「冬うつ」の原因についての記事です。
秋から冬にかけて、やる気がでない・気分が落ち込むなどの症状を感じる場合、季節性の気分障害である場合があります。「冬うつ」「ウインターブルー」などと呼ばれます。
10月ごろから症状が出始め、3月ごろに回復し、毎年繰り返すという特徴があります。
実は、医学的には冬うつという病名はありません。医学的な病名は、反復性うつ病(季節性の特徴がある)と言います。
反覆性うつ病は、一定の治療効果はあるものの、繰り返し発症する場合を指します。
冬うつは日照時間の短さが原因と考えられています。
地域によって異なりますが、夏至と冬至の日照時間は約5時間の差があります。
太陽の光を浴びる時間が減ると、心身に影響があると言われています。セロトニンという神経伝達物質が日光を浴びることで合成され、脳が活性化されるからです。
日照時間が少ないと、セロトニンの量が少なくなり、気分の落ち込みや集中力の低下を招くのです。
また、生活リズムの乱れも大きく影響します。夜の仕事などで昼夜逆転した生活は、太陽光を浴びる時間が少なくなり、セロトニンの合成が減ります。さらには、体内時計を調整し睡眠と覚醒をつかさどるメラトニンが減少し、体調不良を引き起こすこともあります。
冬になり寒くなると、眠さが取れない、甘いものや炭水化物が食べたくなる・食欲が止まらないと感じる人もいるようです。これも、うつ症状の一つであり、日照時間の短さが影響しています。
次に、冬うつになりやすい人の特徴をご紹介します。
男女比では女性が発症しやすく、特に若い女性(20代~30代)に多いと言われています。これはホルモンバランスが影響していると考えられます。
また、気温が低く、緯度が高い地域での発症も多く見られます。北欧の国々や日本の北国などが典型例です。
次に、予防方法をご紹介します。
・朝日や日中の太陽の光を浴びること
冬場は意識して積極的に太陽の光を浴びる時間を作って下さい。自宅で過ごす日や時間が長い場合も日光浴を習慣に取り入れていただきたいです。人工的な光であってもある程度の効果は期待できます。
治療として光を使う光線療法もあります。ただし高照度の光を当てるため、頭痛、吐き気、眼精疲労などの副作用が出る場合もあるため、医師と相談しながらすすめてください。
・規則正しい生活で体内リズムを整える
起床時間を固定し、起床後すぐにカーテンを開けましょう。
食事も炭水化物が食べたくなる傾向にありますが、栄養のバランスに気を付けてください。
最後に、「冬うつ」の症状に当てはまっている場合でも、双極性障害や非定型うつなど別の精神疾患の可能性もあります。
いずれにせよ、早めの専門医受診をお勧めします。
※公開/更新日: 2023年2月11日 17:43