が長期間続く場合

      症状が長期間続く場合、一時的なストレスや疲労ではなく精神疾患の可能性が高いです。そのため、症状が改善されない場合は、精神科を受診することを検討しましょう。

       

      日常生活に支障をきたす場合

      精神疾患の症状が日常生活に大きな支障をもたらす場合も、精神科の受診が必要です。例えば、不安や恐怖感が強くて外出が困難になる、抑うつ症状で仕事や家庭の役割を果たせなくなるなど、生活の質が低下する状況が続く場合は、専門の治療が必要です。

       

      自分や周囲の人間関係に悪影響を及ぼす場合

      精神疾患は、自分だけでなく周囲の人間関係にも悪影響を及ぼすことがあります。自分の感情や行動が、家族や友人、職場の人間関係に悪影響を与えていると感じる場合、精神科の受診を検討してください。

       

      自傷行為や自殺念慮がある場合

      自傷行為や自殺念慮がある場合、それは深刻な精神的苦痛のサインであり、緊急に精神科を受診することが必要です。専門医の助けを受けることで、適切な治療やサポートが提供され、状況の改善が期待できます。

       

      身体的症状が心因性である可能性がある場合

      身体的な症状があるものの、原因が特定できない場合や、症状が心因性である可能性がある場合には、精神科を受診することを検討してください。心因性の症状は、精神疾患やストレスが原因で生じることがあります。適切な診断と治療を受けることで、症状が改善する可能性があります。

       

      精神科受診のメリット

      精神科を受診することで、適切な診断と治療を受けることができ、症状の改善が期待できます。早期治療により、回復が促進されることもあります。また、プロのサポートを受けることで心の安定が得られ、日常生活の質が向上することがあります。

       

      適切な診断と治療

      精神科専門医による適切な診断と治療は、症状の根本原因を突き止め、効果的な治療法を提案することができます。これにより、症状が改善され、心身の健康が回復されることが期待できます。

       

      早期治療による回復の促進

      精神疾患は、早期治療が重要です。症状が悪化する前に適切な治療を受けることで、回復が早まることがあります。また、早期治療により、病状が慢性化するリスクを低減することができます。

       

      サポートによる心の安定

      精神科専門医のサポートにより、心の安定が得られることがあります。専門家に相談することで、自分が抱えている問題や感情を整理し、適切な対処法を学ぶことができます。

       

      とよだクリニック(精神科)でのサポート

      当院では、精神科専門医による適切な診断と治療が受けられます。患者さん一人ひとりに合わせた治療プランを提案し、心の健康をサポートする総合的な取り組みを行っています。また、安心して相談できる雰囲気づくりにも力を入れており、患者さんが抱える問題や悩みに寄り添いながら、適切なアドバイスや治療を行います。

      さらに、心のケアだけでなく、生活習慣やストレス対処法など、患者さんの生活全般にも目を向けたサポートを提供しています。これにより、患者さんが心身の健康を維持し、より良い人生を送ることができるようお手伝いをしています。

       

      最後に

      精神科に行くべき症状の基準を理解し、適切なタイミングで受診することが大切です。早期受診が心の健康に繋がります。心の悩みや症状がある場合は、ぜひ受診を検討してみてください。

       

       

       

       

  • 精神科におけるデイケアの対象者について 精神科コラム
    • 精神科におけるデイケアの対象者となる患者さんや疾患についてのコラムです。

       

      精神科におけるデイケアとは

      精神科デイケアとは、入院せずに通院する形式の日帰りリハビリテーションのことです。精神疾患の再発防止や入院予防、さらに退院後の社会生活に戻るためのスキルと知識を身につけるために提供されます。一定期間、患者に治療と支援を提供します。

       

      通所リハビリテーションとして、デイケア、ショートケア、ナイトケア、デイナイトケアの4種類があります。定員は種類によって変動しますが、例えばデイケアであれば小規模施設30人、大規模施設70人程度です。

       

      病院により運営している種類も違いますので、検討される際は担当医と相談が必要です。

       

       

      精神科におけるデイケアの対象者とは

      精神科デイケアは、精神疾患があっても比較的症状が安定しており、入院の必要がない、通院治療をしている方になります。

       

      具体的には、うつ病や不安障害、統合失調症、双極性障害などの精神疾患、発達障害を抱える方々が挙げられます。

       

      デイケアに参加する前には、医師や看護師などの専門家との相談が必要です。患者の症状や状況に応じて、入院治療やその他の支援方法が必要とされる場合もあります。

       

