「精神科」と「心療内科」は、精神や心の疾患を専門に治療する医療分野ですが、その違いがいくつかあります、その違いについて説明いたします。
精神科は、精神疾患(精神障害)に特化した医療分野です。精神科医は、精神病、発達障害、不安障害、うつ病、パニック障害などの精神疾患の治療に専門的な知識とスキルを有し、診断から治療まで一貫して行うことが多く、最善のアプローチをすることができます。
精神科で診療する主な疾患には次のようなものがあります。
・精神病: 統合失調症など。
・発達障害: 自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害など。
・不安障害: パニック障害、恐怖症、社会不安障害、全般性不安障害など。
・気分障害: うつ病、双極性障害、気分変調性障害など。
・依存症: アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症など。
・睡眠障害: 不眠症、過眠症、むずむず脚症候群、レム睡眠行動障害など。
これらは一例であり、精神科で診療する疾患はこれに限られません。
世界的な基準にはDSMという診断分類の基準があり、22のカテゴリ―に分かれており、さらに細かく分類されています。似たような症状も多く、専門医として患者さんの症状に応じて適切な診断と治療を行います。
次に心療内科ですが、心身症、すなわち環境や心の状態が原因で発症・増悪する身体疾患(胃潰瘍、アトピー性皮膚炎など)の治療が専門です。心療内科医は、ストレスや生活習慣、生理学的な問題などが原因で生じる身体疾患の専門的知識と診断・治療のスキルを持っています。
また、生活習慣病、内分泌障害などの身体的な問題から生じる精神的な問題を扱うことがあります。
これらの精神的な問題は、適切な治療を受けないと進行し、より深刻な問題になることもあります。そのため、早期に身体の症状を認識し適切な治療を受けることと並行して精神的な治療も行うことが大切です。
アプローチが精神か身体かの違いはありますが、精神科と心療内科は、健康な身体と精神をとりもどし、社会生活や日常生活に支障がない状態を目的としています。
精神科と心療内科の違いをご紹介しましたが、心を扱う科目は他にもあります。
神経科、メンタルヘルス科、心の診療科、こころのクリニックなどです(ただしこれらの表記の医療機関の医師の多くは精神科医です)。
心の病を引き起こす原因は非常に複雑で、それにかかわる脳の構造も複雑です。
そのため複数の専門医が連携していくことになるのですが、正直どこに行けばよいのか分かりにくいと思います。
まずはお近くにある病院やクリニックへご相談されるか、保健所や自治体の医療相談窓口などでご相談されるのがよいでしょう。
心の不調や精神疾患の疑いがある場合は早めに専門医へ相談し、適切な治療を開始することをお勧めします。
※公開/更新日: 2023年3月25日 10:39