心療内科・精神科とよだクリニック

JR加古川駅の南口から徒歩1分、開業23年の実績

ご予約
お問い合わせは
TEL.079-454-8677

※木曜日、日曜日と祝日は休診
午前 9:00~13:00 × ×
午後16:00~19:00 × × ×

子どもの頃は平気だったのに?大人になって現れる社会不安障害の特徴

この記事では、大人になって社会不安障害が現れる背景を解説します。子ども時代との違いや放置することのリスクと対処法についても書いていきます。

 

1.大人になってから不安障害を発症する理由

子どもの頃は特に問題を感じなかったのに、大人になってから対人場面での強い不安や恐怖を感じるようになる要因は次のとおりです。

 

  • 職場や人間関係のプレッシャーが引き金になることも

就職、転職、昇進など、大人になると環境が大きく変化し、新たな人間関係や責任が生じます。ビジネスマンは、プレゼンテーション、会議での発言、上司や部下とのコミュニケーションなど、失敗が許されないと感じる場面が増えます。それが強いプレッシャーとなって社会不安障害の引き金となることが考えられます。

 

  • 「失敗できない」という責任感が不安を強める要因に

大人になると、仕事や家庭において「しっかりしなければ」「周りに迷惑をかけられない」といった責任感が強まります。この責任感が過剰になると、「失敗したらどうしよう」「評価が下がるのではないか」という予期不安が強くなります。予期不安が強すぎると、人前での言動に対する恐怖心を増大させることがあります。

 

  • 過去の経験や性格傾向が影響するケースも多い

子どもの頃にいじめられた経験、人前で恥ずかしい思いをした経験などが、大人になってからの社会不安と結びつくことがあります。また、もともと内向的、完璧主義、他者の評価を気にしやすいといった性格傾向を持っている場合、社会的なプレッシャーがかかる状況で不安を感じやすくなる傾向があります。

 

 

2.社会不安障害の特徴

大人の社会不安障害は、子どもの頃のそれとは少し異なる現れ方をすることがあります。

 

  • 自分の不調を“うまく隠してしまう”大人特有の傾向

大人は、社会的な体裁を気にするあまり、自分の不安や恐怖を悟られまいと必死に隠そうとする傾向があります。内心では強い苦痛を感じても、表面上は平静を装い、笑顔でごまかすこともあります。しかし、これは本人にとって大きなエネルギー消耗であり、症状を長引かせる原因にもなります。

 

  • 「人目が気になる」「話すのが怖い」など実生活への影響が深刻化

子どもの頃の不安は、学校行事など特定の場面やイベントに限られることが多いものです。大人の場合は、職場での電話応対、会食、雑談など、日常生活の様々な場面で強い苦痛を感じるようになります。「人からどう見られているか」「変に思われていないか」といった他者の視線に対する過剰な意識が、行動を著しく制限します。

 

  • 対人場面の回避が増え、仕事や私生活に支障が出やすい

不安を感じる場面を避ける「回避行動」が顕著になるのも大人の特徴です。会議での発言を避ける、飲み会を断る、人と目を合わせないなど、回避を繰り返すと、仕事や私生活に具体的な支障を生じやすくなります。例えば、昇進の機会を逃したり、友人関係が希薄になったり、孤立感を深めたりなどです。

 

 

3.大人の不安障害が生活に与える影響と対処法

大人の社会不安障害は、「性格の問題」として見過ごされがちですが、放置すると様々な問題を引き起こす可能性があります。

 

  • 仕事のパフォーマンス低下や転職の原因になることも

会議で意見が言えない、電話応対が怖い、上司への報告ができないなど、社会不安障害は業務遂行能力に直接影響します。その結果、本来の能力を発揮できずに評価が下がったり、職場に居づらさを感じて転職を繰り返したりするケースも少なくありません。

 

  • 対人関係の悪化や孤立につながるリスクがある

人付き合いを避けるようになるため、友人との関係が疎遠になったり、新たな出会いの機会を失ったりします。また、家族に対しても心を閉ざしがちになり、孤立感を深めてしまうことがあります。うつ病などの他の精神疾患を併発するリスクも高まります。

 

  • 認知行動療法やカウンセリングで改善を目指せる

社会不安障害は、適切な治療によって改善が期待できる疾患です。特に有効とされるのが「認知行動療法」です。これは、不安を引き起こす考え方の癖(認知の歪み)を見つけ出し、それを修正していくことで、不安場面への対処能力を高める治療法です。

 

また、カウンセリングを通じて、自分の不安の背景にあるものを理解し、受け入れていくことも回復への助けとなります。必要に応じて、薬物療法(抗不安薬や抗うつ薬)を併用することもあります。

 

4.大人の社会不安障害まとめ

社会不安障害は、かつて「対人恐怖症」や「赤面症」、「あがり症」などと呼ばれていました。

 

大人になってから現れる社会不安障害は、職場環境の変化や責任感の増大、過去の経験などがきっかけとなり発症することがあります。自分の不調を隠したり、対人場面を回避したりすることで、仕事や私生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

しかし、社会不安障害は「性格の問題」ではなく、治療によって改善可能な疾患です。「もしかしたら自分も…」と感じたら、一人で抱え込まず、精神科医・心療内科医などの専門家に相談することを検討してみてください。適切なサポートを受けながら、少しずつ不安に対処していくことで、より自分らしい生き方を取り戻すことができるはずです。