       

      精神科デイケアの対象となる疾患

      精神科デイケアの対象となる疾患には、以下のようなものがあります。

       

      ・うつ病

      ・不安障害

      ・双極性障害

      ・統合失調症

      ・適応障害

      ・パーソナリティ障害

      ・アルコール・薬物依存症

      ・その他の精神疾患

      ・発達障害

      ・その他、摂食障害、睡眠障害、強迫性障害、パニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など

       

      ただし、デイケアの種類や施設によっては、対象疾患に制限を設ける場合もあります。

      詳しい情報は、各施設のホームページや担当医師にお問い合わせください。

       

      精神科デイケアの利用方法は、通常の外来と同様です。デイケアの利用を希望する旨を伝え、その後医師による面接を受け、デイケアの適性を判断されます。

       

      治療や支援だけでなく、患者が自分の能力を取り戻し、自立的な生活を送るための自信をつけることができる場でもあります。患者が日常生活の中で問題を克服し、社会生活に復帰するための重要な役割を果たしています。

       

      利用期間について特に定めはありません。本人の意思、症状などにより変化します。例えば、自宅療養になる、就学や復学ができる、再入院となったなどの理由が考えられます。

       

      ただし、目標設定のために半年から年単位での期間を定める施設もありますので、しっかり説明を受けられることが大切です。

       

      日常生活や社会復帰に向けた多様なプログラムは、患者さんの自信を取り戻す一歩になります。ご興味のある方はぜひ医師や病院スタッフにご相談下さい。

       

       

  • 精神科におけるデイケアの目的 精神科コラム
    • 精神科におけるデイケアの目的についての記事です。

       

      精神科のデイケアとは、入院患者さんが退院後、日中の時間を過ごす施設であり、社会生活に復帰するためのリハビリテーションや治療が行われる場所です。患者さんの状態やニーズに応じて、日帰り型、通所型、居住型などいくつかの種類があります。

       

      参加するには、まず医師に相談する必要があります。医師は、患者さんの状態に応じて適切なデイケアを紹介することができます。

       

      精神科におけるデイケアの目的は、患者さんのリハビリテーション治療や社会復帰を支援することです。精神疾患の再発防止に効果が期待され、社会参加、社会復帰、復学、再就労など多様な目的があり、創作活動、料理実習、パソコン学習、スポーツ、認知療法プログラム、社交性向上プログラムなど多く実施しています。

       

      精神疾患は、病気自体が社会生活への影響を及ぼすだけでなく、治療による副作用や治療中止による再発のリスクなど、複数の要因が日常生活を取り戻すことを困難にしています。

       

      そのためデイケアは治療と社会復帰の両方を支援することで、患者さんが自分自身を取り戻し、社会復帰に向けた力をつけることを目的としています。

       

      メリットとして、職場復帰や友人関係の広がりなど、患者の社会復帰につながる効果があります。研究によると、デイケアに参加する患者の入院期間が短くなり、社会生活に復帰する確率が高くなることが示されています。

      具体的には以下の内容です。

       

      ・健康を維持し、体力をつける

      ・生活リズムを整える

      ・同じ障害をもつ仲間との交流

      ・作業能力、集中力、段取りなどの能力の習得

      ・対人関係のスキルやコミュニケーション・スキルの習得と練習

       

      デイケアに参加することで、日常生活で必要とされるスキルを身に付け、また、他者と交流することで、社会性やコミュニケーション能力を向上させることができます。

       

      これにより、患者は自信を持って社会に復帰することができるようになります。

      退院後には、日常生活の中で自ら問題を解決する必要が出てきます。

       

      例えば、就労や住居などの問題が発生した場合、それらを解決するためには、適切な情報収集や手続きが必要になります。デイケアでは、患者が必要とする情報や支援を提供し、

      その問題を解決するためのスキルを身に付けることができます。また、障害があっても仕事を続けるための方法や福祉サービスを上手に活用できるスキルなどです。

       

      さらに、デイケアは患者と家族のコミュニケーションを促進する場でもあります。患者が家族との関係を修復することができれば、社会生活においても支援を受けることができます。

      そのため、患者と家族の関係修復を目指したカウンセリングや家族参加型のプログラムも行われています。

       

      一方で、デメリットとして費用の問題が挙げられます。また、通院が困難な場合や、施設へのアクセスが不便な場合は、参加が難しいケースもあります。

       

