この記事では、あがり症の症状、病院に行くべきかどうかの判断基準について書いていきます。
「人前で話すとき、心臓がドキドキして頭が真っ白になる…」
もしあなたがそう感じているなら、それは「あがり症」かもしれません。あがり症は、社会不安障害の一種であり、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
1.あがり症について
「人前で話すときや注目を浴びる場面で、強い不安や緊張を感じる状態」です。具体的には、以下のような症状が現れることがあります。
⑴精神的な症状
・強い不安や恐怖を感じる
・頭が真っ白になる
・考えがまとまらない
・失敗することへの強い恐れ
・人からどう見られているか過剰に気にする
⑵身体的な症状
・動悸、息切れ
・発汗
・手の震え、身体の震え
・赤面
・吐き気、腹痛
・声が震える、声が出なくなる
これらの症状は、単なる緊張ではなく、日常生活や社会生活に支障をきたすレベルである場合、専門的なサポートを受けたほうが良い状態です。
2.あがり症と社会不安障害
あがり症は、社会不安障害(社交不安障害)の一つの症状として捉えられることがあります。
社会不安障害とは、他人から注目される対人的・社交的な場面で強い不安や緊張を感じ、赤面、震え、息苦しさなどの身体症状が出る病気です。社会不安障害の人は、恥をかくことを恐れ、そのような社会的状況を避けようとする傾向があります(社会不安障害は、近年治療可能な病気であることがわかってきており、適切な治療を受けることで症状の改善が期待できます)。
3.病院に行くべきかどうかの判断基準
以下の項目を参考に、ご自身の状態をチェックしてみてください。
⑴日常生活への影響度
□あがり症の症状のために、仕事や学校、プライベートな活動に支障が出ている
□人前に出ることを極力避けている
□日常生活で常に不安を感じている
□症状が長期間(数ヶ月以上)続いている
⑵症状の程度
□症状が強く、日常生活に大きな苦痛を感じている
□症状が改善しない、または悪化している
□動悸や吐き気など、身体症状が強く出ている
⑶自己対処の限界
□自分で色々試してみたが、症状が改善しない
□症状をコントロールすることが難しいと感じる
□一人で悩みを抱え込んでいる
上記の項目に複数当てはまる場合、専門医への相談を検討することをおすすめします。
4.精神科・心療内科を受診するメリット
専門医を受診することで、以下のメリットが期待できます。
・正確な診断
医師は、あなたの症状を詳しく聞き取り、あがり症だけでなく、他の心の病気(うつ病、パニック障害など)との鑑別診断を行います。
・適切な治療法の提案
①薬物療法:症状を緩和する薬(抗不安薬など)が有効な場合があります。
②心理療法:認知行動療法など、考え方や行動パターンを変えることで症状を改善する治療法があります。
③その他の治療法:必要に応じて、リラクゼーション法、呼吸法などの指導も受けられます。
・継続的なサポート
症状の経過を観察し、治療効果や副作用をチェックしながら、あなたに合った治療法を継続的に提供してくれます。
・安心感
専門家と悩みを共有することで、精神的な安心感が得られ、孤独感を解消できます。
5.治療の選択肢
あがり症の治療法は、症状の程度や個人の状況によって異なります。一般的な治療法を紹介します。
・薬物療法:SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬、抗不安薬などの薬を服用することで、不安や緊張を和らげることができます。
・認知行動療法:不安を生じさせる考え方や行動パターンを修正する治療法です。
・リラクゼーション法:深呼吸や瞑想などにより、心身の緊張を和らげる方法です。
・暴露療法:あがり症の原因となる場面に少しずつ慣れていく治療法です。
これらの治療法を組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。
あがり症は、決して一人で抱え込むべき問題ではありません。専門家のサポートを受けることで、症状を改善し、より快適な生活を送りましょう。
※公開/更新日: 2025年3月5日 13:00