心療内科での診断書と休職についてお話しいたします。加古川市にある心療内科・精神科クリニック院長の診断書シリーズ第3弾ブログ記事です。当院でも診察を行い、休職・復職については患者様の希望も確認し判断しておりますが、既に何日も出勤出来ていない、出勤しているが仕事のパフォーマンスが上がらない状況のことをそれぞれAbsenteeism、Presenteeismと言い精神科産業医学の分野で重要な問題となっています。うつ病、双極性障害のように疾病性が高く、所謂ドクターストップの状態であれば迷わず休業をお勧めして、診断書を作成しますが、小規模の事業所の場合1人の欠員が出ることにより業務が回らないため、退職を勧奨されることもあり、勤務先の状況をよくお聞きした上で休業せず治療を行うこともあります。ケースとして、新卒入社や、転職、異動などの環境の変化やハラスメントからストレスを抱えているという環境調整の相談を多く受けます。
上司と折り合いが悪い、希望しない業務内容変更や異動を命じられたなど環境への不適応から不安・抑うつ状態を呈し休業を希望される場合には、診断書発行に躊躇しますし、注意が必要です。休業しても復帰時の環境が同じであれば同じことの繰り返しになるからです。休業を繰り返した結果、傷病手当(同一疾病での支給は1年半で打ち切りとなる)がもらえなくなり生活に困窮する、会社の規定による休業期間満了のため退職に至るリスクがあります。
辛い、気持ちの落ち込み、無気力、不眠、食欲なし、仕事のスピード落ちた、集中力が落ちたなど、症状は様々ですが、患者様の病状や環境調整の必要性について診療情報提供書で産業医に相談することが望ましいですが、従業員が50人以下の事業所には産業医がいませんし、100人程度の事業所の場合、1か月に1回程度の出務のため、対応に苦慮することがあります。自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など発達障害を背景とする適応障害の場合は特に産業医や人事労政担当部署などとの連携が必要となります。休業の診断書を提出した上で、産業医との連携が重要です。お悩みから、適応障害・うつ病などメンタル面の不調をきたし休職というのは珍しくはありません。これら出口戦略について十分話し合った上での対応を心がけています。
※公開/更新日: 2021年1月17日 15:43