      今後の展望として、社会生活におけるメンタルヘルスの重要性が認識されていることや、入院期間の短縮やリカバリーの促進が求められることもあり、精神科のデイケアは、今後ますます需要が高まると考えられています。

       

      より効果的なプログラムや治療法が開発され、患者のニーズにより適したサービスが提供され、ICTの進化により、オンラインでの精神科デイケアの提供や、個別に合わせたプログラムの提供が可能になることも期待されます。

       

      精神科におけるデイケアの目的は、患者の治療と社会復帰を支援することです。

      ますます必要性が高まると考えられますが、メリットもデメリットも含めてご検討ください。

       

       

  • 精神科で病名を教えてくれない理由とメリット・デメリットについて 精神科コラム
    • 精神科で病名を教えてくれない理由と、そのメリット・デメリットについての記事です。

       

      まず、精神科において他の内科や外科のように検査結果や画像診断のように客観的に症状を知ることは困難です。精神科では目に見えない、気分や心を扱っていますので、診断を下すことや病名の告知にはリスクもあり慎重になります。

       

      例えば、早期の診断により別の疾患を見逃すなど誤診の可能性があります。また、同じ鬱病であっても症状は個人差があり、治療方針も異なります。

       

      患者さんに必要なことは、病名の告知以前に、最適な治療と回復ですが、同時に、患者のプライバシー保護が背景にあります。

       

      精神疾患に対する社会的な汚名や負のイメージから、社会的な差別や偏見にさらされる可能性があります。患者にとって大きな負担となりますので、病名を明かすことは適切でない場合があります。その一方で、病名を明かさなくても、専門家の治療や支援を受けることはできます。

       

      また、初見での診断が難しい場合もあります。CT検査のように数値や画像で症状を判断できませんし、過去の症状や病歴、成育環境など患者さんの記憶に頼らざるを得ない部分が多くあります。現在の症状はあくまで経過の一時点にすぎず、病名が変わる可能性があるということです。

       

      一方、デメリットとしては、患者さんが不安を感じる場合、今後の治療に支障をきたす可能性が考えられます。精神疾患は、身体的な病気と異なり、その症状が誤解や偏見を受けることが多く、病名を知らないことで、不安や心配が増すことが考えられます。

       

      人はわからないものに対して不安になります。そこで、インターネットなどを用いて情報を集めようとすると、誤った方向に思い込みをしてしまう危険があります。

       

      また、病名を告知しないことにより、医師と患者の信頼関係が損なわれる可能性もあります。

       

      患者さんが病名を知らないまま治療を受けていると、患者は不信感を募らせることがあります。病名を聞いても明確な説明もなく告知がないと、治療に対しての前向きになれず、治療効果が低下することが考えられます。

       

      そこで、以下をご参考ください。

       

      ・主治医に相談する

      主治医に病名告知をしない理由を直接聞いてみましょう。

      例えば、後から出てきた症状等により病名が変わる可能性や患者さんが病名を受け止める準備が出来たと判断した場合に告知予定だと告げられることもあります。

      また、治療法や副作用、治療期間などの情報をより具体的に提供してもらうことができます。

       

      ・処方箋の作用を知る

      症状や病名ではなく、処方されている薬の作用を医師や薬剤師に聞いてみることも大切です。患者さんの状態によっては、病名を受け止められない場合も考えられますので、まずは、適切な治療が上手く行き、日常生活し支障がないことを目指すことも大切です。

       

      精神科の病名は、社会的な影響だけでなく、個人的な影響も考慮しなければなりません。精神疾患を抱える人には、自分の病名を知ることが自己認識の一助となり、治療に積極的に取り組むことができる人もいますが、その一方で、病名によって自己評価が低下したり、社会的な立場に悪影響を与えたりすることがあります。

       

      医師は上記に考慮し、病名を教えるかどうかを適切に判断しなければなりません。患者との信頼関係を築き、必要な情報を提供することで、より効果的な治療を行うことができるからです。

       

       

  • 精神科と心療内科の違いについて 精神科コラム
    • 「精神科」と「心療内科」は、精神や心の疾患を専門に治療する医療分野ですが、その違いがいくつかあります、その違いについて説明いたします。

       

      精神科は、精神疾患(精神障害)に特化した医療分野です。精神科医は、精神病、発達障害、不安障害、うつ病、パニック障害などの精神疾患の治療に専門的な知識とスキルを有し、診断から治療まで一貫して行うことが多く、最善のアプローチをすることができます。

       

