心療内科・精神科とよだクリニック

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ストレスと過敏性腸症候群に挑む

ストレスと過敏性腸症候群の関係についてのコラムです

私たちの心と体は密接に結びついており、その影響を日常のさまざまな症状で感じることがあります。ストレスは私たちの身体に多くの影響を及ぼすだけでなく、特定の健康問題の原因や悪化の要因ともなります。中でも、過敏性腸症候群はストレスと深く関連していると言われています。この記事では、精神科の視点から、ストレスと過敏性腸症候群の関係や、その両方に効果的に対処する方法について探求します。

ストレスと過敏性腸症候群の関係

ストレスと過敏性腸症候群の関係は非常に密接で、多くの研究によってその関係が示されています。以下、具体的な例です。

1. Aさん:

AさんはIT企業での勤務をしており、近年プロジェクトのプレッシャーと締め切りに追われる日々が続いていました。仕事のストレスがピークに達すると、腹痛や下痢の症状が出るようになりました。初めは食事の影響だと思っていましたが、土日や休暇時には症状が和らぐことから、仕事のストレスと過敏性腸症候群の関連を疑うようになりました。

2. Bさん:

Bさんは自営業をしており、経済的なプレッシャーや未来への不安から常にストレスを感じていました。ある日、急な胃の痛みと腹痛に襲われ、これをきっかけに過敏性腸症候群の症状が現れるようになりました。ストレスを感じると、特に症状が悪化することが繰り返されました。

上記は2人とも男性です。一部の研究によれば、男性は社会的なプレッシャーや職場のストレス、経済的な負担など、継続的なストレス源にさらされる傾向があるため、これが過敏性腸症候群の症状を引き起こしやすくするという指摘もあります。また、感情を内に閉じ込めがちで、ストレスの発散方法が限られているとも言われています。このような要因が、男性の過敏性腸症候群のリスクを高める可能性が考えられます。

精神科の重要な役割

過敏性腸症候群の治療を行うのは、主に消化器内科や胃腸内科です。しかし、その症状の成因や影響を考慮すると、精神科や心療内科も関与することがあります。

治療方法について:

  1. 食事療法

食物繊維の摂取の増加や、特定の食品(例: オリゴ糖類やラクトースなど含む食品)の制限など、食事内容の調整が勧められます。

  • 薬物療法

 抗うつ薬、抗不安薬、腸の動きを調整する薬などが処方されることがあります。

  • プロバイオティクス

 腸内フローラのバランスを整えるためのサプリメントや食品も一部の患者に有効とされます。

  • 生活習慣の改善

 適切な運動や十分な睡眠、ストレス管理の方法などの生活習慣の見直しも症状の軽減に寄与します。

精神科が過敏性腸症候群において重要な役割を果たす理由

過敏性腸症候群は、身体的な要因だけでなく、心理的・情緒的な要因も大きく関与すると考えられています。多くの患者がストレスや情緒の変動と症状の悪化を関連付けており、特にストレスは主要なトリガーとなることがよく知られています。

精神科は、患者がストレスや他の心理的要因とどのように関わっているのかを理解し、それに対する適切な対処方法を提供することができます。具体的には、認知行動療法やリラクゼーション療法、バイオフィードバックなどが有効であると示されています。

また、抗うつ薬や抗不安薬は、過敏性腸症候群の症状を軽減するだけでなく、関連する心理的な症状(例: 不安やうつ)の治療にも用いられることがあります。精神科の専門医は、これらの薬物の適切な使用や調整に関する知識と経験を持っており、有効な治療を提供できます。

このように、過敏性腸症候群の治療には、身体的なアプローチだけでなく、心の健康との関連を深く理解する精神科の役割が不可欠となります。

仕事、日常生活のストレスは避けられない場合がありますが、それらにどのように対処するかは自分次第です。適切なストレスマネジメントと自己ケアは、過敏性腸症候群の症状を予防し、あるいは軽減する強力な手段となります。

また、長期的な視点から見ると、ストレスと過敏性腸症候群の管理は「一度きり」の取り組みではなく、継続的な努力が必要です。