心療内科におけるカウンセリングという概念とうつ病について書いていきます。当クリニックへの問い合わせで比較的多いのが「カウンセリングをしていますか?」というものです。また通院中の患者様から「先生のカウンセリングで良くなりました。」などとお言葉をいただくこともあります。しかし残念ながら当クリニックではカウンセリングは行っていません。精神科、心療内科、メンタルヘルスクリニック等の医師(ドクター)は患者様のお話をお聞きし、診断、投薬をし、必要な指導や助言を行いますが、これはカウンセリングではありません。診察場面は症状や治療方針について相談をする場であり、じっくりと時間をかけて心(こころ)の中を整理し、問題を解決するカウンセリングを行う場所ではないのです。
カウンセリングは臨床心理士や公認心理士など心理職が担当いたします。精神科、心療内科の病院、診療所で担当医師の指示のもと、連携しながら行うケースもありますが、臨床心理士、公認心理士が自らカウンセリングルームを開設し患者様(この場合はクライアントという)と契約を結びカウンセリングを行うものもあります。その他企業に雇用あるいは契約関係にある産業カウンセラーが社員に対して行うカウンセリングもあります。
うつ(鬱)病に対するカウンセリングとしては認知行動療法が有名です。完璧主義、生真面目や物事の捉え方、考え方の癖が原因となりうつ病を繰り返すような場合はカウンセリングの良い適応となると思われます。自らの考え方の癖に気づき、物の捉え方、認知を改善し、結果として行動が改善することによりうつ病になりにくい状態を作ることになります。このようなことから一部の精神科病院などで行われている復職のためのデイケア=リワークプログラムでも認知行動療法やアサーション、マインドフルネスなどの心理療法がおこなわれています。
※参考
1)心理職:臨床心理士(日本臨床心理士資格認定協会)、産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会)、日本カウンセリング学会認定カウンセラー、公認心理師(国家資格H29~)
2)カウンセリングの費用:自費診療となり1回45~60分ほどのカウンセリングで、6000~8000円程度。施設により1万円以上のこともあり。なお企業の産業カウンセラーによるカウンセリングやリワークプログラムで行われるものは費用が発生しない。
※公開/更新日: 2020年12月15日 23:06