      精神科で診療する主な疾患には次のようなものがあります。

      ・精神病: 統合失調症など。

      ・発達障害: 自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害など。

      ・不安障害: パニック障害、恐怖症、社会不安障害、全般性不安障害など。

      ・気分障害: うつ病、双極性障害、気分変調性障害など。

      ・依存症: アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症など。

      ・睡眠障害: 不眠症、過眠症、むずむず脚症候群、レム睡眠行動障害など。

       

      これらは一例であり、精神科で診療する疾患はこれに限られません。

      世界的な基準にはDSMという診断分類の基準があり、22のカテゴリ―に分かれており、さらに細かく分類されています。似たような症状も多く、専門医として患者さんの症状に応じて適切な診断と治療を行います。

       

       

      次に心療内科ですが、心身症、すなわち環境や心の状態が原因で発症・増悪する身体疾患(胃潰瘍、アトピー性皮膚炎など)の治療が専門です。心療内科医は、ストレスや生活習慣、生理学的な問題などが原因で生じる身体疾患の専門的知識と診断・治療のスキルを持っています。

       

      また、生活習慣病、内分泌障害などの身体的な問題から生じる精神的な問題を扱うことがあります。

       

      これらの精神的な問題は、適切な治療を受けないと進行し、より深刻な問題になることもあります。そのため、早期に身体の症状を認識し適切な治療を受けることと並行して精神的な治療も行うことが大切です。

       

      アプローチが精神か身体かの違いはありますが、精神科と心療内科は、健康な身体と精神をとりもどし、社会生活や日常生活に支障がない状態を目的としています。

       

      精神科と心療内科の違いをご紹介しましたが、心を扱う科目は他にもあります。

      神経科、メンタルヘルス科、心の診療科、こころのクリニックなどです(ただしこれらの表記の医療機関の医師の多くは精神科医です)。

       

      心の病を引き起こす原因は非常に複雑で、それにかかわる脳の構造も複雑です。

      そのため複数の専門医が連携していくことになるのですが、正直どこに行けばよいのか分かりにくいと思います。

       

      まずはお近くにある病院やクリニックへご相談されるか、保健所や自治体の医療相談窓口などでご相談されるのがよいでしょう。

       

      心の不調や精神疾患の疑いがある場合は早めに専門医へ相談し、適切な治療を開始することをお勧めします。

       

       

       

       

  • 季節の変わり目と精神疾患について 精神科コラム
    • 季節の変わり目は、多くの人にとって不安やストレスを引き起こすことが知られています。これは、寒暖差、冷暖房による室内外の温度差、短い日照時間、天候の不安定さ、花粉症、季節性のホルモンの変化、自律神経の乱れ、生活環境の変化などが原因と考えられます。

       

      具体的には以下の項目です。

       

      ・光線:日照時間が短くなり、天候が曇りや雨などになることがあります。このため、必要なホルモンの産生が減少し、抑うつ症状や不安障害が引き起こされることがあります。

       

      ・体内時計の乱れ:体内時計の乱れを引き起こすことがあります。これにより、睡眠の質や生活リズムが乱れることが原因で、抑うつ症状や不安障害が引き起こされることがあります。

       

      ・ストレス:人々にとってストレスを感じやすい状態にあります。これは、天候の変化や生活リズムの変化などが原因で、不安障害やパニック障害などが引き起こされることがあります。

       

      上記以外に、個人によって異なる要因が関係しますので、正確な原因を特定し最適な治療法につなげることが大切です。

       

      特に、秋と冬には季節鬱病(SAD)と呼ばれる精神疾患が発症することがあります。

      SADは、季節性の気分障害であり、秋から冬にかけて持続する抑うつ症状、低い気分、エネルギー不足、食欲の変化、抑うつなどが特徴です。

       

      治療には、光療法が有効と考えられます。これは、特別な模様の光を使って、体内のホルモンのバランスを改善することを目的とした療法です。また、適度な運動や睡眠、健康的な食生活、ストレスの軽減なども重要です。

       

      予防には、十分な日光を浴びる、適度な運動、ストレスを軽減するためにリラックスする時間を作ることなどが効果的です。

       

      また、他の精神疾患も季節の変化によって加速することがあります。

      例えば、パニック障害、不安障害などがこれに該当します。

      ・パニック障害は、突然起こる激しい不安やパニック発作を特徴とする不安障害の1種疾患です。

      ・不安障害は、常に不安や心配、緊張感を伴っている状態を特徴とする疾患です。

       

