幻聴とは Auditory hallucination
幻覚とは、対象がないものを知覚することを言います。これに対して対象を誤って知覚することを錯覚と言います。幻覚はその知覚の種類により幻聴、幻嗅(幻臭)、幻味、体感幻覚、幻触等と分けられますが、存在しないものを聞いてしまうことを幻聴と言い統合失調症の主要な症状の1つです。
幻聴の症状
幻聴は幻の声を聴く幻声のことが多く、事実ではないと自覚できるケースと訂正できないケースがあります。しばしば会話形式をとることがあり、自室に籠りブツブツ独り言を繰り返しているケース等は会話形式の幻聴(幻声)を疑います(後述の自閉症スペクトラム障害との鑑別が必要です)。幻聴と被害妄想が絡んでいるケースもしばしばみられますが、幻であるという自覚(病識)がないことが多く、治療につながらず、時に問題行動につながり、対応が厄介なパターンと言えます。
既出のように幻聴は統合失調症の主要な症状ですが、覚せい剤をはじめとする非合法薬剤や有機溶媒の使用(乱用だけでなく仕事に関連したケースもあります)、脳腫瘍、てんかんの発作でみられることもあります。当院では過去の脳膿瘍の瘢痕が原因となって幻声を呈した症例を経験しています。
最近注目されている自閉症スペクトラム障害では過去のつらい体験がフラッシュバックしてパニックを起こす様子や聴覚過敏から耳を塞いだり、「うるさい」と訴える行動、ゲーム等ファンタジーに没頭して独り言を繰り返す状況を幻聴と間違えられ統合失調症と誤診されることがあり注意が必要です。
「好きだ、愛している。」「あなたは偉い。」等ポジティブな内容の幻声はあまり苦痛を伴いませんが、「バカ!役立たず!」等批判する内容であったり、「~しろ」「~するな」等命令する内容の場合は自傷・他害等重大な事態を引き起こす可能性があります。
幻聴の治療
幻聴は統合失調治療薬(抗精神病薬)で軽減・消失する可能性が高いので1日も早く専門医を受診して治療を開始してください。
※公開/更新日: 2017年12月4日 13:05