発達障害(含むアスペルガー障害)とは Developmental Disability
発達障害とは病気というより生まれつきの特性に近く、幼い頃から性格・能力面の特徴という形で症状が観察されます。発達障害は有名な自閉症やアスペルガー障害を含む障害のグループで、DSM-Ⅳ(米国精神医学会)までは「広範性発達障害」という名称が使われていました。この下位項目に自閉性障害、レット症候群、小児期崩壊性障害、アスペルガー障害、特定不能の広範性発達障害がありました。
DSM5では「広範性発達障害」という名称が廃止され、「自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」(ASD)と「社会的コミュニケーション障害」に二分されました。
DSM-IVで「自閉性障害」「アスペルガー障害」「広汎性発達障害」等と呼ばれていた障害はレット症候群を除き、全て「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」にまとめられました。これらの障害は別々のものではなく、連続した障害であるという見解です。レット症候群はX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因であることが判明し、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」の概念から除外されました。
もう1つの診断カテゴリーである「社会的コミュニケーション障害(SCD:Social Communication Disorder)」とはDSM‐Ⅳの特定不能の広汎性発達障害(PDDNOS)の中で、こだわり行動(常同行動)や興味関心の限局(想像力の障害)が目立たない症例に対する診断です。
自閉症スペクトラム障害の特徴としては
- 周囲の人との自然な相互交流が乏しい(生まれつき苦手、自分だけの閉じた精神的世界を築く傾向、共感できない、相手に合わせることができない)
- 物事が一定不変であることへのこだわりや同じ行動の反復(スケジュール、座る位置、やりかた等。同じことを再現なく繰り返す等)
- 予期せぬ変更や苦手な局面でパニックに陥りやすい
- 手先・身のこなしの不器用さ、運動発達の遅れ
- 記憶や計算等能力間の得意不得意の差が大きい
- 感覚が特殊である(音や臭いに敏感、寒暖や痛みに鈍感等)
- 自律神経失調傾向(湿度や気圧の影響を受けやすい、便秘、下痢、頻尿、発汗等)が挙げられます。
自閉症スペクトラム障害の治療は作業療法、遊戯療法等の発達支援技法、言語療法、特別支援教育、ソーシャルスキルトレーニング、心理教育等ケースにより使い分け、必要に応じて薬物療法を併用します。
発達障害は、以前は一部の児童思春期精神科専門医のみが担当し、多くの精神科医は十分な教育と経験を持ちませんでした。最近は治療反応性の悪いうつ状態の患者様として、あるいは産業医として相談を受ける社員様の中にかなりの率で発達障害の方は含まれており、無視できない状況になり、学会では立ち見が出るほど注目されています。
※公開/更新日: 2017年12月4日 12:47