      治療には、個々人の状況に応じて薬物療法や精神療法、グループセラピーなどが使われ、長期的な取り組みが必要です。

       

      病気の有無にかかわらず、季節の変わり目に体調を整えるために気を付けたいポイントを紹介します。

       

      ・正常な生活リズムの維持:生活リズムが乱れやすいため、できるだけ早起き・早寝を心がけましょう。また、適度な運動やバランスのとれた食事も大切です。

       

      ・光療法:光を浴びる時間が少なくなるため、できるだけ外で散歩や適度な運動をすることや、日光ランプを使って光を補うことが有効です。

       

      ・ストレス対策:散歩や軽いストレッチなどのリラックス法、またはカウンセリングなど人に話を聴いてもらうことも有効です。

       

      ・睡眠の質の向上:就寝前(1時間半くらい前)にぬるめのお湯に入浴、ホットミルク、睡眠時間の確保、部屋の雰囲気を落ち着かせる、スマホ等は触らない、サプリや睡眠薬などの使用も有効です。

       

      心の不調や精神疾患の疑いがある場合は早めに専門医へ相談し、適切な治療を開始することをお勧めします。

       

       

       

  • 精神疾患の疑いがある方のご家族が相談する場合 精神科コラム
    • ご家族がうつ病や心身症のような症状が見られた場合、精神科への受診が思い浮かぶと思います。

       

      家族が勧めても、「自分は病気じゃない」と受診を拒否し、症状も改善されない場合、

      お近くの「保健所」または「精神保健福祉センター」への相談をお勧めします。

       

      精神科を受診し精神疾患と診断されると、自立支援医療や精神障害者保健福祉手帳など、様々な行政サービスを受けることが出来ます。

       

      保健所は主に、心の健康や社会復帰に関しての相談などを行っています。窓口だけでなく訪問指導もあります。

       

       

      相談する際のポイントを紹介します。

       

      ・精神疾患の疑われる当人の現状を具体的に伝える

      生活状況(一日どのように過ごしているか、食事やアルコール、入浴や運動…)

      既往歴(発症の時期、現状、治療の有無…)

      生育歴(幼少期、親子関係、問題行動…)

       

      ・家族が困っている事を具体的に伝える

      本人が妄想や幻覚を訴える、1日おきにしか食事をしない

      毎日何らかの暴言や暴力があり困っている、受診を嫌がり外に出ない

       

      ・具体的に意思を伝える

        精神科を受診させ適切な治療をしたい、病院を紹介してほしい

      自宅訪問して本人と話してほしい

       

      ・緊急性の高い問題を伝える

        本人の自傷の恐れ、暴力がひどく一緒に暮らせない…

       

      ※一度の相談ですべてが解決するものではありません

       

      医療機関に通院するようになっても治療期間は年単位でかかることも珍しくありません。

      行政へ相談の結果、本人が精神科を受診となれば、医療機関とご家族で連携して治療を進めます。

       

      薬物治療や認知行動療法など様々ですが、日常生活の中でご家族の協力と観察は重要です。本人が気持ちや症状を表現できない場合、ご家族にヒアリングすることもあります。

       

      その際、具体的にお答えいただけると、医師とのコミュニケーションもスムーズです。

       

      行政機関への相談も選択肢のひとつとしてご検討ください。

       

       

       

       

  • 精神疾患の助成制度について 精神科コラム
    •   

      精神疾患に関する助成制度を紹介する記事です。 

       

      厚生労働省のホームページをみると、様々な助成制度があります。「厚生労働省 みんなのメンタルヘルス」を確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/

       

      治療や生活のためのサポートがいくつかありますが、今回は医療費の助成に絞って紹介いたします。

       

      医療費の助成制度は大きく分けて3つあります。

       

      • 自立支援医療

      精神疾患治療のための外来通院費(診察代など)や薬代(調剤薬局での支払い等)に対する補助です。

      健康保険を使用する際の、自己負担額の一部を公的に支援するものです。

       

      精神障害(てんかんを含む)により、通院による治療を続ける必要がある程度の状態の方が対象となります。「重度かつ継続」が条件と言われ、継続的に治療を必要とし、高額の医療費負担が発生する者と定義されています。外来だけでなく、訪問看護やデイケアも対象となりますが、自由診療の治療や投薬、入院治療、保険医療機関以外のカウンセリングなど対象外もあるのでご注意下さい。

       

      医療費の自己負担は、細かく条件が決められており、世帯の収入により自己負担額の月額上限が決定されます。

       

