大人の発達障害は、子供の頃には気づかれにくく、日々の生きづらさとして表面化することが多くあります。この記事では、大人の発達障害の特性や、あなたが抱える困りごとの正体について解説します。
1. もしかして、私も発達障害
「仕事でミスが多い」「人間関係がうまくいかない」「片付けが苦手で部屋が散らかる」。そうした日常の困りごとを抱え、「自分はだらしがないだけだ」と諦めていませんか?あるいは、「どうして周りの人と同じようにできないんだろう」と、自分を責めてばかりいませんか。もしかすると、それは性格や努力不足ではなく、発達障害という脳の特性が関係しているかもしれません。
発達障害は、生まれつきの脳機能の偏りによって、日常生活や社会生活で困難を抱えやすい特性のことです。子供の頃には「個性」として見過ごされてしまったり、周囲のサポートによって困りごとが表面化しなかったりすることが多くあります。しかし、社会に出て、仕事や家庭、人間関係といった複雑な環境に適応しようとすることで、子供の頃にはなかった「生きづらさ」として、その特性が顕著になることがあります。これを「大人の発達障害」と呼びます。
2. 大人の発達障害の特性
発達障害は、脳の機能に生まれつき偏りがあることで、日常生活においてさまざまな困難を引き起こすものです。それは病気ではなく、その人が持つ個性の一つです。しかし、この特性が社会生活のなかで周囲とのズレを生み、「生きづらさ」として感じられることが多くあります。
主な発達障害の特性は、以下の3つのタイプに分けられます。
ADHD(注意欠陥・多動性障害):
不注意、多動性、衝動性といった特性があります。仕事でミスが多かったり、うっかり忘れ物をしてしまったり、集中力が続かず一つの作業に長時間取り組めなかったりします。「思いつくとすぐ行動してしまう」といった衝動的な行動も特徴の一つです。
ASD(自閉スペクトラム症):
人とのコミュニケーションや社会性の困難、特定の物事への強いこだわりといった特性があります。周囲の人の気持ちや意図を汲み取ることが苦手で、会話のキャッチボールがスムーズにいかないことがあります。また、曖昧な指示を理解することが難しく、「具体的にどうすればいいのか」が分からず困ることもあります。特定のルールや習慣、興味のあることに対して強いこだわりを持つことも特徴です。
LD(学習障害):
読み書き、計算など、特定の学習能力に著しい困難があります。
これらの特性は単独で現れることもありますが、複数の特性が複雑に絡み合っていることも少なくありません。例えば、不注意によるミスが多いと「だらしない」と責められたり、コミュニケーションがうまくいかないと「協調性がない」と誤解されたりすることがあります。これらの経験が積み重なることで、自己肯定感が低くなり、自信を失ってしまいがちです。
こうした「生きづらさ」の根本には、特性に対する周囲の理解不足や、自分自身が特性を把握できていないことによるミスマッチがあるのです。
3.二次的に発症する精神疾患についての理解も大切
発達障害そのものよりも、実際の生活を大きく困難にしているのは「二次的に発症する精神疾患」であることが少なくありません。
例えば、失敗体験の積み重ねから自信を失い「うつ病」を発症したり、対人関係の不安から「不安障害」に悩まされたりするケースがあります。また、生活リズムの乱れによる「不眠症」や、気分の波が大きくなる「双極性障害」が併存することもあり、さらにはストレスを和らげようとして「依存症」に至ることもあります。
こうした症状は本人の努力や工夫だけでは改善が難しいことが多いため、長く心身の調子が優れないと感じる場合には、精神科や心療内科といった専門医での診断と治療を受けることが大切です。
※公開/更新日: 2025年10月17日 10:10