      この制度を利用するには、お住いの市町村窓口で申請を行います。窓口の名称は「障害福祉課」や「保険福祉課」になっている場合がほとんどです。申請には主治医の診断書が必要です。その他必要な書類については窓口に問い合わせてください。

       

      申請が認められると「自立支援医療受領証」が発行されます。これは有効期限が1年のため、必要に合わせて更新してください。病院で提示が必要となりますので、紛失しないようお気を付けください。

       

      • 高額療養費制度

      高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初め

      から終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。

      精神疾患に限定されず、入院や外来で高額な医療費を請求される場合に、所得によって決められた己負担限度額を上回る医療費は、加入している保険者から払い戻しされます

      細かな条件がありますが、たとえ30万円の治療費がかかっても概ね10万円未満で1か月の自己負担が済みます。保険者により申請方法や準備書類が異なりますので必ずご確認下さい。

       

       

      • 心身障害者医療補助制度(都道府県別)

      心身に重度の障害がある方を対象に各自治体が支援する制度です。

      自治体により対象の障害や程度、助成内容も異なりますので、お住いの市町村に必ず確認して下さい。

       

      重度障害の目安は、身体障がい者手帳1・2級、療養手帳A、特別児童扶養手当1級受給資格者、精神障害者保険福祉手帳1級などが対象となるケースが多いようです。

       

      精神疾患の助成制度の中で、医療費に関することを紹介しました。治療期間が長くなりがちな精神疾患は経済的にも大きな負担になりかねません。ご自分が対象になるかどうか主治医やお住まいの市町村役場にお問い合わせされてはいかがでしょうか。

  • 冬うつの原因について 精神科コラム
    • 「冬うつ」の原因についての記事です。

       

      秋から冬にかけて、やる気がでない・気分が落ち込むなどの症状を感じる場合、季節性の気分障害である場合があります。「冬うつ」「ウインターブルー」などと呼ばれます。

       

      10月ごろから症状が出始め、3月ごろに回復し、毎年繰り返すという特徴があります。

       

      実は、医学的には冬うつという病名はありません。医学的な病名は、反復性うつ病(季節性の特徴がある)と言います。

       

      反覆性うつ病は、一定の治療効果はあるものの、繰り返し発症する場合を指します。

       

       

      冬うつは日照時間の短さが原因と考えられています。

      地域によって異なりますが、夏至と冬至の日照時間は約5時間の差があります。

       

       

      太陽の光を浴びる時間が減ると、心身に影響があると言われています。セロトニンという神経伝達物質が日光を浴びることで合成され、脳が活性化されるからです。

       

      日照時間が少ないと、セロトニンの量が少なくなり、気分の落ち込みや集中力の低下を招くのです。

       

      また、生活リズムの乱れも大きく影響します。夜の仕事などで昼夜逆転した生活は、太陽光を浴びる時間が少なくなり、セロトニンの合成が減ります。さらに、体内時計を調整し睡眠と覚醒をつかさどるメラトニンが減少し、体調不良を引き起こすこともあります。

       

      冬になり寒くなると、眠さが取れない、甘いものや炭水化物が食べたくなる・食欲が止まらないと感じる人もいるようです。これも、うつ症状の一つであり、日照時間の短さが影響しています。

       

      次に、冬うつになりやすい人の特徴をご紹介します。

       

      男女比では女性が発症しやすく、特に若い女性(20代~30代)に多いと言われています。これはホルモンバランスが影響していると考えられます。

       

      また、気温が低く、緯度が高い地域での発症も多く見られます。北欧の国々や日本の北国などが典型例です。

       

       

      次に、予防方法をご紹介します。

       

      ・朝日や日中の太陽の光を浴びること

      冬場は意識して積極的に太陽の光を浴びる時間を作って下さい。自宅で過ごす日や時間が長い場合も日光浴を習慣に取り入れていただきたいです。人工的な光であってもある程度の効果は期待できます。

       

      治療として光を使う光線療法もあります。ただし高照度の光を当てるため、頭痛、吐き気、眼精疲労などの副作用が出る場合もあるため、医師と相談しながらすすめてください。

       

      ・規則正しい生活で体内リズムを整える

      起床時間を固定し、起床後すぐにカーテンを開けましょう。

      食事も炭水化物が食べたくなる傾向にありますが、栄養のバランスに気を付けてください。

       

      最後に、「冬うつ」の症状に当てはまっている場合でも、双極性障害や非定型うつなど別の精神疾患の可能性もあります。

       

      いずれにせよ、早めの専門医受診をお勧めします。

       

       

       

       

       

  • 急に機嫌が悪くなる…抱える病気について 精神科コラム
    •  

      急に機嫌が悪くなる人が抱える病気についての記事です。

       

      怒りやイライラは誰にでも起こりうることです。

       

      しかし、怒りの感情をどうしてもコントロールできない場合には、何らかの病気、精神疾患が隠れている可能性もあります。以下をご参照ください。

       

      ・転換性障害・解離性障害

      以前はヒステリーと呼ばれていました。強い怒りやストレスにより、無意識の心理的葛藤が身体に現れる症状です。

       

      具体的には、けいれん、声が出ない、意思とは無関係にでる身体の異常運動、暴言、

      意識を失うなど。無意識の葛藤から解放されると苦しみが軽減されると考えられます。

       

       

      ・注意欠陥多動性障害(ADHD)

      発達障害の一つで、多動性、衝動性、不注意が主な症状です。

       

      注意力散漫で、衝動的な行動をしやすいのが特徴です。自身の感情コントロールが上手くできない場合が多く、カッとなりやすい激情型で、暴言、または乱暴な行動をとってしまいがちです。

       

       

      ・自閉症スペクトラム障害(ASD)

      対人関係が苦手で、こだわりが強いといった特徴をもつ発達障害の一つです

      病気というよりも、持って生まれた特性と考えられており、周囲に理解してもらえず、いじめに遭う、努力しても失敗を繰り返すことが多く、これらストレスのため、身体症状(頭痛、腹痛、食欲不振、チックなど)、精神症状(不安、うつ、緊張、興奮しやすさなど)、不登校やひきこもり、暴言・暴力、自傷行為など二次障害を引き起こしやすいです。急な予定変更など非日常的なことが起きるとうまく対応できず、所謂パニックを起こして攻撃的、暴力的な行動に至ることがあります。

       

       

      ・認知症

      認知症にはいくつかのタイプがありますが、血管型認知症ではすぐに泣いたり、怒ったりする感情失禁と呼ばれる症状を呈することがあります。また嗜銀顆粒性認知症でも易怒性などの性格変化がみられます。

      一番多いタイプのアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症でもうつ症状や幻覚・妄想を呈することがあり、これらに関連して怒りっぽくなることがあります。

      また、認知症のタイプに関わらず、言葉にできない不安から急に怒り出したり、介護者の態度に不満や怒りを表す人もいます。例えば、子供扱い・馬鹿にされたなど、尊厳を侮辱するような言動です。

       

      以上、急に機嫌が悪くなる人が抱える病気について紹介致しました。

      共通して言えるのが、怒りなどの感情を自分自身でコントロールできる状態ではないということです。

       

      怒りをコントロールできない状態になった場合は、早めの専門医受診をお勧めします。

       

       

       

  • うつ病の症状と耳鳴りの関係 精神科コラム
    • うつ病の症状と耳鳴りの関係についての記事です。

       

      ストレスが原因で耳鳴りやめまいが発症する場合もありますが、耳鳴りの症状がさらにストレスとなり、不眠や不安を抱えてしまうこともあります。

       

      うつ状態から耳鳴りを起こす場合、いろいろな防御反応が出てきます。

       

      その一つが感覚の感度が高まることです。音に過敏になり、耳鳴りを感じる人がいるようです。検査をしても特に耳にも脳にも異常はなく、対処療法だけではなかなか良くなりません。

       

       

      また、重度の耳鳴りを抱える人はうつ病を発症するリスクがあります。話すことや他人と交流すること、出かけることなどが億劫になるためです。

       

      常に音が聞こえている環境では他人の声も聴きづらく会話が上手くかみ合わないこともあります。

       

      寝付けない・途中で起きてしまうなど、不眠状態が続く場合もあります。これが大きなストレスになり、気分の落ち込みや不安を感じやすくなります。長期間その状態が続くとうつ病を発症してしまいます。

       

      心の不調により耳鳴りを引き起こすこともあり、重度の耳鳴りが心の不調を引き起こすこともあるため、相互に関係しています。

       

      そのため耳鳴りの治療薬と併用して向精神薬を使用すると、不安が軽減し、耳鳴りも気にならなくなることも。

       

      耳鳴り、うつ病共にストレスと関連することから適切なリラックス法や良い睡眠をとることが重要です。寝る前にリラックスタイムをもうけ、心地よいBGMのもと、必要に応じて睡眠導入剤等を使いながら、しっかりと質の良い睡眠をとっていただき、悪循環を断っていただければと考えます。

       

  • うつ病における過呼吸の症状と「泣く」ことについて 精神科コラム
    • うつ病における過呼吸の症状と「泣く」ことについてのコラムです。

       

      泣くことは、理性ではコントロールしきれなかった大きな感情の揺れを身体が受け止め、涙として体外に排出することです。心が軽くなった経験をお持ちの人も多いのではないかと思います。感動した時、悲しい時、怒った時など感情が動く場面で涙が出ます。

       

      うつ病患者の中には、涙もろくなったという症状を訴えられる人もいます。

            

      うつ病になると、脳内神経伝達物質であるセロトニンの分泌が低下すると言われています。脳内のホルモンバランスが崩れることで、今まで気にならなかったことも敏感に感じるようになり、心のバランスが崩れてしまいます。

       

      感情のコントロールが出来ず、ちょっとしたことで涙が出てしまうのです。その他にも意欲の低下、不安、気分の落ち込み、イライラなどの精神的症状もあります。

       

      涙を流すことで、うつ病の人も一時的に心がすっきりするため、安全な場所で感情を放出することは有益と考えます。

       

      一方、過呼吸とは、不安感の強い人や神経質な人に起こりやすいと言われています。極度の緊張や不安な状態により速い呼吸を繰り返します。

       

      過呼吸を起こすと、呼気から二酸化炭素の放出が促進され、血液中の二酸化炭素濃度が低下します。これにより血液がアルカリ性に傾くことで、手足のしびれ、けいれん、硬直(テタニー)がおきます。

       

       

      過呼吸はうつ病、パニック障害などの不安障害随伴症状として生じることがあります。

       

      不眠や耳鳴り、頭痛や倦怠感、下痢や便秘など、うつ病の他の症状があると日常生活に不安を感じ緊張が増すことから、過呼吸を呈する危険性が増しますが、元の疾患をきちんと治療することで、過呼吸の再発予防の効果が期待できます。

       

      ご自身の病状に合わせて主治医と相談しながら治療していきましょう。

       

       

       

       

       

       

  • うつ病と認知症の関係性について 精神科コラム
    • うつ病と認知症の関係性についてのコラムです。

       

      認知症とうつ病は別の疾患ですが、重なる症状がいくつもあります。

      どちらも、これまで出来ていたことが次第に難しくなり、日常生活に支障をきたすという共通点があります。

       

      認知症とは、後天的な脳の障害によって機能が低下する病です。新しいことが覚えられない、今まで出来ていたことが出来なくなり日常生活に支障をきたし、何らかの介護を必要とする状態です。

       

      アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など脳の変性萎縮や、脳梗塞や脳出血など脳の血管の障害などで起こります。

       

      遺伝的要素と生活習慣が複合的に発症リスクを高めると考えられています。

      症状は多岐にわたり、単に物忘れがあるだけでは認知症とはいえません。

       

      夕食の内容を忘れるのではなく、夕食を食べたこと自体を忘れてしまうなど、記憶が丸ごと抜けているのが違いと言えます。

       

      また、妄想や暴言、暴力など攻撃的になったり、時間や場所がわからなくなり昼夜問わず徘徊するなどの症状も見られます。初期は不安な気持ちもあるのですが病状が進んでくると不安さえも忘れ、感じなくなるのが特徴です。

       

      次にうつ病と認知症の関係ですが、似たような症状も多く、認知症の初期症状として精神症状が先行するケースや、うつ病の症状として認知症とよく似た症状を呈すること(うつ病による仮性認知症)もありますし、二つを併発して発症することもあります。気分の落ち込みや不安感、性格の変貌、日常生活に支障が出るほどの物忘れや判断力の低下など、どちらの病気なのか診断はとても難しいです。

       

      専門医が診察し、必要な検査を実施しなければ判断はできないと考えます。

       

      併発していた場合、両者に効く薬はありません。適切な投薬治療に加えて、地域包括支援センターなどと連携したサポート体制の構築や本人・家族への疾病教育が必要となります。

      適切な治療やサポートを受けるためにも早期の専門医による診察をお勧めします。

       

      物忘れが増えた、今まで出来ていたことが出来なくなったなど、異変を感じられる時には先送りせず早めに専門医※を受診して下さい。

       

      ※この場合の専門医としては精神科医、脳神経内科医などであるが認知症学会専門医、老年精神医学会専門医、神経学会専門医などを有することがより望ましい。